映画『ブレット・トレイン』を観たらどこかがおかしい日本だらけだったんだけど、超面白かったので不問に付す
去年の夏頃でしたかね。伊坂幸太郎の長編小説『マリアビートル』がハリウッドで実写映画化されるというニュースを知ったのは。
私は基本的に小説や漫画の実写映画化ドラマ化を嫌悪していて、それが好きな作家や好きな作品ともなればその傾向がより顕著になるというめんどくさい性格をしているんですけど、伊坂幸太郎はトップ5に入るくらい好きな作家なので、このニュースを初めて見たときは顔をしかめました。舌打ちもしていたかもしれません。
しかしその一方で、漫画ならまだしも日本の小説がハリウッドで実写映画化とはすげぇな、夢のあるスケールのでかい話だな、とも思っていました。
しかも監督がデヴィッド・リーチ、主演がブラッド・ピットですからね。こんな話もあるんだな、と。
デヴィッド・リーチ監督といえば『アトミック・ブロンド』や『ワイルド・スピード スーパーコンボ』、『ジョン・ウィック』などのアクション大作の監督として有名で自分もそれらの映画は好きですし、ブラッド・ピットといえばハリウッドを代表するスターでこちらも主演作はDVDを買っちゃうくらい好きな作品ばかりと、自分の中では外れる確率が極めて低い鉄板中の鉄板の組み合わせですからね。
基本的に実写化は好かん。好かんけども。この組み合わせなら、もしかしたら…。超大好きか、超大っ嫌いか、どっちかだろうな…。
大きな不安とかすかな期待を胸に映画館へと向かったのでした。
結果、映画『ブレット・トレイン』を観た私は、のっけから困惑するはめになりました。
というのも、事前情報を知らずにいきなり主要人物のひとりである木村を見たら、Nothing To DeclareというロックバンドのヴォーカリストであるMas Kimuraさんにしか見えずに(え?えぇ?ちょ、待って…)と整理が追いつかずに戸惑っている間にも物語が容赦なく走り出し、冒頭で乗り遅れてしまったからです。
上の画像左が木村役のAndrew Kojiさん、右がMas Kimuraさんです。生き別れた双子の兄弟ですか?と聞きたくなるくらい似てるんですよ。戸惑って待ったをかけたくなるのも致し方ないでしょう。
そんなこんなで、これ以上置いていかれるわけにはいかないと、とりあえず理解を後回しにしてあるがままに映画を楽しもうと気を取り直したのが功を奏したのか、次から次へと振る舞われるどこかがおかしい日本の乱舞に心のなかで(いやいや、おかしいだろ!)と突っ込みながらも、大ウケしながら観れました。
一番面白かったのは、人外魔境のような朝霧が立ち込める米原駅ですね。今度大阪に行く用事があるんですけど、そのついでに朝イチの米原駅の様子を確認したくなっているくらい、異様にかっこいいです。
朝イチの米原駅を確認するためだけに早く家を出ると、大阪に着くのがいくらなんでも早すぎるのでちょっと迷っていますが…。あと近鉄の特急ひのとり号に乗ってみたいって気持ちもあるんですよね。B’zが好きなだけに。
事前に映画『ザ・ロストシティ』を観ておくとテンションがぶち上がったり笑えたりするシーンがあるのでおすすめです。後からだと先にネタが割れちゃうので、面白みが半減するかと。
新幹線の車内というシチェーションを活かしたすれ違いや格闘も面白ければ、登場人物のキャラが立ちまくってて愛おしくなっちゃうところやハチャメチャなラストにひと捻りがあるところにも伊坂幸太郎風味が感じられて、嬉しくなりましたし大満足でした。
ミカンとレモンを主役に前日譚、レディバグ対カーバーで続編を作って欲しいくらい大好きです。
あとネオンで縁取りしたようなフォントもカッコよかったですね。ディスプレイオーディオのフォントがダサいとケチをつけたくなっちゃうくらいフォントには目がないので。
エンドロール最高でした…。
エンドロールといえば、劇中の挿入歌としても使われた”Kill Me Pretty”というバチバチにカッコいいロックチューンが流れてくるんですけど、後から調べたら歌っていたのが奥田民生と知って想像の斜め上だったのでびっくりしました。
日本人ぽくも聞こえるけど海外のロックバンドの曲だろうなと思っていたので…。
二回目観にいったら、エンドロールが流れはじめた途端にほとんどの人がぞろぞろと退席していってしまったので、こんなカッコいい曲とともに余韻に浸れる楽しいエンドロールが流れても出ていく人は出ていくんだな、とちょっと切なくなりました。
予告で映画の代名詞的な曲として使われていた”Stayin’ Alive”も素晴らしかったですね。てっきりオリジナルかと思ってたらカバーと知ってこれにも驚きました。