Pretty Maidsのシンガー、Ronnie Atkinsの初ソロアルバムが凄まじい

Pretty Maidsのシンガー、Ronnie Atkinsの初ソロアルバムが凄まじい

Pretty Maidsはデンマーク出身のヘヴィ・メタル・バンドです。

結成は1981年なので、Ronnie Atkinsのソロアルバムは40年に及ぶキャリアの中で初めて、ということになります。EclipseのErik Martenssonと組んだNordic Unionなどで歌ったことはありますが、純然たるソロアルバムは初めて。

ソロアルバム作成の動機のひとつには、2020年10月にステージ4の肺がんであることを告白したことが大きく関係しています。日本盤ライナーノーツにも、がんの転移の宣告はショックだったが、自分に何ができるだろう、曲を書いて歌うしかない、と切り替えたと語っていたと記されています。

この切り替えは凄いですよね。一度は完治したと思ったがんが、転移してステージ4で見つかったというのに、絶望に打ちひしがれずに創作活動に打ち込むと決心しただなんて。強いですよね。自分だったらこんなふうに切り替えられただろうか。きっと自暴自棄になっていたんじゃないかな。

曲を書いて歌うしかない。そんな精神状態で制作されたこのアルバムは、Ronnie Atkinsの魂が振り絞られています。

鬼気迫る歌声は、まるで魂の咆哮です。

肺がんとのことなので、呼吸に影響がないはずはなく、それはつまり歌唱にも多大な悪影響があるはずなのですが、そんな負の要素を微塵も感じさせない歌声です。

一体全体どうなっているんだと、あっけにとられて圧倒される勢いです。

このアルバムには、そんなRonnie Atkinsの歌唱が際立つような楽曲が多く収められています。コーラスが分厚かったり、アレンジが荘厳だったり、サウンドが豪快だったりと、手練手管でRonnieの独壇場を阻もうとしているのですが、そんなあの手この手をあっさり跳ね除けるRonnieの歌唱が素晴らしい。

曲がまたいいんですよねぇ。

今作はバンドのようなメタル性は皆無で、歌メロに重きを置いたメロディアス・ロックなので、(Pretty Maidsの攻撃性の強い曲は苦手だな、ポップな曲は最高なんだけど)と感じていた人にぜひ聴いてみて欲しいアルバムです。

本当に肺がんステージ4なんですか?嘘ですよね?じゃなきゃこんなに歌えるわけないですよね?

このアルバムを聴いていると、そんなふうに現実逃避的な懇願を重ねたくなってしまいます。

投稿者: 弘志

洋楽ロックとミステリー小説と洋画をこよなく愛する、ソロキャンプにも夢中なスキーヤーのブログ。好きな音楽を聴きながら愛車で出かけて、デジタル一眼レフで写真撮影を楽しんでいます。商品リンクはAmazon/楽天アフィリエイトリンクを利用しています。