バンドやアーティストの伝記映画の良し悪し
イギリスのロックバンドQueenの結成からLive Aid出演までを振り返った伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットでその流れにあやかろうという風潮が生まれたのか、その後何本かの伝記映画やミュージカル映画が制作、公開されて私も実際に劇場に観に行きました。
a-haの『a-ha THE MOVIE』やAretha Franklinの『リスペクト』、Elvis Presleyの『エルヴィス』に、Elton Johnの『ロケットマン』など。
他にも、Netflix限定配信なども含めると、未加入のため自分は観れていませんがMotley Crueの『The Dirt』やTaylor Swiftのドキュメンタリーなども話題になりましたね。
そんな伝記映画のひとつに、この冬『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』が仲間入りします。
Whitney Houstonというと、ケビン・コスナーと共演した映画『ボディガード』とその主題歌”I Will Always Love You”のメガヒットが代表曲、代表作としてイメージが確立されていると思いますが、今度の伝記映画のタイトルにも採用されているような80年代ダンスポップスも歌っています。
バラードばっかりじゃなくてこういうタイプのポップスも歌っているのかと、新鮮な驚きを感じる人もいるんじゃないでしょうか。
映画の内容は”Whitneyの名曲誕生の裏に隠された、Whitneyと彼女を支えた音楽プロデューサーClive Davisの知られざる物語を描きます”と紹介されていますが、たったこの一文だけで曲がりなりにも何本か伝記映画を観てきた自分には察しがついてしまいます。
ああ、なるほど、家族や制作陣との間に生まれる苦悩や成功への喜びに満ちた道のり、栄光とそこからの転落やいざこざ、苦渋の決断などが描かれているのですね、わかります、と。
だってそうでしたもん。これまでに観てきたアーティストの伝記映画、全部そうでしたもん。細かなところは全然違えど、大まかな流れは全部一緒でしたもん。
苦労が報われて成功へと上り詰めていく過程は良いんですよ。こっちも幸せな気分になりますし。でも、生活が荒んで身を持ち崩したり家庭での問題や制作陣との軋轢がじわじわキツイんですよね。胃がキリキリ痛んでしんどいというか。
上手く行かなくなって酒に溺れたり、クスリに逃げたり、浮気に走ったり、そんな自分が嫌になってさめざめ泣いたり、歌から距離を置くも結局戻ってきてしがみついたりもがき苦しんだり、再出発がなかなか軌道に乗らなくて荒れたり、そうなるってだいたい相場は決まってるんですよ。
いや〜重い、この流れは重すぎますって。後生ですから…と手を合わせたくなってしまいます。
映画館の素晴らしい音響で大好きな名曲が聴けるのはアツいんですけどね。
その代償が一見華やかに見えるエンターテイメント世界の裏側での孤独な苦悩というのが、なんかいたたまれなく感じちゃうんですよね…。
ダメ?そこに触れなきゃダメ?スルー無理?ダメか…と全身がどっと重くなってしまうのです…。
まあ、なんだかんだいいながら観に行くんですけどね。映画館の音響で名曲を聴きたくて。
音楽系の映画は空いてることが多くて贅沢感が増し増しになるのがまたいいんですよね。特別感に浸れて。