Fair Warningの『Sundancer』(2013)を聴いた感想
ドイツのメロディアス・ハードロック・バンド、Fair Warningの七作目のアルバム。このバンドの作品は、初期四作の出来が神がかっていたせいか、五作目以降が過小評価される傾向にあるんですけど、その傾向が特に顕著なのがこの七作目です。
かくいう私も、リリース当時聴いたときには、「うわ、何だこれ、終わった…」と失望し、悲嘆に暮れたものですが、何年後かに落ち着いて改めて聴いてみたら、「あれ? 意外といいぞ? …いや、いいなこれ。なんで当時あんなに落胆したんだろう…」と戸惑いを覚えるほど、評価が一変しました。
確かに、バンドの代表曲と並ぶほど強力なキラーチューンがあるわけではないのですが、ソツなくスキのない、いぶし銀な佳曲が並んでいます。
最初の酷評への罪滅ぼしもあって、再評価が甘くなってしまっている部分もあるかもしれません。それでもやっぱり、過去作と比べて物足りないからといって、駄作と切り捨てるにはあまりにももったいないアルバムですよ。
地元のCD屋さんに、初回限定盤がずっと鎮座しているんですけど、デカすぎて棚から飛び出しているので、売り場に行くたびに毎回目に入ってしまって、誰でもいいから早く買ってくれと訴えかけられているようで切なくなります。うう、なんと不憫な…。
不憫といえば、ライブでの取り扱いの酷さですよね。五作目以降の楽曲の。
バンドも五作目以降の評判の悪さを感じ取っているからなのか、プロモーター側から事前に初期四作を中心としたセットリストを要請されているからなのか、八割方が初期四作からの選曲じゃないでしょうか。いや、下手したら九割か。
ただでさえ寡作でライブ本数も少ないのに、そこで演奏する機会も限られているという苦境。
不遇としかいいようがないのアルバムですよ。結構いい曲揃っているのに…。