名古屋のSpade BoxでWandsの初代ヴォーカリスト上杉昇さんのアコースティック・カバーライブを観てきた

名古屋のSpade BoxでWandsの初代ヴォーカリスト上杉昇さんのアコースティック・カバーライブを観てきた

2024年3月23日土曜日、名古屋のダイアモンドホールの地下にあるライブハウスSpade Boxにて開催された、Wandsの初代ヴォーカリスト上杉昇さんのアコースティック・カバーライブを観てきました。

まず自分の立ち位置を明確にしておきますと、Wandsは初期が最も好きで思い入れもあるけど第5期も好き、上杉さんがソロで活動していることを最近知って生で歌声を聴いてみたくてチケットを買った、初めて上杉さんのライブを観る者です。

チケットには整理番号しか記されていなかったのでスタンディングだろうと思っていたら、フロアには椅子が敷き詰められていて驚きました。

「自由席です。空いているお席へどうぞ」と案内され、後方の空席に座り開演を待ちました。

時間になり、ステージには三名が登壇。本日の主役ヴォーカリストの上杉昇さん、上杉さんをサポートするアコースティックギターの平田崇さん、ピアノの森美夏さんの三名です。

初めて生で聴いた上杉さんの歌声は凄かったですね、やっぱり。

ストレートに響いてくる力強さはもちろんなんですけど、時には抑えて時には解き放ち、抑揚をつけながら叩きつけられたものだからたまったもんじゃありませんでした。

最後の曲以外は座りながら頻繁に水を飲みつつ歌っていたので(体調や体力面であまり思わしくないのかな)と想像していたら、MCで「こんな姿勢でごめんなさい、歳をとって身体にも色々とガタが来てて薬漬けで、喉も渇いちゃって」といったような話がありました。

冗談めかしてはいましたけど、「歳は取りたくないということです」というひと言には真に迫るものがありました。

一度眉毛のラインに両手を当てて客席を見渡していた時には、視線で射抜かれたように感じてドキッとしました。上杉さんほどのヴォーカリストでも客席の反応が気になったりするのかと。

たまに間を置かずに連続で歌うこともありましたが、基本的には一曲歌うごとにその曲に関する思い出やなんで歌ってみようと思ったのかを訥々と語るステージ進行で、意外と茶目っ気のある人柄にも触れられて楽しい夜でした。

自分はどちらかというとカバー曲よりもオリジナル曲により惹かれるものを感じるのですが、「自分の曲とか人の曲とか、あまりそういうこだわりはない。いい曲はいい曲というか」という上杉さんの話が印象に残っています。

上杉さんの歌声も凄かったですけど、サポートギタリストの平田さんの演奏も凄まじかったですね。

席が遠かったためロゴは視認できませんでしたが、たぶんマーティンのギターだと思うんですけど、鬼鳴りのエレアコやばかったです。森恵さんのマーティンも激鳴りでしたけど、それに匹敵する鳴りっぷりでした。

ギターも凄いけど演奏も凄い、そんなギタリストでした。

それでいて、あくまで上杉さんの歌を引き立てることに徹する演奏。たまに前に出てくる時の迫力。スッと引いて傍に控えて支える安心感。素晴らしかったですね。

平田さんのギターだけ聴いてみたくなってYouTubeを検索したのですが、自分のチャンネルを作って演奏動画を上げたりはしてませんでした。残念。

どなたかの動画にサポートとして参加している動画はいくつか見つかるのですが、そのどれもが傍に控えて主役を盛り立てているという。奥ゆかしすぎる。奥ゆかしすぎますよ、平田さん。

チャンスがあったら平田さんの単独ライブを観たいですね。あの絶品のギターの音色だけを二時間ずっと聴いていたい。

「ツアー初日のため、ツアーが終わるまで演奏曲目についてSNSやブログに投稿するのはご遠慮ください」という案内があったため、ライブの後はWandsの曲を聴いて思ったことも迂闊に呟けない日々を過ごしております。

上杉昇

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静岡市のライブハウスSOUND SHOWER arkで森恵さんの弾き語りライブを観てきた

静岡市のライブハウスSOUND SHOWER arkで森恵さんの弾き語りライブを観てきた

静岡市清水にあるライブハウス、SOUND SHOWER arkで森恵さんの弾き語りライブを観てきました。

森恵さんのことを知ったきっかけは、彼女がYouTubeにアップしていたJ-Popの名曲の弾き語りカバー動画を観たことです。

一番最初に聴いた曲は正直覚えていないのですが、”もう恋なんてしない”か”純愛ラプソディ”か”M”か”世界が終わるまでは…”か、確かこのあたりだったはず。

ギターは上手いし歌声も素晴らしいしで惚れ惚れと聴き入っていたんですけども、そんな彼女が弾き語りツアーをすると知りまして、これは絶対生で観たい!静岡にも来るし!(同じ県内とはいえ自宅のある西部地方からライブハウスのある静岡市清水までは110km以上あって隣県の名古屋市の方が近いのですが…)とひとり盛り上がり、チケットを入手しました。

一度YouTube生配信を見てみたところ、近況報告や活動予定告知、コメントの読み上げなど視聴者とのやり取りを挟みつつ、アコギ一本でオリジナル曲やカバー曲を弾き語りしていくスタイルだったので、(なるほど、これに近い感じの程よいリラックス感が漂う弾き語りライブをするのだろう)と予想していました。

全然違いました。

スツールに腰掛けてアコースティックギターを弾きながらしっとり歌うのだろうとばっかり思ってたら、そういうコーナーも途中用意されていましたけど、ステージ上にはギターのみならずキーボードやリズムマシンまで、ひとりで全部使うとは思えない機材の数々。

ルーパーを駆使した手際のいい即興的なリズム音作りから、ひとりの手で紡がれているとは思えない音の圧と数が押し寄せ、圧倒されました。マーティンのアコギも鬼鳴りで激ヤバ。そしてそれ以上に、彼女の歌声、声量が凄まじい。

今までライブで何人ものシンガーの生歌を聞いてきましたけど、(彼女ほど声が出ているシンガーがかつて他にいたか?)と自問しても、対抗馬が思い浮かぶどころか(いやひょっとしたら過去イチかもしれない…)と思わされるほど、圧倒的な歌声です。

ライブで何が一番がっかりするかっていったら、歌声があまりよく聞き取れない時じゃないですか。

シンガーの喉の調子がイマイチだったり、楽器隊の音がデカすぎだったり、その時の場所や座席が音響的に不利で声が埋もれがちだったりとか、理由や原因はその時々で様々ですけど、ライブで歌声がよく聞こえないことほどがっかりすることはないですよ。

その点で言ったら、彼女の歌声は極上です。小さめのライブハウスで、本来の弾き語りでアコギ一本だったら声が通って当たり前ですけど、キーボードやリズムマシンから重低音バンバン鳴らしてましたからね。

その上でこのインパクト。度肝を抜かれましたね。

昔、歌手のChristina Aguileraの名前だけ聞き知っていた時に、彼女の主演ミュージカル映画『バーレスク』でその途轍もないパワフルな歌声を初めて聴いてぶったまげましたけど、あの時に匹敵する衝撃でした。

7月からスタートしたこの弾き語りツアーも残すところ沖縄での三公演のみ。お近くで行こうか迷っている方がもしいたら、全力で彼女のステージを体感してみるべきだとおすすめしておきます。

B’zのLIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-をエコパスタジアムのアリーナ席のAブロック2列目で観たら、時の流れが加速した

B’zのLIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-をエコパスタジアムのアリーナ席のAブロック2列目で観たら、時の流れが加速した

チケット高額転売対策の一環だと思うんですけど、B’zのライブって、事前にどの席なのかわからないようになってるんですよね。

購入する時点で、SS席とかS席とかA席とか、大まかな区分というか席種は別れているんですけど、ただそれだけ。他のアーティストは大体チケットが手元に届いた時点でどこの席か分かるようになっているんですけど、B’zの場合はどのブロックのどの列の何番とか、細かいことは当日に受付してみないとわからないんですよ。

ちょっとドキドキですよね。クジみたいというかガチャみたいというか。前々から決まっていることを当日まで伏せているだけだと思うんですけど、その日の自分の運勢が試されているかのようでもあって。

なので毎回、ライブ当日開演直前にチケットゲートを潜るのは緊張の一瞬です。果たして今回の席はどこなのか。

QRコードを読み取り機にかざして吐き出されたチケットを見た私は、その文字列が意味するところをすぐには理解できませんでした。Aブロック2列目!?何度見直しても、Aブロックの2列目と記載されているのです。

座席表を見るとアリーナ席は前方からA、B、Cとブロック分けされていたので、これはつまり一番前から2列目であるということを意味しています。

一番前から2列目!?

こんなことがあるのか。遅ればせながら”Ain’t No Magic”からLIVE-GYMに通うようになって十数年、(回数を重ねるたびになんか座席がちょっとずつ前方になっていっているような気がする…)とは思ってましたが、ここにきてまさか前から2列目とは。

今回で、一生分のS席ガチャ運を使い果たしてしまったんじゃなかろうか…。

前から2列目で観たB’zは、それはそれは強烈でございました。それはもう、想像以上に。

前から2列目といっても端っこの方だったので、目の前まで来てくれたのはほんの数回ずつでした(ど真ん中最前がプレミアム席なのでその忖度もあったのかなと予想)けど、それでもすぐ目の前で肉眼で見る本物のおふたりのなんと神々しいことか。微妙な表情の機微までが肉眼で見て取れることのなんと嬉しいことか。

今まで、こんな前からライブを観たことなかったので、知りませんでした。最前列の破壊力って、凄まじいんですね。

今まで、オールスタンディングで番号よくても頑張って最前行こうとかまったく考えたことなくて、みんななんであんな必死に前に行こうとしたりベストポジションキープしたがったりするんだろうと不思議に思っていたんですけど、こういうことだったんですね。

なるほど。すべてはこのためだったのか。

一瞬でしたもんね。開演から終演まで、二時間半が一瞬。今まで生きてきた中で、一番早く経過した二時間半だったんじゃないでしょうか。

よっぽどのハズレでもない限り、基本的にライブは楽しくて開演から終演まで一瞬ですけど、それでもあえて断言しましょう。始まったと思ったら終わっていたと。それほどあっという間に、待ちに待ったライブは終わってしまいました。

いつもなら気になることが、まったく気にならなくなるんですよね。その日の天気とか、調子とか、ミスの多い少ないとか、MCや休憩長いなとか、周りのお客さんがどうだとか。すべてが些事になっちゃうんですよ。

最前でのライブ観覧がこんなにも最高だったとなると、今後はチケットの申し込み優先順位が一変してしまうかもしれません。

SS席は何度か申し込んだことあったものの一度も当たったことないので最近では端から捨ててましたけど、今後は第一希望プレミアム、第二希望SS、第三希望Sで申し込むかもしれません。

それくらい強烈で鮮烈な、夢のようなひと時の体験でした。

B’zのエコパスタジアム公演にフード屋台やカフェを楽しむために早めに着いたら、リハの音漏れでネタバレくらった

B’zのエコパスタジアム公演にフード屋台やカフェを楽しむために早めに着いたら、リハの音漏れでネタバレくらった

行ってきました。2023年9月9日土曜日、チケット確保以来、約半年前から待ちに待っていたB’zのLIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-エコパスタジアム公演初日に。

最初は車で行こうかと思っていたのですが、駐車場の利用が制限されて有料事前販売分のみということだったので、一緒に行く仲間と協議の上、電車にしました。当日はフードやドリンクの屋台も出て、お酒も飲めるということだったので、ちょっと早めに行って飲み食いしながらのんびりと開演を待とうという話になりまして。

自宅最寄り駅からエコパ最寄りの愛野駅までは約50分。当日は11時過ぎくらいに電車に乗り込み、12時前くらいに愛野駅に着き、そこから歩きでエコパスタジアムを目指して2〜30分ほどで会場に到着しました。

まずはグッズを買いに行くかと、今回のグッズ売り場であるエコパアリーナに向かおうとしたら、スタジアムの方からなにやら演奏中の音が聞こえてくるじゃないですか。どうやらこの夜の公演に向けたリハーサルの真っ最中だったようです。

ということはですよ。そこで聞いてしまったんですよ。その日演る予定だった曲を。これまでネタバレ踏まずに過ごしてきたのに。マジか…。嬉しいような残念なような、かなり複雑な気持ち。

グッズ販売の列に並んでいる時に妹に「リハの音漏れでネタバレくらった…」とメールしたら「いいじゃん!リハと本番で二度美味しいじゃん!」とポジティブな返事が返ってきたんですけど、いや(まあこれは演るだろうな)と前々から予想していた曲だったらそうかもですけど、それがあいにくと(え!?この曲演るの!?)っていうまさかの曲だったんですよね…。

本チャンでいきなりぶちかまされたかったですよね…。記憶消したいなぁ、と思いながら物販の待機列をやり過ごしたのでした。

野外ライブで会場にあんまり早めに着くと、こういう可能性もあるのですね。勉強になりました。

グッズ購入後に外に出るとグッズ販売列の最後尾は炎天下の外まで伸びていたので、早めに着いてまずはグッズを入手しておくという判断は大正解だったようです。

大阪・舞洲の特設会場で開催されたEllegarden Get It Get It Go! Summer Party 2023に参加してきた

大阪・舞洲の特設会場で開催されたEllegarden Get It Get It Go! Summer Party 2023に参加してきた

大阪は舞洲の特設会場で開催された、Ellegardenの単独野外ライブイベント、Get It Get It Go! Summer Party 2023に参加してきました。

はるばる静岡県の西の果てから。片道約190km。青春18きっぷで、在来線を乗り継いで。

第一希望は名古屋の日本ガイシホールで開催された公演でしたけど、第二希望の舞洲に行くことになって、前々から想像していた通りに真夏の野外ライブにバッチバチにエルレの新旧名曲群がハマって最高だったので、真夏の野外遠征はきつかったですし大変なこともありましたけど、これでよかった、行ってよかった、心からそんな感動に浸っております。

まず何がよかったって、開演直前のFM802のラジオパーソナリティ、大抜卓人さんによる前説ですね。

活動休止前からのファンの想いや記憶を汲み上げつつ今のこの場に繋げるような語りは感動的で、すでに目頭が熱くなっていました。まだ本人たちがステージ上に現れてもいないのに。演奏もスタートしてもいないのに。

前説でこんな感動したのは初めてでしたね。いつもなら、MCとかいいから曲にいってくれ曲に、とか思っちゃうのに(いいこと言うなぁ…)としみじみ聞き入ってしまいました。

この前説が、ライブへの感情の昂りを盛り上げてくれたのは間違いないです。爆発的な熱狂の火種を焚きつけていたかのようでした。

普段あんまりラジオ聞きたいなぁとか思わないんですけど、Beat Zoneを楽しみにしていた中学高校時代以来でラジオ聞きたくなっちゃいましたもんね。大抜さんのFM802を。

次いで、圧巻のセットリストですよ。

もし今、CD二枚組で全30曲のエルレのベストアルバムを編集するとしたら、この日演奏された25曲はすべて収録されるのではないか。冷静に考えればあの曲やこの曲は?となるのですが、そんな個人的な好みや思い入れをも凌駕する勢いの楽曲群。

この日この場所で聴いたことで、何人もの個人ランキングがひっくり返って大変動が起きていそうな。実際、自分のiTunesライブラリのエルレの楽曲レートは上方修正されました。

さらに、楽曲が放たれたタイミングも最高。

あかん。あかんて。日の入りに合わせるように”Missing”はあかんて。こんなん泣いてまうやろ。歌詞と現実の光景のシンクロニシティに…。事前に、暮れなずむ大阪の空に合わせて”Missing”演ってくれたら最高だなぁとは思ってましたけど、まさかここまで涙腺が刺激されるとは…。

この日この場所で、あのMCを聞いた後で、陽が沈んでいく空を見ながら、自分の願望に呼応するかのようなタイミングでこの曲が放たれたことで、ブワーッと込み上げてくるものがあって感情が昂ってしまったようです。

想像ですけど、これがもしライブハウスだったら、ここまで感動してなかったんじゃないかと思うんですよね。真夏の野外という状況だったからこその感動でしょう。ライブハウスにはライブハウスでしか味わえない魅力がありますが、単独野外ライブにもまた格別の魅力があります。

舞洲最高だ…。

他にも、ミスって続けられなくなって早口なMCからやり直した”サンタクロース”は周りからも笑い声が聞こえてくるくらい面白かったですし、各々が胸に小さな願い事ひとつ抱いたであろう”Make A Wish”もまた感動的でしたし、真夏の夜に演るのにこれ以上に相応しい名曲を他に知らない”スターフィッシュ”も素晴らしかったです。

ちょっと口は悪いけど頼れる兄貴みたいな細美さんのMCも響きました。

お前らとかグズどもとかブスとかブ男とか(いやいやそれはちょっとキツいのでは…)と苦笑しつつも、それがまあ強烈な存在感やリーダーシップに繋がっていることもまた確かなわけで。根底に優しさや親しみも感じるというか。

この間テレビで映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』が流れていて思ったんですけど、細美さんてちょっとバルボッサっぽいところありますよね。頼れるキャプテン。強烈なカリスマ性。それでいて根は優しい。

前言撤回したのは裏でスタッフに怒られたんだろうなと想像を膨らませてみたり。

泣いたり笑ったり喜んだり幸せを噛み締めたり。とにかく感情を揺さぶられまくった、壮観な約二時間の単独野外ライブでした。

抽選に当たってよかった。元気に健康でこのライブを観ることができてよかった。直前に台風がふたつも連続発生してハラハラさせられたけどイベントや交通機関に影響がなくてよかった。

何事もなく無事にこのライブに参加できて本当に良かった。今はただ、自分の幸運に心から感謝しております。

好きになった時には活動休止していたバンド。ライブ活動を再開し新作を発表するもチケットは取れない日々。念願の初ライブ。その初ライブがこの舞洲で本当に良かった。

今度観れるとしたら果たしていつになるのか。こんな幸せをまた噛み締めることはできるのか。不安もありますが、希望もあります。最後に希望の明かりを灯してくれました。

いつかまたやろうな。この言葉を胸に、約束の日を待ちます。

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