初めて『デス・プルーフ』を観たら、結末が快感すぎて思わず変な声がもれた

初めて『デス・プルーフ』を観たら、結末が快感すぎて思わず変な声がもれた

『デス・プルーフ』はクエンティン・タランティーノ監督の五本目の長編映画で、2007年に公開された作品です。

前作が『キル・ビル』で、この次が『イングロリアス・バスターズ』と、いかにもハリウッドらしい見栄えのある大作に挟まれているので、やや損をしている映画かもしれません。

昔『パルプ・フィクション』は面白いなと思ったものの『レザボア・ドッグス』と『キル・ビル』にはあまりハマらず、『イングロリアス・バスターズ』で衝撃を受けたものの過去作を見返すことはしなかったので、『デス・プルーフ』は未視聴のままでここまで来てしまいました。

超久しぶりに『キル・ビル』を観直してみたら思いがけずハマってしまって、その流れでタランティーノ監督の他の過去作も観てみようという気になりまして、初めて視聴する運びとなりました。

事前情報として予告も見ずにDVDを借りてきたので、再生ボタンを押して数分後には戸惑っていました。

何だこれは。私は一体何を観ているのだろう…。

延々と、ハッピーな青春を謳歌している妙にエロいうら若き女性のガールズトーク。今にも擦り切れそうなフィルム映像みたいな質感の画質にも困惑しました。

これは無理かも。今にも切れそうな集中力。それをギリギリで繋ぎ止めていたのは、今作のヒロインと思われる妙にエロい女の子たちの扇情力。

女子会がお開きとなったところで、このあとどうなるんだろうと思っていたらド変態のイカれた性癖大爆発で目が点に。しばし呆けてたらそのまま何事もなかったかのようにガールズトーク第二部が幕を開けたので、またここから丁寧に積み上げていくのか、すごいなと感心しました。

ということは、このコたちにもあの悲劇が訪れるのか…と暗澹たる先を予想していたら、華麗なる大逆襲にテンション爆上げ。そして結末の爽快感。天竜人の横暴にブチ切れて殴り飛ばしたルフィに通じる爽快感が全身を駆け抜けました。

感動しました。泣いてはいないですけど、しかし、この感情は間違いなく感動でしょう。

タランティーノ監督にしか撮れない世界観だと思います。これに憧れて真似しようとしたところで、退屈だけど何故か気になるという綱渡りを渡らせることができずに、脱落者を量産するだけでしょう。

やっぱりすごいですね。世界中にタランティーノ監督の熱狂的なファンがいるはずですよ。

気に入りすぎてBlu−ray買ってしまいました。これはたまに真夜中に見て、結末で歓喜の声を上げたくなる傑作です。

いつぶりか思い出せないほど久しぶりに『キル・ビル Vol. 1 & Vol. 2』を観たら、思いがけずハマった

いつぶりか思い出せないほど久しぶりに『キル・ビル Vol. 1 & Vol. 2』を観たら、思いがけずハマった

先日、女性エージェント達が大暴れするスパイアクション映画『355』を映画館で観たんですけど、その上映前に『ガンパウダー・ミルクシェイク』という新作映画の予告が流れました。

そのときに、『ジョン・ウィック』や『キル・ビル』からの影響を感じて面白そうだなと思ったものの、そういや『キル・ビル』ってずいぶん前に観たきりで内容の覚えも朧げだな、と気がついたので、レンタルビデオを利用して再鑑賞してみました。

そしたらハマっちゃったんですよ。思いがけず。自分でも意外なことに。

こんなに面白かったっけ?と。

演出や衣装が奇抜でド派手なアクション映画、という印象だったんですけど。

ストーリーは単純明快です。タイトル通り。キル・ビルを英語にするとKill Billで、ビルとは暗殺者集団のボスの名前なので、すなわち『ビルを殺せ』というのがタイトルです。

主人公はかつてビルの組織に所属していた女性の殺し屋、ザ・ブライド。ユマ・サーマンが演じるザ・ブライドの復讐譚で二本立ての、超ボリュームです。

Vol. 1では復讐対象者の家をめちゃくちゃにする決闘や病院からの逃走、どこかがおかしい日本の登場にいきなりの無駄にかっこいいアニメ挿入、居酒屋を血の海にする一対多のド派手なチャンバラ、ととにかく目を引くアクションが展開されます。

それに対し、Vol. 2ではぐっと落ち着いたトーンで物語が展開され、動機や人となりに焦点が当てられることで、荒唐無稽さや突拍子のなさが影を潜め、渋さと深みが増しています。見応えのある一対一が続いたり、忘れた頃に意外性のある不意打ちがあったりと、痺れるシーンが多いです。

覚悟を決めた緊張感の満ちた会話から決闘への流れとか、最高でしたね。特に最後の決闘。椅子に座って対面での会話からいきなり剣を抜いて切り結ぶとか、アイデアも秀逸。

映像美もすごかったですね。ザ・ブライドが復讐を決意するに至った襲撃事件の舞台は片田舎の小さな教会なんですけど、幹線道路の脇にポツンと建っている教会の中から外から、印象的な構図をビシバシ決めまくっているんですよ。

このカメラワークの凄さは、趣味でデジタル一眼レフで写真撮影するようになったからこそ気がつけた点かもしれません。

あまりにハマりすぎて、隣の市のブックオフに通りがかりついでに寄ってみたら『キル・ビル Vol. 1 & Vol.2』のツインパックDVDが売っていたので買ってしまいました。

ほんとはBlu−rayで欲しかったのですが、日本盤はプレミア化して高騰していたので、いつか再発するまでこれで物欲をやり過ごします。

洋画は字幕に限るとイキっていたおっさんが映画『シング:ネクストステージ』の日本語吹き替え版を観たら泣かされた話

洋画は字幕に限るとイキっていたおっさんが映画『シング:ネクストステージ』の日本語吹き替え版を観たら泣かされた話

私は普段、洋画は字幕版を観ています。日本語吹き替え版を観ることがあるとしたら、洋画のテレビ放送を観るときくらいでしょうか。

小中高生の頃にテレビでよく観ていた『ダイ・ハード』や『ターミネーター』などは頭の中に日本語吹き替えのイメージが定着しているので観れるのですが、最近の映画は無理ですね。

面白そうな新作映画を映画館で観たいとなったとして、字幕版の上映時間が微妙で日本語吹き替え版の上映時間がドンピシャだったとしたら、観劇を諦めるかもしれません。それくらい私は日本語吹き替え版を避けています。

それがなぜ、今回『シング:ネクストステージ』に限って日本語吹き替え版を観たのかというと、大好きなB’zのシンガーである稲葉浩志さんが伝説のロックシンガー、クレイ・キャロウェイ役で声優に初挑戦しているからです。

予告でセリフを喋っているところを少しだけ見れるのですが、それを見てなお(嘘だろ、ほんとに声優やってるよ…マジかよ…)と半信半疑だったくらい、衝撃的なニュースでした。

もしこのキャスティングがなかったらたぶん観てないですね。スルーしていたと思います。現に前作『シング』はサントラこそ買ったものの、映画は観ていないですしね。

公開初日のレイトショーで観てきたのですが、これが予想を遥かに上回る素晴らしさでした。

泣きました。圧倒的洋画字幕派の涙腺をも緩ませる日本語吹き替え版でした。

さすが、字幕しか認めないという『シング』にあって吹き替え版の権利を勝ち取っただけのことはあります。素晴らしいクオリティでした。

上映中に小さな子供が、たぶんトイレだろうと思うのですが、忍び笑いをもらしながら数回席から出入り口までドタドタと足音を立てて走って往復されて(勘弁してくれよ)と閉口したのですが、上映終了後に胸を満たしていた感動はこれしきのハプニングではゆるぎませんでした。

最愛の妻を失い世捨て人になったものの心の奥底に優しさの残るキャロウェイ、甘やかされて自由奔放に飛び回るポーシャ、引っ込み思案で可憐な乙女心を応援したくなるミーナ、鬼指導から自信を失うもそれを克服するジョニー、みんな素晴らしかったです。

他にも、暴走超特急なムーン、キャロウェイの心を解きほぐしたアッシュ、お調子者だが憎めないグンター、決めのシーンで飛び出せずに一度は役を失うも取り戻すロジータ、ムーンを献身的に支えるミス・クローリーなど、多彩な登場人物は誰も彼もが魅力的です。

キャロウェイの心を動かしたアッシュの弾き語りも素晴らしかったですが、一番感動したのは最後のデュエットでキャロウェイが歌い出した瞬間ですね。

感極まりすぎちゃって、劇中でどんな歌声を披露してくれたんだったか記憶にないんですよね。上映終了直後にはそんなことにも気づいてなくて、しばらく経ってから(あれ、そういえばどんな歌声だったっけ?)と愕然としました。

これが一番のお目当てで吹き替え版を観たのに…。

これから観る人は、この情報過多社会でそれは難しいでしょうけど、誰がどの役を担当しているのかまったく知らないまっさらな状態で、何も身構えずに観てほしいなぁと願いたくなってしまいます。

例えば、予告編でちらっとポーシャの歌声が聞けるんですけど、これを劇場でいきなり聞かされたときの衝撃といったら!ぽっと出に役を奪われて敗北感に打ちのめされるロジータと同じくらいこちらも圧倒されましたからね。あとでインタビューを見たら、普段の話し声とぜんぜん違うので二度びっくりですよ。

ミーナ役も誰か知らずに観ていたので、話し声は異様に可愛らしいし歌は異常に上手いしで(誰だこれ??)と疑問に思いながら観ていました。エンドロールでその正体を知って異常に歌が上手いのには納得しましたが、可愛らしいセリフの喋りも上手すぎる!前作では彼女の吹き替え挑戦が売りだったんでしょうね。

取り上げる曲の選曲がまた憎いんですよね。踊れるポップスからノリのいいロック・ナンバーまで、キャッチーな名曲のオンパレード。

劇中劇のタイトルが、北欧の有名ハードロックバンドの名盤タイトルや、そのハードロックバンドに在籍していたギタリストが新たに立ち上げたバンド名と同じだったのにも、不思議な縁を感じました。

できれば、映画館であと二回観たいですね。字幕版で一度。耐性をつけて、今度こそ冷静に二度目の吹き替え版。他にも観たい新作映画があるので悩ましいですが…。

しかし参りました。まさか『シング』がこんなに素晴らしい映画だったとは。ひょっとして、前作をスルーしていたのはとんでもない悪手だったのでは…。

『シング』をスルーしていたおれのバカ!アホ!間抜け!

自分で自分を罵りながら、前作『シング』のBlu-rayを注文するのでした。

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