漫画『カメラ、はじめてもいいですか?』を読んだ感想
私がその漫画の第一巻の刊行を知ったのは、Twitterのタイムラインを眺めていたときでした。
著者の公式アカウントでのつぶやきがリツイートかファボで回ってきまして、そこに著作から一部抜粋されて添付されていたのを読んで、面白そうだな、と。
私も趣味で一眼レフカメラを持って撮影に出かけることがあるので、興味を惹かれました。
漫画を楽しく読みながら、忘れていた初心を取り戻したり、あるあるにウンウンとうなずいたり、今まで知らなかった撮影スポットを知ったり、撮りたい画を撮るために心がけてることなどへの理解を深めるきっかけになったらいいな、と期待しています。
物語は、自分に自信が持てなくて悩みを抱えている女子高生ミトが、密かに憧れていた隣室のお洒落でハキハキしている女子大生チサトに、撮影モデルを頼まれる場面から動き出します。
チサトとの出会いをきっかけにカメラに興味を持ったミトは、チサトに相談して、彼女のお古の機種を借り受けることになります。
その機種が、フジフイルムのX-T20。この機種選定が絶妙。
チサトが現在その上位新機種にあたるX-T3を使っていることからも納得の機種であるだけでなく、小さすぎず大きすぎず、初心者向けすぎず玄人向けすぎずという、背伸びをするのにちょうどいい渋い機種。そう来るか、とうなりましたね。
もし自分が今フジのカメラを買うとしたら、X-T4かX-T30かで頭ショートしそうなくらい悩むでしょうし。
ミトの友人のカメラもペンタックスのKPだったり、リコーのGRⅢだったりと、登場するカメラがどれもいぶし銀。幕間のコラムでそれぞれについて掘り下げてもいて、沼に誘われてしまいそうな構成です。
ミトがチサトからカメラを借りて、早速カメラを持って登校しているんですけど、周りの目が気になって恥ずかしくて結局一枚も撮影できず、という葛藤が描かれています。
その気持、よくわかります。
自分も、旅先だったら別にひとりでカメラを構えていても恥ずかしくないんですけど、地元でひとりでカメラで撮影は恥ずかしくて無理。
知り合いにガチの撮影姿を目撃される可能性が高いから。もし、「この間の休み、〇〇でめっちゃ熱心に写真撮ってたね」なんて同僚から声をかけられたら、軽く死ねる。
現に、近所の名庭の写真を撮りに行きたいんですけど、知っているだけで徒歩圏内に三人同僚が住んでいるので、散歩中などに普通に遭遇してしまいそうで気後れします。
一巻のラストのエピソードは、ミトとチサトのふたりで、長野県の美ヶ原高原まで足を伸ばして、星景撮影からの流れで夜明けまで撮影する、というものだったんですけど、これを読んで、ああそういえば最近夜明けの写真を撮りに行ってないな、と改めて気付かされました。
夜明けって素晴らしいんですよね。日が昇るに連れ、刻一刻と明るさを増しながらコロコロと表情を変える空模様が、なんともいえず劇的で美しくて。
同じことは夕焼けにもいえるんですけど、夕焼けって多くの人に目撃するチャンスがあるじゃないですか。その点、朝焼けは、夜明け前から起きて待ち構えていた人にしか見れないんですよね。特別感がダンチなのです。宝物をほぼ独占しているという優越感。徹夜や寝不足の眠気なんて吹っ飛んじゃいます。
最後に、私が今までに撮影した朝焼けの写真を何枚か貼っておきます。
特に思い出深いのは、沖縄の西表島で拝んだ朝焼けですね。
夜明け前に目が覚めてしまって、二度寝できなくて仕方なく一応カメラを持って散歩したんですけど、空が明るんできたなと思っている間にみるみる空模様が変化して、まるで夕焼けみたいな鮮やかなオレンジ色に焼けて。
これには大興奮で、夢中でシャッターを切りまくりました。空が明るんできてから焼けが収まるまでの約半刻で、100枚近く撮っています。
劇的な朝焼けには、三文どころではないお得感があるのです。