2001年にDVD化されたB’zのライブ映像作品『Live Ripper』を、22年後の今年になって購入したわけ

2001年にDVD化されたB’zのライブ映像作品『Live Ripper』を、22年後の今年になって購入したわけ

2023年3月10日から12日にかけて、千葉県の幕張メッセでB’zの結成35周年を記念するB’z presents Treasure Land 2023というイベントが開催されたのですが、そのイベントの目玉のひとつが未映像作品化のLIVE-GYM Pleasure ’93 “Jap The Ripper”とLIVE-GYM Pleasure ’97 “Fireball”のフルバージョンのシアター上映でした。

過去のその二公演のシアター上映のみならず、そのイベントのグッズ販売やコラボフード屋台、フォトスポットなどとても楽しそうなお祭りで行きたかったのですが、その二週間後に音楽フェスPunkSpring 2023で幕張メッセに行く予定だったので、さすがに月に二回の幕張メッセ行きは無理だと諦めました。

その代わり、Pleasure ’93 “Jap The Ripper”とPleasure ’97 “Fireball”は全国の映画館でもライブビューイング上映してくれるということだったので、近くのTOHOシネマズに二夜連続で足を運びました。

近くには他にもユナイテッド・シネマやイオンシネマもありますが、TOHOシネマズの音響が素晴らしいので、ミュージシャンの伝記映画やライブ上映ではTOHOシネマズを選ぶようにしています。

Pleasure ’93 “Jap The Ripper”は昔VHSビデオで『Live Ripper』というタイトルで編集版が発売されていて、学生当時は高すぎて買えなかったのでレンタルビデオで借りて観たことがあったのですが、その時はあまりインパクトを感じていませんでした。

これには、当時の音楽観も関係していたと思います。昔はCDに収録されているスタジオバージョンこそが至高だと思っていて、ライブはその劣化版だと思っていたんですよね。CD>ライブというふうに。

チケットの入手方法が分からなかったということもあってCDを買い集めて音を聴くだけで満足していたのですが、インターネットを通じてチケットの入手方法を知り遅まきながらライブにも足を運ぶようになり、ライブにはライブならではの、CDとはまたひと味違った魅力があることを知り、偏りまくっていた音楽観も少しづつ変化していくことになります。CD≠ライブというように。

このような音楽観の変化のおかげか、映画館の大画面で没入感が増したおかげか、はたまた映画館のど迫力極上大音響のおかげか、それともノーカットフルバージョンだったのが良かったのか、映画館で観たPleasure ’93 “Jap The Ripper”は素晴らしかったです。

とてつもなく。それはもう、想像以上に。

観劇後、興奮状態が尾を引いていたのか、その夜日付が変わる前に布団に入ったのにもかかわらず、三時間近く眠れずに寝返りを打ちまくりながら悶々としていたくらい。

おふたりにとっても、もし「これまで1000回以上LIVE-GYMを演ってきてベストはどれですか?」と質問されたなら、頭に思い浮かべる特別な公演のひとつでしょう。きっと。

初めての単独野外大型イベントに、いつかこんなことが自分たちのライブで出来たらいいなと夢想していた演出をこれでもかと盛り込みつつ、殻を破って限界突破してる感もいい。すごくいい。

初めて観たのがこのライブだったなら、CD>ライブという音楽観は30年前にとっくにひっくり返り、ライブ狂になっていたかもしれません。もしくは、基準が高くなりすぎてそんじょそこらのライブでは満足できない贅沢な身体になっていたか。

サポートメンバーにホーンセクションを採用して、ジャズのソロバトル風なゴージャスなアレンジを施してたのがまたたまらなかったですね。映画『BLUE GIANT』を観たあとだったから余計に突き刺さったのかもしれません。

画質はさすがにノイズが目立って厳しかったですけど、音質は素晴らしかったです。

劇場の上限いっぱいギリギリまで攻めてたんじゃないですかね。大歓声が耳をつん裂くようで。これ以上は勘弁してくれと思う一歩手前で。

あまりに感動して、『Live Ripper』のDVDを注文してしまいました。DVD化から22年後に。今さら。

フルバージョンを観たあとの『Live Ripper』も、昔からの音楽観の変化も手伝って、印象が様変わりしていて驚きました。

DVD化にあたって、フルバージョンから7曲削られ、MCもカットされていれば一部の曲は途中からだったり途中で終わっていたり、その代わりオフやリハーサルの模様が収められていたりとかなり大胆に手が加えられています。

自分はライブでのMCはあんまり好きじゃなくて、無理して気の利いたことや面白いこと喋ろうとしないでいいからMCの時間を削って一曲でも増やしてほしいと思っているタイプなんですけど、フルバージョンでのMCがDVD化で削られていたことに、味気なさというか情緒のなさというか間の悪さというか、流れが性急すぎるように感じてしまって少なからず戸惑いました。

自分の好みからしたら歓迎する方向の編集のはずなのに。

今回のライブビューイング視聴、製品を購入してのお代わりを通して、また自分の音楽観がマイナーチェンジされたようです。

この翌日に観たPleasure ’97 “Fireball”も素晴らしかったので、その模様が一部収録されているDVD『Hidden Pleasure』も欲しくなっちゃってます。

アルバムツアー終了間際に発売されて、その初回限定盤にまだ開催中のそのツアーから6曲が抜粋されたライブDVDが付属する異例ずくめのアルバム、それがB’zの『Highway X』

アルバムツアー終了間際に発売されて、その初回限定盤にまだ開催中のそのツアーから6曲が抜粋されたライブDVDが付属する異例ずくめのアルバム、それがB’zの『Highway X』

B’zの新作『Highway X』は、異例中の異例、そんな言葉がぴったりと当てはまる一枚です。

2022年5月14日からアルバム『Highway X』の全国ツアーが開始されているのにそのアルバムの発売日が約三ヶ月後の8月10日で、そのアルバムツアーがアルバム発売後まもなくの8月14日で終了するとか。

しかもアルバムの初回限定盤には今まさに最終日が間近となったそのツアーの模様が収められた6曲入りライブDVDが付属するとか。

今まで何枚も音楽CDを買ってきて、このパターンはさすがに初めてですね。前代未聞、前人未到、空前絶後。そんな言葉で語られるレベルの、世にも珍しい販売パターンです。

今度のアルバムに収録されるのはどんな曲なのかな?とドキドキワクワクを胸にライブを観に出かけ、そのライブの感動も薄れ忘却しつつある約三ヶ月後にCDに収められたいつになくライブ感あふれるサウンドに感激し、まだ終わってないツアーの映像をDVDで観てCDもよかったけどやっぱりライブもいいなぁと感動を揺さぶられる。

こんなふうに様々な楽しみ方ができたアルバムがかつてあっただろうか、という話ですよ。

まあ、なかったんですけどね。

特別な野外ライブイベントでこれから発売されるアルバムに収録される新曲を一曲だけ聴いた、とかならありますけど、さすがにアルバムツアーでCD発売前のアルバムから全曲先駆けて聴いたのは初めてです。

ツアーの日程を消化しながら、ライブ中に気がついたことを試したりしてギリギリまで音源に手を加えていたからなのか、新作のサウンドはいつになくライブっぽいサウンドに仕上がっているように感じました。

ギターの骨太なトーンはもちろん、豪勢できらびやかなブラスとか、重厚でありながら跳ねているリズムとか、要所要所で効果的なアクセントをつけてくるキーボードとか、それら主張の強いサウンドの束にも埋もれずに突き抜けてくる唯一無二の歌声とか。

それらが代わる代わるその存在を主張してくるんですけど、その主張が強すぎずかといって物足りなくもないという絶妙のバランスでまとめられていて、賑やかで迫力がありつつも、聴きやすくてわかりやすいサウンドが最高です。

中でも特に印象深いのが、アルバムの最後を飾るバラード”You Are My Best”ですかね。

ライブで初めて聴いたときも(曲名から予想していた通りの感動的なバラードだ〜)と感激したんですけど、CDで聴いたら(うお〜ライブのときの好印象を上回る完成度だ!)と驚かされて、ライブDVDを観てみたら(いやいや、ライブバージョンもやっぱり素晴らしいぞ?)と振り回された挙げ句、何を信じたらいいのかわからなくなって心の整理がつかなくて。

何だこれ?一体どうなってる?ちょっとわけがわからないな…。

まあ、何にしろ素晴らしいことに変わりはないのだから、別にいっか。

私は考えることをやめました。

『DINOSAUR』や『NEW LOVE』ほどの即効性のあるインパクトには欠けるような気もしますが、これは聴き込むほどにしっくりハマってくる、もしくはライブで聴くとまた印象が変わって化ける、そのどちらかでしょう。

延期になりましたけど、それまではCDを聴き込んで、ライブツアー千秋楽のライブビューイングで答え合わせします。

いつぶりか思い出せないほど久しぶりに『キル・ビル Vol. 1 & Vol. 2』を観たら、思いがけずハマった

いつぶりか思い出せないほど久しぶりに『キル・ビル Vol. 1 & Vol. 2』を観たら、思いがけずハマった

先日、女性エージェント達が大暴れするスパイアクション映画『355』を映画館で観たんですけど、その上映前に『ガンパウダー・ミルクシェイク』という新作映画の予告が流れました。

そのときに、『ジョン・ウィック』や『キル・ビル』からの影響を感じて面白そうだなと思ったものの、そういや『キル・ビル』ってずいぶん前に観たきりで内容の覚えも朧げだな、と気がついたので、レンタルビデオを利用して再鑑賞してみました。

そしたらハマっちゃったんですよ。思いがけず。自分でも意外なことに。

こんなに面白かったっけ?と。

演出や衣装が奇抜でド派手なアクション映画、という印象だったんですけど。

ストーリーは単純明快です。タイトル通り。キル・ビルを英語にするとKill Billで、ビルとは暗殺者集団のボスの名前なので、すなわち『ビルを殺せ』というのがタイトルです。

主人公はかつてビルの組織に所属していた女性の殺し屋、ザ・ブライド。ユマ・サーマンが演じるザ・ブライドの復讐譚で二本立ての、超ボリュームです。

Vol. 1では復讐対象者の家をめちゃくちゃにする決闘や病院からの逃走、どこかがおかしい日本の登場にいきなりの無駄にかっこいいアニメ挿入、居酒屋を血の海にする一対多のド派手なチャンバラ、ととにかく目を引くアクションが展開されます。

それに対し、Vol. 2ではぐっと落ち着いたトーンで物語が展開され、動機や人となりに焦点が当てられることで、荒唐無稽さや突拍子のなさが影を潜め、渋さと深みが増しています。見応えのある一対一が続いたり、忘れた頃に意外性のある不意打ちがあったりと、痺れるシーンが多いです。

覚悟を決めた緊張感の満ちた会話から決闘への流れとか、最高でしたね。特に最後の決闘。椅子に座って対面での会話からいきなり剣を抜いて切り結ぶとか、アイデアも秀逸。

映像美もすごかったですね。ザ・ブライドが復讐を決意するに至った襲撃事件の舞台は片田舎の小さな教会なんですけど、幹線道路の脇にポツンと建っている教会の中から外から、印象的な構図をビシバシ決めまくっているんですよ。

このカメラワークの凄さは、趣味でデジタル一眼レフで写真撮影するようになったからこそ気がつけた点かもしれません。

あまりにハマりすぎて、隣の市のブックオフに通りがかりついでに寄ってみたら『キル・ビル Vol. 1 & Vol.2』のツインパックDVDが売っていたので買ってしまいました。

ほんとはBlu−rayで欲しかったのですが、日本盤はプレミア化して高騰していたので、いつか再発するまでこれで物欲をやり過ごします。

Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を買った

Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を買った

買っちゃいました。タイトルのとおり、Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を。しかも輸入盤。約1800円の安さに負けて。

格安輸入DVDは、去年Bon Joviのベストヒットビデオ集『Greatest Hits The Ultimate Video Collection』を買ったら盤面傷だらけ(再生、スキップ、チャプター選択などに影響なかったのでそのまま所持しています)のものが届いて懲りたはずが、また冒険したくなってしまいました。

というのも、そのBon Joviのベストヒットビデオ集ですが、メガヒット曲17曲のMVとそのライブ版の計34曲という冗談みたいな特大ボリュームなんですけど、ライブ集は様々な公演からの寄せ集めだったからです。

寄せ集めの何が悪いって、シームレスに繋がっていないので、一曲終わるごとにブルーレイ再生機から読み込み動作音が鳴り、ぶつ切り感が大きい。これに想像以上に興を削がれてしまうのです。

小さな会場でのしっとりとしたアットホームなアコースティックセットや、巨大なスタジアムやアリーナでのエネルギッシュなフルセットがぶつ切りで混在していて、継ぎ接ぎ感甚だしくて没入感に欠けるため、ライブ版は寄せ集めよりも一夜の公演通しのほうがいいな、としみじみと感じ入ってしまいました。

そこで、ベストヒットライブ集の中でも一際輝いているマディソン・スクエア・ガーデンでのライブDVDを買ってみることにしました。輸入盤しかありませんでしたが、安かったので。

リージョンコードについて明記されていなかったのが不安ではありましたが、無事に再生できました。盤面にも擦り傷は皆無だったのでひと安心。当たり外れがあるのかもしれないですね。

この『Live At Madison Square Garden』には、アルバム『Lost Highway』のリリースに伴う2008年のワールドツアーの模様が収められています。

会場はアメリカ、ニューヨークにあるアリーナ、マディソン・スクエア・ガーデン。NBAファンにはニューヨーク・ニックスの本拠地としてもおなじみのあのアリーナです。

360度客席に囲まれた臨場感満点のステージで、Bon Joviが客席からの熱気にも負けない、白熱のステージを繰り広げています。

アルバム『Lost Highway』のツアーであるにも関わらず、アルバムからの曲は少なめでベストヒット的なセットリストになっているところが、嬉しくもあり微妙でもある、ちょっと複雑な点ですね。

往年のメガヒット曲がたくさん聴けるのは嬉しいですが、その反面アルバムの曲があまり聴けないのは残念です。

劇場で『Encore Night』を観たときにも同じことを感じたのですが、”Keep The Faith”はスタジオ版をCDで聴くと正直それほどでもないのが、ライブだとシャッフルビートとベースラインが際立って、途端にノリノリで楽しい曲に変貌するのが面白いですね。いわゆる、ライブ映えする曲だということなのでしょう。

“Always”や”I’ll Be There For You”といったバラード曲では、アドリブジャムセッションのような熱気を帯びたアウトロで、RichieのギターとBryanのキーボードのソロバトルのような競演が聴けて、最高です。

公演まるごと収録ではないというのは残念ですが、映像も音質もクオリティ高く、Bon Joviのパフォーマンスも絶好調なので、1800円はバーゲンプライスです。お買い得にもほどがある。

やっぱり、Bon Joviはかっこいいですね。かっこいい。知ってましたが再確認しました。

ベスト盤『Cross Road』で洋楽ハードロックの世界へと誘い、劇場版ライブ『Encore Night』で最近のアルバムへの再評価を促し、『Greatest Hits The Ultimate Video Collection』でライブDVDへの興味を引き、そのライブDVD『Live At Madison Square Garden』でライブバンドとしてのBon Joviの魅力を見せつける。

私の音楽愛好家歴に楔を打ち続ける。いくつになっても、いつまでもBon Joviはかっこいい。永遠に特別なバンドのひと組です。

Queenの二枚組ライブDVD『Live At Wembley Stadium』を買った

Queenの二枚組ライブDVD『Live At Wembley Stadium』を買った

2021年の末、NHKでこの1986年7月に行われたウェンブリー・スタジアムでのQueenのライブがテレビ放送されまして、当初放送を観るつもりだったんですけども(あれ?なんか時間が短くないか?)と気になって調べてみたら、案の定ばっさりカットされてたのでがっかりしまして、それならばとライブDVDを買いました。

ホントはどうせ買うならBlu-rayが欲しかったのですが、DVDしかなかったので妥協しました。1986年7月12日のライブの模様が収録された一枚目と、その前夜のライブの模様に加えてインタビューやリハーサルなどが収められた二枚目の、二枚組。25周年記念完全盤。

映像は正直イマイチですね。

ライブ撮影は、暗かったり照明の明滅が激しかったり演者の動きを追い続けなくてはならなかったりと、難しい条件がそろっているのでそもそもが厳しい、という面もあるんですけど、照明のにじみやノイズによるザラつき、カメラのパンに伴う残像感、輪郭のぼやけや色飛びが気になります。

4KリマスターされたBlu-rayがもし発売されたら、買い直すかもしれません。

ただ、音質は抜群に素晴らしいです。録音状態が良かったのか、ギリギリを攻めたミックスバランスが絶妙なのか。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観たときに抱いた印象ですが、Queenはアルバム制作において音響に並々ならぬこだわりがあったようなので、それがライブ映像作品の制作にも反映されたのかもしれません。

各パートの音がそれぞれしっかり主張しながらも、ぶつかって喧嘩していないので聞きやすく、生々しい迫力があります。

太く重い低音の上で、ピアノやギターや歌声の中高域が、ライブエナジーはち切れんばかりに生き生きと躍動しています。Freddieの歌声も、楽器隊の演奏も絶好調。伝説の名演との呼び声が高いのも納得のパフォーマンスです。

ウェンブリーを埋め尽くす大観衆を前に、この前年のLive Aidよりもやりたい放題の自由奔放なコール&レスポンスも楽しい。これぞライブの醍醐味ですね。

この『Live At Wembley Stadium』はCD版も持っているのですが、その差異としてはFreddieのソロとクレジットされている”Impromptu”という曲が引っかかりました。

ソロといってもアカペラで歌を歌っているわけではなく、裏声やシャウトで楽器隊とジャムセッションを繰り広げている異色曲です。CDではなぜか流して聴いてしまっていたのが、DVDで映像付きで観るとその特異性が際立ちます。

サービス精神旺盛に、一夜の単独公演で28曲も演ってるのもすごい。

会場の規制や周辺住民からの抗議が今ほどうるさくなかったとか、時代も関係しているのかもしれませんが。

20曲ちょいで二時間ほどにまとめておけば充分でしょ、というおざなりな興行姿勢が透けて見える今どきの人気バンドに「それでいいのか?」と問いかけたくなります。

https://youtu.be/c2_xWTSyCuU
https://youtu.be/5xXny7VDjpY