第5期ってなんだよ、と眉をひそめた人にこそ聴いてほしい、Wands再始動を彩る傑作『Burn The Secret』

第5期ってなんだよ、と眉をひそめた人にこそ聴いてほしい、Wands再始動を彩る傑作『Burn The Secret』

上杉昇という強力なヴォーカリストを擁し、ダイナミックなハードロック・サウンドをキャッチーなJ-Popに落とし込むことに成功したことで、人気バンドとして一時代を築いたWandsでしたが、度重なるメンバーチェンジが響いてその勢いを持続できず、いつしかシーンから消えていってしまいました。

そんなWandsが、21年ぶりのシングルをリリースして第5期として再始動することが、昨年末に発表されました。

ここで、第5期ってなんだよ、と引っかかる人も多いと思うんですけど、1991年に結成されてから2000年に解散するまでの9年間で目まぐるしいメンバーチェンジを繰り返したことで、その時々の構成メンバーによって、第1期から第4期と整理されています。その流れで、再始動にあたって第5期とナンバリングされたのです。

メンバーが入れ替わろうが、Wandsとして活動している以上Wandsなわけで、第○期とか要らないと思いますけどね。逆に話をややこしくしているだけのような気がします。

最初は興味なかったんですよ。

ツイッターなどで、再始動シングルリリースなどのニュースは目にしていたのですが、青春時代によく聴いていた初期のWandsは大好きだったんですけど、どうしても斜に構えてしまって。

好きだったのは初期のWandsであって、まあ”錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう”とか、”明日もし君が壊れても”とかもめっちゃいい曲で好きでしたけど、それでもやっぱり心にあるのは”時の扉”や”もっと強く抱きしめたなら”や”世界が終わるまでは…”なわけで、どうしても(今さら第5期再始動とか言われてもな…)とこんな調子で、冷え切った心はまったくワクワクしていませんでした。

ところがですよ、妹宅で姪っ子たちが『名探偵コナン』のアニメを見ているところに居合わせるという、ひょんなことからWandsの再始動シングル”真っ赤なLip”を聴く機会を得まして、(あれ、なんかいいぞ…いや、めちゃくちゃいいじゃん!)とやっとテンションが上り、俄然興味が出てきたところに聴いた”抱き寄せ高まる君の体温とともに”や”David Bowieのように”などの新曲も素晴らしくて、これはもう買うっきゃないと相成りました。

全10曲、新曲6曲に過去曲のリメイク4曲という構成なんですけども、新曲はもうどれも素晴らしいです。ストレートなロックナンバーはもちろん、ファンキーなリズムが面白い曲、心温まるメロディがたまらないバラードなど、新ヴォーカリスト上原大史の超絶歌唱力のおかげもあって最高。

それだけに、全曲新曲で勝負してほしかったな、というのが正直なところですね。リメイク曲もどれも大好きな曲ですから、買ってよかったと大満足しているアルバムなんですけども、それでも心の片隅に(全曲新曲だったらなぁ)という引っかかりが残ってしまいます。

気になったのはそこだけですね。次作こそ、全曲新曲の傑作アルバム、楽しみに待っています。どうか、この第5期の活動が少しでも長く続きますように。

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いやぁ、うかつでした。まったくノーマークでした。

まさかイタリアに、Be The WolfやLionville以外にも、こんなにもかっこいい上にメロディアスなハードロック・バンドがいたとは、知りませんでした。

そのバンドの名は、Hell In The Club。ちょっとドスの効いたバンド名に気後れしてしまいそうになりますが、YouTubeの新着にFrontiers Recordsから新曲が挙がってきていて、サムネも洒落ていたのでクリックしてみました。

見たことのないバンド名だけど、Frontiersからの期待の新人かな、と想像しながら。

その曲がこの”We’ll Never Leave The Castel”で、めちゃくちゃ良かったので一発で気に入りました。

爽やかにアコギが鳴り響くイントロから一転、キャッチーでにぎやかなバンドサウンドが繰り広げられ、起伏の激しい歌メロのパンチ力も抜群。素晴らしい。

新作の情報が気になって調べてみたら、新人ではなくてすでに四枚もアルバムを出していて、この曲は5作目に当たる『Hell Of Fame』からの先行公開曲のひとつであったことが判明し、驚きました。

アルバムのジャケットを見てみて、まったく知らなかったのも無理はないかな、と合点しました。先述した新曲にしても、もし動画のサムネがアルバムジャケットだったら、クリックせずにスルーしていた可能性が大きいです。あまり褒められた行為ではないと承知してはいるんですが、ジャケット画像だけで自分の好みとはズレた音楽性のアルバムだろう、と判断してしまって。

おそらく、今までもバンド名を目にする機会はあっても、知らず知らずのうちに画像判断フィルターによってシャットアウトされていたのでしょう。危うく、こんなかっこいいバンドを知らぬまま余生を送るところでした。

その約ひと月後に、新譜からの先行公開第二弾が発表されたんですけど、それがまたデジタルなダンスビートを大々的に取り入れたEDM風の音作りで、面食らいました。

見間違えたか、別の動画を誤ってタップしちゃったかと、タイトルを二度見したほどの異色曲。音は一風変わってますけど、歌メロが相変わらず強力なんですよね。

そんな流れで、昔の曲もYouTubeで聞いてみるようになってゆくんですけど、以前の曲もいい曲ばっかりで、なんでこんな素晴らしいバンドを見落としていたのかと、自分の不甲斐なさが情けなくなるばかりでした。

荒々しく猛るハードロック・サウンドと、超キャッチーな歌メロの相乗効果がたまりません。イタリアのバンドなのにラテンっぽいノリがなくて、アメリカンに通じる豪快さが押し出されているのがいいですね。好きです。

まずは昔のアルバムから買い揃えました。欲しくなっちゃったら最後、我慢できない性分故に、一気に四枚。

最新作は、日本盤を待とうかと思っていたんですけど、どうやら見送られそうな情勢なので、輸入盤を注文しました。

改めて並べてみると、アルバムジャケットのパンチは強烈ですね。CD屋の店頭で、超おすすめ!と試聴機にセットされていたとしても、ちょっと聴いてみようかな、という気にはならないかもしれません。