映画『トップガン マーヴェリック』は人生最高の一本となるであろう超傑作だった

映画『トップガン マーヴェリック』は人生最高の一本となるであろう超傑作だった

もしかしたら、人生で一番好きな映画に出会ってしまったのかもしれない。

延期に次ぐ延期で公開を待ち焦がれていた映画『トップガン マーヴェリック』を公開初日に観た私は、そんな予感を抱きました。

どちらかというと、私は続編の制作には否定的だったんですよ。前作が好きすぎるあまり。下手な続編を作ってがっかりさせないでくれ、と願っていました。

どんだけ『トップガン』が好きだったかというと、小学生当時幼馴染の家に入り浸っては幼馴染の兄が隠していたメガドライブを引っ張り出してきてセガの超傑作擬似3Dシューティングゲーム『アフターバーナー』で遊び、せめてゲームの中だけでもエースパイロット気分に浸ってひとしきり満足したらバレないように元に戻すという、今思えばいつ見つかってボコボコにされていてもおかしくない危険な遊びに興じるほどでした。

続編には懐疑的だったのですがいざ予告編を見たらその時点で凄すぎて一瞬で不安は吹き飛び、公開されたら絶対に映画館に観に行く!と決意を固めていました。

そして公開初日に喜び勇んで観に行った結果が、冒頭の一文です。

もしかしたら人生で一番好きな映画になるのかもしれない。

『ワイルド・スピード』が観終わったら愛車をかっ飛ばしたくなる映画だとしたら、『トップガン マーヴェリック』は観終わったらバイクをかっ飛ばしたくなる映画ですね。バイクはおろか自動二輪免許も持っていないので、決して果たされぬ衝動ですけども。

これから死ぬまでに、これを超える映画は観られないんじゃないだろうか。漠然とそんなことを考えてしまいます。超える可能性があるとしたら、クエンティン・タランティーノの引退作かクリストファー・ノーランの最新作かジェームズ・ワンの渾身の一作か。

いずれにせよ、滅多にあることではないのは確かでしょう。

もしかしたら人生で一番好きな映画になるのかもしれない。

公開初日から一週間が経過した翌金曜日、二回目のIMAXでの視聴を終えた頃には、そんな予感が確信に変わりつつありました。

今まで私の好きな映画トップ3は『トップガン』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ターミネーター2』が不変で君臨していたのですが、ついにその牙城が崩れるときがやってきたかと寂しいような嬉しいような複雑な感情を抱いています。

どんだけ『トップガン マーヴェリック』が好きかというと、二回もIMAXで観ておきながらお隣の愛知県の劇場のドルビーシネマやMX4D、日本全国でも四ヶ所にしかない4DX Screenが県東部の沼津市にあると知って、観に行きたくなっているほどです。

惜しむらくはどちらも吹き替えしか上映していないので字幕派の自分は二の足を踏んでいるという点ですが、公開が終わってからやっぱり観に行っておけばよかったとほぞを噛むようなことになったらそれこそ目も当てられないので、人生で一番好きな映画がちょっと頑張ればよりよい環境で体験できる恵まれた立地を最大限に活かすしかないか、と考えています。

二回字幕で観たせいか声が定着してしまっていて、吹き替えの予告を見ると若干違和感があるのが不安ですが。

『トップガン マーヴェリック』への散財は劇場通いにとどまりそうもないところも空恐ろしいですね。

例えばテレビ。

自室のテレビを数ヶ月前に買い替えたばっかりなんですけど、『トップガン マーヴェリック』のBlu-rayが発売されたら速攻で60インチくらいの4Kテレビに買い替えちゃいそうです。

『シング:ネクストステージ』を観たときは今年イチはこれかなと思っていましたけど、その数カ月後にまさか人生イチを観ることになるとは、想像もしていませんでした。

期待はしていましたけど、こんなに面白いとは想像以上だったのです。

公開を待ちに待っていた『トップガン マーヴェリック』を観に行ったら、オープニングの最初の一音を耳にしただけで感動した

公開を待ちに待っていた『トップガン マーヴェリック』を観に行ったら、オープニングの最初の一音を耳にしただけで感動した

1986年に公開されて大ヒットした映画『トップガン』が好きすぎるあまり、30年以上経って今更続編やらなくても…と過去の思い出を壊されたくない消極的な気持ちもありましたが、そんなネガティブな感情は予告で前作から遥かにスケールアップした戦闘機の飛行映像を見て一瞬で消し飛びました。

『トップガン マーヴェリック』が公開されたら絶対に映画館で観る!

最初にアナウンスされた公開日は2020年7月10日だったのですが、コロナ禍の影響で延期に次ぐ延期、果たして本当に公開されるのかと心配になるほど焦らしに焦らされ、ついに公開されました。2022年5月27日に。

その公開初日にお隣の市のIMAXスクリーン施設がある映画館に愛車を走らせ、いつもと違う時間帯に走ったので想定よりも混んでいて時間がかかり、間に合うかどうか焦りましたが滑り込みセーフ。

興味のかけらも持てない地元企業の広告を無の心でやり過ごし、スクリーン内が暗転して上映が始まった瞬間でした。

オープニングの最初の一音。パラマウントスターが整列しながらかっ飛んでくるオープニングエフェクトに載せた”Top Gun Anthem”の最初の一音。何気なく放たれたジャブのような低音のパンチが耳朶を打った瞬間、私は感動して早くも目が潤んでいました。

何だこれ、音がすごすぎる…。酩酊感すら覚えるほど立体感と重量感を伴った心地よいサウンドに酔いしれる…。

IMAXで観て正解でした。ガラガラのイオンシネマで観るか多少混んでようがIMAXで観るかで悩んでいたんですけど、IMAXにしておいて正解でした。映像と音響の迫力がダンチ。いや、通常版はまだ観ていないので想像ですけども。

さすがにオープニングの音だけで感動した映画は初めてでした。おそらくこれが最初で最後でしょう。

惜しかったとしたら映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、観る前の車中で先にサントラを聴いてしまうという失策さえなかったら、オープニングの20世紀FOXのファンファーレで感動していたかもしれません。

しかしこの映画のサウンドプロダクションはとんでもないですね。轟音と騒音の紙一重ギリギリを攻めています。

収録楽曲の充実ぶりでは前作『トップガン』の圧勝ですが、大迫力の音質では『トップガン マーヴェリック』の圧勝です。

これと同等のミックスで前作のサントラをリマスター再発してほしいくらい、とてつもない音質です。こだわり抜いた末に探り当てたベストのサウンドミックスなのでしょうね。

不用意に人に「幸せですか?」と尋ねると、マルチバースへの扉が開いてしまうかもしれない

不用意に人に「幸せですか?」と尋ねると、マルチバースへの扉が開いてしまうかもしれない

マーベル・スタジオの新作映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を観てきました。

この映画の中で、何気ないしかし妙に引っかかるセリフのひとつに「幸せ?」という問いかけがあるのですが、この問いかけを受けた登場人物たちは、一瞬の間をおいて本心をごまかすように「もちろん」と答えたり、気まずさを取り繕うように顔を背けながら「もちろん」と答えたりします。

登場人物たちがどのような気持ちからそう答えたのかは、本当のところはわからないので表情や声音やその性格から推し量るしかないのですが、確かなことは過去の心の傷をえぐったりくさびを打ち込んでしまったりしかねない、危険なひと言だということです。

もしかしたらまた違った人生があったのではないか。ひょっとしたら今よりもっと幸せな人生があったのではないか。そんなマルチバースへの誘惑に駆られてしまうひと言です。

私も一瞬意識が遠のきました。おそらく無意識のうちにマルチバースを覗いていたのでしょう。

初恋のあの人にうじうじせずに告白していたらどのような未来があったのだろう…。好きだった先輩の失恋にただ話を聞くだけじゃなくつけ込んでいたらどうなっていただろう…。女々しくも、いくつかの人生の岐路から無数に枝分かれして伸びる今とはまた違った今へと、思いを馳せてしまいました。

危ないところでした。

私が魔法を習得していなかったり、精神が不安定になったら秘められた超能力が暴走して異次元に飛んでしまったりしない、ごく普通の一般人であったため何も起こらずに済みましたが、下手したらマルチバースと繋がって飛んでしまっていてもおかしくありませんでした。

ここで自分がホッとしたことで、この今がそれなりに好きなんだということに気がつけました。口ではあの時こうしていればとかいいながら、なんだかんだこの今に愛着があるのだと。自分の決定や選択を経てたどり着いた今に自分なりに納得して受け入れているのだと。

過去の選択により派生していたかもしれないマルチバースに囚われたり引きずられたりすることなく、今を幸せに楽しく生きていきたいものです。

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初めて『デス・プルーフ』を観たら、結末が快感すぎて思わず変な声がもれた

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『デス・プルーフ』はクエンティン・タランティーノ監督の五本目の長編映画で、2007年に公開された作品です。

前作が『キル・ビル』で、この次が『イングロリアス・バスターズ』と、いかにもハリウッドらしい見栄えのある大作に挟まれているので、やや損をしている映画かもしれません。

昔『パルプ・フィクション』は面白いなと思ったものの『レザボア・ドッグス』と『キル・ビル』にはあまりハマらず、『イングロリアス・バスターズ』で衝撃を受けたものの過去作を見返すことはしなかったので、『デス・プルーフ』は未視聴のままでここまで来てしまいました。

超久しぶりに『キル・ビル』を観直してみたら思いがけずハマってしまって、その流れでタランティーノ監督の他の過去作も観てみようという気になりまして、初めて視聴する運びとなりました。

事前情報として予告も見ずにDVDを借りてきたので、再生ボタンを押して数分後には戸惑っていました。

何だこれは。私は一体何を観ているのだろう…。

延々と、ハッピーな青春を謳歌している妙にエロいうら若き女性のガールズトーク。今にも擦り切れそうなフィルム映像みたいな質感の画質にも困惑しました。

これは無理かも。今にも切れそうな集中力。それをギリギリで繋ぎ止めていたのは、今作のヒロインと思われる妙にエロい女の子たちの扇情力。

女子会がお開きとなったところで、このあとどうなるんだろうと思っていたらド変態のイカれた性癖大爆発で目が点に。しばし呆けてたらそのまま何事もなかったかのようにガールズトーク第二部が幕を開けたので、またここから丁寧に積み上げていくのか、すごいなと感心しました。

ということは、このコたちにもあの悲劇が訪れるのか…と暗澹たる先を予想していたら、華麗なる大逆襲にテンション爆上げ。そして結末の爽快感。天竜人の横暴にブチ切れて殴り飛ばしたルフィに通じる爽快感が全身を駆け抜けました。

感動しました。泣いてはいないですけど、しかし、この感情は間違いなく感動でしょう。

タランティーノ監督にしか撮れない世界観だと思います。これに憧れて真似しようとしたところで、退屈だけど何故か気になるという綱渡りを渡らせることができずに、脱落者を量産するだけでしょう。

やっぱりすごいですね。世界中にタランティーノ監督の熱狂的なファンがいるはずですよ。

気に入りすぎてBlu−ray買ってしまいました。これはたまに真夜中に見て、結末で歓喜の声を上げたくなる傑作です。

いつぶりか思い出せないほど久しぶりに『キル・ビル Vol. 1 & Vol. 2』を観たら、思いがけずハマった

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先日、女性エージェント達が大暴れするスパイアクション映画『355』を映画館で観たんですけど、その上映前に『ガンパウダー・ミルクシェイク』という新作映画の予告が流れました。

そのときに、『ジョン・ウィック』や『キル・ビル』からの影響を感じて面白そうだなと思ったものの、そういや『キル・ビル』ってずいぶん前に観たきりで内容の覚えも朧げだな、と気がついたので、レンタルビデオを利用して再鑑賞してみました。

そしたらハマっちゃったんですよ。思いがけず。自分でも意外なことに。

こんなに面白かったっけ?と。

演出や衣装が奇抜でド派手なアクション映画、という印象だったんですけど。

ストーリーは単純明快です。タイトル通り。キル・ビルを英語にするとKill Billで、ビルとは暗殺者集団のボスの名前なので、すなわち『ビルを殺せ』というのがタイトルです。

主人公はかつてビルの組織に所属していた女性の殺し屋、ザ・ブライド。ユマ・サーマンが演じるザ・ブライドの復讐譚で二本立ての、超ボリュームです。

Vol. 1では復讐対象者の家をめちゃくちゃにする決闘や病院からの逃走、どこかがおかしい日本の登場にいきなりの無駄にかっこいいアニメ挿入、居酒屋を血の海にする一対多のド派手なチャンバラ、ととにかく目を引くアクションが展開されます。

それに対し、Vol. 2ではぐっと落ち着いたトーンで物語が展開され、動機や人となりに焦点が当てられることで、荒唐無稽さや突拍子のなさが影を潜め、渋さと深みが増しています。見応えのある一対一が続いたり、忘れた頃に意外性のある不意打ちがあったりと、痺れるシーンが多いです。

覚悟を決めた緊張感の満ちた会話から決闘への流れとか、最高でしたね。特に最後の決闘。椅子に座って対面での会話からいきなり剣を抜いて切り結ぶとか、アイデアも秀逸。

映像美もすごかったですね。ザ・ブライドが復讐を決意するに至った襲撃事件の舞台は片田舎の小さな教会なんですけど、幹線道路の脇にポツンと建っている教会の中から外から、印象的な構図をビシバシ決めまくっているんですよ。

このカメラワークの凄さは、趣味でデジタル一眼レフで写真撮影するようになったからこそ気がつけた点かもしれません。

あまりにハマりすぎて、隣の市のブックオフに通りがかりついでに寄ってみたら『キル・ビル Vol. 1 & Vol.2』のツインパックDVDが売っていたので買ってしまいました。

ほんとはBlu−rayで欲しかったのですが、日本盤はプレミア化して高騰していたので、いつか再発するまでこれで物欲をやり過ごします。