連載当時、毎週毎週ジャンプを買って物語の行方を固唾を飲んで見守っていたいち読者が、20年も待たされた映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観てきた

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連載当時、毎週毎週ジャンプを買って物語の行方を固唾を飲んで見守っていたいち読者が、20年も待たされた映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観てきた

タイトルに20年も映画を待っていたと書きましたけどそれは言葉のあやで、いきなりぶっちゃけますけど、最初観に行くつもりなかったんですよ。スルーするつもりでした。

というのもですね、原作が好きすぎると、アニメ化とか映画化とか興味がなくなるんですよね。

自分がどれだけ漫画『スラムダンク』に熱中していたかといいますと、当然ですけど原作コミックスは全巻持っていて何周したかわからないくらい読み込んでいますし、中学時代はサッカー部員だったんですけど給食を食べ終わると体育館に直行して空いているリングでジャンプシュートの練習をしていたくらい好きでした。昼休みにサッカーの自主練習をしたことなんて一度もないのに。

中学で部活どうするかってなったときに、運動部で球技だなとサッカーかバスケかで悩んだ末にサッカーにしましたけど、その前に『スラムダンク』が連載スタートしてハマってたら、バスケ部に入っていたかもしれません。

中一のときにバスケ部の二個上の先輩たちが全国制覇し、その翌年には一個上の先輩たちが全国準優勝するというキセキの世代みたいな先輩たちだったんですけど、もしバスケ部を選んでたらそんな伝説を目の当たりにしていたかと思うと惜しいことをしました。

まあそんな自分の思い出話はさておき、原作が好きであれば好きであるほど、改変、カット、新解釈、取ってつけたようなオリジナルストーリー挿入が許せないんですよ。かといって原作そっくりそのまま再現されても(なんの捻りもなしかい!)と思っちゃうのがややこしいところなんですけど。

アニメは昔は見ていたんですけどね。『スラムダンク』はもちろん、『ドラゴンボール』なども。いつしか見なくなってしまいました。テレビアニメって間延びと引き伸ばしが酷いじゃないですか。誌面で連載中の原作に追いつかせないがための。

それでかったるくなっちゃって。テンポ悪すぎて、見てられるかって。内容うっすいし、少しずつしか進まないし。やっと次の週になったら、最初の5分くらい前回のおさらいだし。

そんなこんなで、いつしかこんなめんどくさい原作至上主義者に育ってしまいました。

だから、映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観に行くつもり、なかったんですよね。最初。

心変わりしたきっかけは、Twitterのタイムラインで「オープニングからガッツポーズもので最高でした」という、公開初日朝イチの上映回で観てきた人の感想を目にしたことです。

オープニングからガッツポーズで感動って、『トップガン マーヴェリック』や『ボヘミアン・ラプソディ』に匹敵するレベルってことか?それって相当だぞ…と少し興味がでてきて、結局その日の夜のうちに観に行くことにしました。

不意にネタバレをくらう前に。

なんせ、その時点では物語のあらすじすら明らかにされていませんでしたからね。事前情報なしで観てほしいという公式の気持ちを汲むことにしました。

公開からひと月半以上経過しましたが、極力ネタバレを避けつつ、観てきた感想を述べていきます。

まず、原作者が自ら監督や脚本も手がけてこだわりに心血を注いでも、こんなふうに大胆な新事実で様変わりするのか…と驚きました。

面白かったかつまらなかったかでいったら、面白かったですよ。感動しましたし泣きましたし。

なんだこれは!この先一体どうなるんだ!?と衝撃の幕開けからのオープニングもむちゃくちゃカッコよかったですし。

アヤコさんも晴子さんからスラムダンクNo.1ヒロインの座を獲りにきているのかと思うくらい可愛かったですし。

原作そのままの絵が生命を吹き込まれたかの如くイキイキと躍動していた作画も素晴らしかったですし、実際のバスケの試合を生観戦しているかのような臨場感やリアルなスピード感、緊迫感や緊張感も凄まじかったです。

試合結果知ってるのに。この先どうなるか知ってるのに。引き込まれて息を呑み、目が離せなくなるのです。

大ヒット上映中ということもあって客席もけっこう混んでるんですけど、誰ひとり、誰ひとりですよ、咳払いひとつしないどころか身じろぎや飲食の物音を立てないくらい静まり返って、空気が張り詰めているんですよ。

しかしそれでも、それでも初回鑑賞後には不満が胸に残っていました。

名場面カットが多すぎたからです。あれもこれも切り捨てられてるじゃないか、と。

映画一本二時間という枠組みを考えたら、大胆なカットはやむを得ないと頭ではわかっていても、納得できるかどうかはまた別の話です。

主人公の過去も壮絶で、いやヘビーすぎるでしょ、暗いし重いよこれは…と勘弁してくれという気持ちがありました。

面白かったけど納得いかなかったところもあって、それでも余韻で原作を何周も読み返してたら、主人公のリストバンドを再確認したり、花道がこの映画の主人公に対して「意外と苦労人でな…」と映画を観たあとにチョー重くなる何気ないひと言を呟いているのを新発見したりして、改めて感動したり感慨深くなったりしているうちに早ひと月が経過して初回鑑賞の記憶も薄れてきたので、おかわりしにいきました。

原作が好きすぎるが故の初回鑑賞時の不満点の再確認、という意地悪目線で。原作至上主義を盾に。

ところがですよ。二回目を観たら、初回に感じた名場面カットへの不満がゼロだったのです。なぜか。不思議なことに。主人公の過去も重さもさほど気にならず。結果、すべてを受け入れて、ストンと胸に素直に落ちてきたのです。

二回目の方が明らかに感動も面白さも上で、しかも前回の不満まで消えたわけですから、評価は完全にひっくり返りました。

二回目に、初回には気がつけなかった細かな描写の意味にも気がついたりして、それがまたよかったですね。はっきりと明言したり説明していなくても、ちゃんと書き込んでるんだということが伝わってきて。

自分と同じように、映画を観たけど原作が好きすぎて納得いかないと感じた人たちは、騙されたと思ってもう一回観に行くべきです。評価がひっくり返る可能性が少なからずあります。

それでもあえて不満点を捻り出すとしたら、三点ほどありますが。

  • 主人公がマネージャーに一目惚れして、彼女の笑顔見たさに自分がチームを強くすると決意した瞬間
  • 主人公が監督を慕って進学先を決めた理由
  • キャプテンとそのライバルの評価が逆転し、対戦相手に主人公の存在感を印象付けた一年前のあの試合

以上、この三点について、映画内できちんと描いてほしかったですね。彼を主人公としたならば。

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