高校時代、選択授業で音楽を選んだら、クラスメイトの前で自作の歌を披露することになった

高校時代の音楽の授業が風変わりすぎた

「弘志くんの初ライブはいつですか?」

「…?」

「将来、絶対聞かれるよ」

私の人生において、こんな『スラムダンク』の一場面みたいなやり取りはありませんでしたし、そんなことを聞かれるような人生にもならなかったわけですけど、それでも初ライブはいつですか、と聞かれたなら、高校時代です、と答えます。

高校二年の、最後の音楽の授業でした。

今はどうかわからないですけど、私達が現役の高校生時代は、芸術の授業は選択制でした。書道、美術、音楽。この三つの中から、自分が履修したい授業を選んでください、と。

最初、美術を選択していたんですけど、書道がほぼ定員で、美術の希望者があまりに多すぎるということで、誰か音楽に変えてくれないかという話になって、ごちゃごちゃめんどくさい話になる前に、さっさと音楽に鞍替えしました。

どちらかといえば後ろ向きな理由で音楽の授業を選んだわけで、そういった意味では当初はあまり気乗りしていなかったんですけど、世にも奇妙な音楽の授業を受けることができたという面では、得難い経験でした。

その最初の授業でのひと幕が、あまりにも衝撃的すぎて、高校卒業から20年以上が経過した今でも覚えています。酒の席で当時の仲間と集まると、未だに語りぐさになるほどのエピソードです。最初の授業ということで、ひと通り自己紹介したあと、先生から今後の授業方針と成績のつけ方についての説明がありました。

一部、失われた記憶を、こうであったはず、という想像で補完してお送りします。

「音楽の授業といえば、先生がピアノを伴奏してみんなで合唱する、そんな内容が定番ですけど、そんな授業ではみんなもつまらないでしょう。なので、私はそんな授業はしません」

かすかにざわめき、周りを見渡す生徒たち。音楽の授業の人気の無さに絶望して、やけっぱちになっているのか。生徒たちの動揺をよそに、備品室に入り、一本のクラシックギターを持って出てくる先生。

「そこで、みんなにはこのギターを弾いてもらいます。一年の間は、課題曲を決めて、自分でギターで伴奏しながら歌う練習をします。二年になったら、作詞作曲に取り組んでもらいます。コード進行や言葉選びは助言します。最後の授業では、みんなの前でその自作の曲をギターを弾きながら歌ってください」

画像はPixabayより

いやもう、想像外すぎて目が点でした。おそらく、誰ひとり先生の説明についていけてなかったんじゃないですかね。

「成績ですけど、演奏の上手い下手、歌の上手い下手、曲の良し悪し、そんなことは問いません。みんなの前で発表すれば10点。発表しないのであれば2点です。盗作が判明したら1点です。発表するしないは自分で決めてください」

こうして、期せずして生まれて初めてギターを演奏する機会に恵まれることになったのでした。

めちゃくちゃ恥ずかしかったですけど、成績欲しさに魂を売り飛ばした私は、みんなの前で自作の曲を披露し、無事に10点をゲットしたのでした。

え、どんな曲を書いたのかって?

とっくに忘れちまいましたよ、そんなもん。とうの昔に音楽のノートも灰になっちゃってますしね。暗闇の中でひと筋の光、かすかな希望を見い出すみたいな、そんな歌詞のバラード曲を書いた覚えはかすかにあります。

それにしても、弾き語りって難しいですよねぇ。歌に集中するとギターの伴奏がおろそかになりますし、かといってギターに気を取られると歌が怪しくなりますし。

歌いながら弾けるってだけで神業ですよ、私からしたら。

投稿者: 弘志

洋楽ロックとミステリー小説と洋画をこよなく愛する、ソロキャンプにも夢中なスキーヤーのブログ。好きな音楽を聴きながら愛車で出かけて、デジタル一眼レフで写真撮影を楽しんでいます。