H.E.R.O.の3rdアルバム『Alternate Realities』が素晴らしい
デンマーク出身のロックバンド、H.E.R.O.の3rdアルバム『Alternate Realities』がリリースされました。前作『Bad Blood』から約二年ぶり。待望の新作です。
本来であればもう少し早くリリースされていたようですが、コロナ禍によりプロモーションやライブ活動がままならないことが予想されたため、発売時期がズレ込みました。
前作までと今作での大きな違いはというと、一番は今まではサポートメンバーとして参加していた元MewのベーシストのJnhan Wohlertが、正式メンバーとなったことでしょう。
それによりプレイ面での意識が変わったのか、これまでは一歩引いた黒子的な、影ながらバンドを支える縁の下の力持ち的なベースプレイだったのが、今作では一歩前に出てその存在を主張しています。バンドの屋台骨を支える大黒柱のような、そんな頼もしいベースプレイを聞かせてくれています。
ミックスを担当したJacob Hansenとミーティングを重ねて今作のサウンドを決定づけたそうなので、Jacobの仕事ぶりも大きかったのかもしれません。
ベースの存在感が増したことにより、今まで以上にパワフルでヘヴィなサウンドが展開されています。
そのヘヴィなサウンドに乗るChrisの美しいハイトーン・ヴォイスとの対比が心地よいですね。
サウンドは無機質でヘヴィなんですけど、歌メロがキャッチーで、耳にスッと入ってくるんですよね。
楽曲も相変わらず粒揃いの高品質で、バンドの充実ぶりがうかがえます。日本盤のボーナストラックもいいんですよ。この出来であれば本編に組み込んでもなんら遜色なかったと思うんですけど、泣く泣く削ってコンパクトにして、質の向上に努めたんでしょうね。
初回限定盤には、昨年6月にデンマークで開催されたライブの模様を収めた約70分のライブDVD『Live At Pumpehuset』が付属しています。こちらもバンドのパフォーマンスも素晴らしければ音質や画質も高品質で、新譜の付録にするよりも単品でリリースしてカタログに載せたほうが良かったのではないか、と思うほどのクオリティです。
発売前の映像のチラ見せで(このクオリティのライブDVDが付属するのか?)と半信半疑な思いもありましたが、実際に製品版を観てみたらその期待を軽々と超えてきました。
二年前に東京で観た初単独来日公演の感動が蘇るライブDVDです。
ボーナストラック二曲追加にライブDVD付属。本国のファンが日本盤のこの恵まれた仕様を知ったら、唖然とするんじゃないでしょうか。
コロナ禍突入から二年、この夏、サマソニやフジロックなど、夏フェスの開催が予定されていたり来日公演決定のニュースがちらほら聞こえてきたりと、徐々に状況の好天の兆しがあるので、この流れに乗ってH.E.R.O.の来日公演決定の報にも期待したくなりますね。