写真撮影を趣味にしている男の映画『シャイニング』評はちょっとズレている

写真撮影を趣味にしている男の映画『シャイニング』評はちょっとズレている

映画『シャイニング』といえば、巨匠スタンリー・キューブリック監督による名優ジャック・ニコルソン主演の超名作ホラー映画として名高いですよね。

自分も幼い頃に初めて観た時には恐怖に震え上がりましたし、しばらく経った後に再び観た時にも同じように恐怖しました。

あれから何十年も経った今でもそんなことを覚えているほど怖かった、『エクソシスト』と並ぶホラー映画の金字塔です。

では今『シャイニング』を観ても昔と同じように恐怖に震えるのかというと、そんなことはありません。

むしろ真逆で。恐怖とはまったく別の感情に襲われております。

感動の嵐に。

(1980年の作品でこの映像美どうなってんの!?)

(構図完璧!)

(今観ても斬新なアングルの数々!)

(まったくブレない超滑らかな映像は一体どうやって撮られているんだ?)

(ジャック・ニコルソンの多彩な顔芸おもしろ!ていうかジャック・ブラックにめっちゃ似てるなぁ。いや逆か、ジャック・ブラックがジャック・ニコルソンのことが好きで影響を受けているのか?)

一例を挙げるとこんな具合でして。映像が凄すぎて次から次へと感動が押し寄せて、恐怖を覚えている暇がないのですよ。

この視点の変化には、10年ほど前に始めた趣味のデジタル一眼カメラでの写真撮影が影響していると思われます。

何事もそうだと思うんですけど、趣味にしろ仕事にしろ、自分で実践して知っていることって、機材や手法や裏側への理解や興味が芽生えたり深まったりするじゃないですか。

それと同じで。

1980年当時のどんなカメラを使ったらこんなに美しい映像が撮れるんだろう?とか、当時のカメラはめちゃ大きそうなのにどうやってこんなアングルから撮ったんだろう?とか、感心というか好奇心というか驚愕というか信じ難いというか。

そんなわけで、私は今、怖がる暇もなく巨匠の手腕に舌を巻いております。

シャイニング

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浜松市のミニシアターシネマイーラで、フランソワ・オゾン監督のフランス映画『私がやりました』を観てきました。

近隣の上映館はわずか三館。

ただ、近隣といってもそのうち二館は片道約80kmある愛知の伏見ミリオン座と片道約100kmある静岡市のシネ・ギャラリーで、とても気軽にふらっと映画を観に行ける距離ではないので、実質浜松市のシネマイーラ一択。

当初は静岡市のシネ・ギャラリーに『ザ・キラー』を観に行くついでに二本連続で観ようかと考えていたのですが、幕間わずか10分で連続上映だったため、トイレ休憩に間食にと慌ただしすぎるのが気がかり(ローカルルールで上映中の出入りや飲食が禁止のため)で、三館の中では最も自宅から近い浜松市のシネマイーラで観ることにしました。

唯一の懸念は急用で上映時間に都合がつかなくなることでしたが、幸いそんな心配も杞憂に終わり無事に観てくることができました。

物語の舞台は1935年のフランス、パリ。舞台の背景の関係か、クラシック作品リスペクトの映像や演出が多いのですが、ガーリーさやポップさを押し出した美術や衣装も盛りだくさんで、古風でありながら斬新で可愛らしくもある映像が最高でした。

物語の発端となった事件そのものを直接写していなかったので、本当のところはどうなのか想像を膨らませつつ逆転司法闘争からの最後に真相かな?と予想しながら観ていたら全然違いました。

そんな本格的なサスペンス・ミステリーではなく、それでいいのかな…と観ているこちらが心配になる程、力技でやや強引に進行していきます。

矛盾なく本格的にきっちりしすぎていると、本作の登場人物たちの愛すべきユーモラスな持ち味が損なわれてしまうに違いないので、細かいところの整合性は捨ててキャラクターの魅力を前面に押し出す方向に振ったのでしょう。

主演女優のふたりが超可愛いのはもちろん、それ以外にも魅力的な人物たくさんでとても楽しい映画でした。勘違い自己陶酔の激しいクズの中のクズだった主人公の彼氏だけは最初好きになれず、なんでこんな男に引っかかったんだと頭が痛くなりましたが。

新聞の見出しで登場人物たちのその後を示唆するユーモアセンス抜群のエンドクレジット最高ですね。ワンピースの新聞とか手配書の懸賞金更新みたいで。

たまにミニシアターに行くと、上映予定作品数本の予告の後にすぐ本編開始で気持ちいいですね。宣伝まみれの大手シネコンとは大違い。

ミニシアターにはミニシアターの、大手シネコンには大手シネコンの良さ、魅力がそれぞれあるのは重々承知の上ですが、それでも物には節度ってものがあると思うんですよね。

フランソワ・オゾン

往復電車賃3000円以上払って静岡市のミニシアターに行って、Netflixで配信されている映画『ザ・キラー』を1900円で観てきた

往復電車賃3000円以上払って静岡市のミニシアターに行って、Netflixで配信されている映画『ザ・キラー』を1900円で観てきた

たぶん、母や妹に話したら「はぁ?」って顔をされると思うんですよね。

自宅から静岡市まで約100km。往復電車賃3000円以上、片道一時間半を費やして静岡市のミニシアター静岡シネ・ギャラリーまで行って、Netflixで配信されている映画『ザ・キラー』を観てきたなんて話したら。

理解不能どころか、正気を疑われるかもしれません。

映画を一本観るのに5000円以上かけているわけで、コスパやタイパでいったら赤字も赤字、大赤字ですからね。

母や妹の呆れ顔や声を見たり聞いたりするのは愉快ではあるのと同時に不愉快でもあるので、ずっと黙ってると思います。

近いうちにみんなで東京の次女宅に押しかける予定があるので、もしかしたらみんなでお酒でも飲みながら話してたら、うっかり口を滑らせてしまう可能性はありますが。

どうせ理解されませんからね。男のロマンなんて。

だって、あの『セブン』や『ファイト・クラブ』を手がけたデヴィッド・フィンチャー監督の新作ですよ。そら映画館で観たくなるでしょう。どっか近くで上映してないかな、と探すでしょう。

そしたら、片道約100kmあるものの同じ県内の静岡市のミニシアターでちょうど上映開始されたばっかりだったので、これ幸いと突撃してきました。

映画は、仕事の成功の確率を少しでも上げるための心得を淡々と自分に言い聞かせるように話す凄腕ヒットマンの独白で進むという内容で、派手なアクションはほとんどなかったですが、そのぶん内面に切り込んだ丁寧な作りに引き込まれました。

自分の行動を律するための暗示をかけるかのように彼独自のこだわりやルールを披露しているそばから、そのルールを破らざるを得なかったり自分が思い描いていたのとは違った結果になってしまったり、理想と現実のギャップとアクシデントを乗り越えるリカバリー能力の高さが見どころです。

自分も音楽が好きなので、心理状態を落ち着けるために音楽を聴いていたところも好きですね。カメラ視点の主観と客観が切り替わるたびに音楽の聞こえ方が変化していたところも芸が細かかったですが、切り替えが頻繁だったのでそこはちょっと気になったかな…。

心理状態を落ち着けるための音楽に彼が選んでいたのはThe Smithsの楽曲でしたけど、自分だったら仕事で常にベストをキープするための楽曲に誰を選ぶだろう。

これ難しくないですか?

激しすぎたら音楽に引っ張られて仕事が手につかなくなっちゃうし、逆に心地良すぎてもひと休みしたくなっちゃうし。しっくりくる曲を見つけるまでに仕事をミスりまくってクビになりそうです。

あ〜面白かった。

やっぱり映画館まで観に行ってよかった。配信で家で手軽に観れるのもいいですけど、良作を映画館で堪能するからこそ得られる満足感も間違いなくありますね。

配信で一度映画を観たことがあるんですけど、その時は映像と音がいつの間にかズレちゃってて、なんだよとガッカリしたので配信にはあまり好印象がないんですよね。

退会手続きが迂遠すぎて面倒くさいとか、観たい作品を探すのが大変とか、いつの間にかラインナップから消えてたりとか、観たい作品に限って別料金の支払いが発生するとか、利便性と表裏一体の負の側面も気になりますしね。

デヴィッド・フィンチャー

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を観たら、劇中歌がどれもこれも素晴らしくてサントラを大人買いすることになった

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最初、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol. 3』を観るつもり、なかったんですよ。スルーするつもりでした。

前二作を観ていないですし、アベンジャーズも通っていないですし。

そしたらですよ。いざ映画が公開されたら、Twitterのタイムラインが絶賛の声で溢れかえっているじゃないですか。

調子だけはいいものですから、それで俄然(え!?そんなに面白いの!?こりゃ下手にネタバレを踏む前に観てみるしかないか…)とその気になって、前二作をツタヤで借りて観たあとで劇場に足を運びました。

映画は評判に違わぬ面白さでした。アベンジャーズを観ていないので、『スパイダーマン』のホームシリーズを観た時と同じように(Vol. 2とVol. 3との間に一体何があったんだ…)とモヤモヤしつつも、それでもむちゃくちゃ面白かったです。

映画の物語も面白かったですが、それ以上に私が心惹かれたのは劇中歌でした。三作とも、採用されている劇中歌がどれもこれもとっても良くて、すっかり心奪われてしまったのです。

特にオープニングですね。三作とも、オープニング曲の破壊力が凄まじい。

Vol. 1ではRedboneの”Come And Get Your Love”に合わせてスター・ロードが軽やかにステップを踏みながら目障りな害獣を蹴飛ばしまくり、Vol. 2では仲間たちの死闘を歯牙にもかけずElectric Light Orchestraの”Mr. Blue Sky”に合わせて可愛らしいベイビー・グルートが踊り狂い、Vol. 3ではRadioheadの”Creep”のアコースティック・バージョンをロケットが漢の渋い哀愁を撒き散らしながら口ずさむという、常軌を逸した強烈な掴みを放ってくるのです。

うわ〜なんだこれ、最高すぎる…。

今まで、ライブを観に行って特に好きというわけでもなかった曲の真の魅力に気付かされて評価がひっくり返ったことはありましたけど、映画を観て特に印象に残っていなかった曲の真価を突きつけられて目を覚ますことになったのは初めてかもしれません。

中でも特にRadioheadの”Creep”ですね。こんなにいい曲だったっけか?と。いや参りました。

すっかりやられた私は、三作品のサントラをまとめて大人買いすることになったのでした…。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

https://rockinon.com/interview/detail/206315

無策で『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』のIMAX版を公開初日に劇場で観たら、めちゃ混んでて隣席ガチャに大外れした

無策で『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』のIMAX版を公開初日に劇場で観たら、めちゃ混んでて隣席ガチャに大外れした

すっかり油断していました。

忘れてました。

たまにはこういうこともあるのだということを。

5月19日、大人気映画『ワイルド・スピード』シリーズの最新作『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』のIMAX版を公開初日にレイトショーで観てきました。

チケット購入時は(さすがワイスピ、人気あるだけあって混んでるなぁ)とまだ呑気に構えていました。

IMAXを観るときにいつも選んでいるF列がその時点ではまだまだ余裕があったので、間に三つ開けとけば隣り合うことはあるまいと思ってたら、まさかそこに周囲への迷惑などまるで顧みない三人組が入ってくるとは、完全に想定外でした。こういう三人組は後方の席から観るのを好んでいるという思い込みのようなものもあったので…。

今まで、隣席ガチャで外れたといえば、同じ上映回にビニール袋の音がガサガサとうるさかったり、咳払いやくしゃみの激しい人がいたことがあったくらいで、ほぼほぼ平和的な観劇を楽しめていたので、すっかり油断して危機感が欠如していました。

結果、混んでたら隣席ガチャに外れる可能性が跳ね上がるというリスクにまったく思い至らず、無策で座席を選んだ私は生まれてこのかた記憶にないくらい隣席ガチャで大外れを引きました。

いや、百も承知ですよ。そもそもが、ワイスピがじっと黙って行儀よく座って観るようなタイプの映画ではないということくらいは。

友人と来たなら楽しく会話しながら観たくなり、いかにも美味しいアクションシーン以外のどうでもいい場面はスマホでも眺めてやり過ごしたくもなるでしょう。

気持ちはわからないでもない。

しかしですよ。あるでしょう、世の中には。最低限の仁義、礼節というものが。ほんの二時間程度くらい、鑑賞マナーを守りましょうよ…。

本編の上映が開始されても堂々とスマホ見てるわ、注意したらしまったけど時々こっそり見てるわ、ちょっと静かになった場面でいきなり話し出すわ、急にゴソゴソ動き出したからどうしたのかと思えば上着脱ぎ出すわ、レティ対サイファーの真っ最中に離席するわ、チラチラこちらの様子を覗き込んでくるわ、今こうして思い返しながら列挙しているだけでもイライラしてくるほどムカついていたので、辛抱たまりませんでした。

おれなんて(雨降ってるけどシャカシャカした撥水ジャケットなんて着てって衣擦れの音で周りの人に迷惑かけたらいけないな)と思って衣服の素材にまで気を配ってたのに、とんだピエロじゃないかよ。アホくさ。

たぶん、ワイスピが好きなのは三人のうちひとりだけで、他ふたりはあんま興味なくて気乗りしてなかったけど友人に付き合ったんでしょうね。そうじゃなかったら、通常料金より高いIMAXを選んでおいてこれはないでしょう。

彼らの振る舞いが忌々しすぎて、劇中歌にManeskinが流れたことすら気がついてなかったですからね。せっかくIMAXサウンドでManeskinの曲を聴くチャンスだったのに。

あ〜ムカつく〜。重ね重ねめがっさムカつく〜。

私は一体どうするべきだったのか。

こうなった以上、今後、同じ轍を踏まないためにも対策を練るしかありません。

(なんか混んでるな)と感じた時点でIMAXを諦めて空いているであろうイオンシネマに行くべきだったのか、気を抜いたら座席から振り落とされそうでスマホなんてチェックする余裕もなさそうな4DXで観るべきだったのか、レイトショーより不埒な輩が少なそうな朝イチの上映回に行くべきだったのか、公開初日は諦めて二週目以降に行くべきだったのか、これらの条件をいくつか重ね合わせてさらにリスクの軽減を試みるべきだったのか。

6月は楽しみにしている新作映画が多いので、この失敗を繰り返さないように今一度気を引き締めなければ。

あ、映画は面白かったですよ。隣人にイライラしすぎて没入を阻害されまくったのに二時間半あっちゅう間だったので。それだけにまた胸のムカムカが蘇ってきてしまうわけですが。あいつらさえ隣に来なかったらと。もっとこの娯楽大作を心から楽しめていたはずだったのにと。

所々首を捻る展開はありながらも『スカイ・ミッション』をピークに下降し続けていたテンションを一気に引き上げている快作でした。シリーズのファンのみならず、劇場の大画面ど迫力音声で観ておくべき一本かと。

危惧すべきは客層の悪さだけですね。Twitterで他にも隣席に恵まれなかった報告をたくさん目にするので。『スカイ・ミッション』から劇場で観るようになったんですけど、『ジェットブレイク』まではこんなことはなかったんですけどね…。