東京ドームでMaroon 5のライブを観たら映画『トラップ』が頭をよぎった

東京ドームでMaroon 5のライブを観たら映画『トラップ』が頭をよぎった

先日、初めての東京ドームで、初めてMaroon 5のライブを観てきました。

私の座席は三塁側の二階席で、平たく言えばかなり後方で、これでS席かよとグチのひとつもこぼしたくなるような席でした。ちょっと前に話題になったハズレS席ってやつですね。

このフロアの傾斜がなかなかきつくて、豊田スタジアムやKアリーナも結構でしたけど、負けず劣らずでした。この傾斜のおかげで前方の視認性を確保しているわけで、ありがたいことはありがたいんですけど、吸い込まれて転げ落ちそうな錯覚すら覚える下りは恐ろしかったです。

座席に座ってみると、前後の幅がめちゃ狭いのにも辟易しました。人ひとり歩くのがやっと。立ち上がるか体を思い切り横にしないとすれ違いもできないくらい。

足を開いて座ると両隣の人の迷惑になって、足を閉じて座ると前の席の背もたれに当たってしまう。どうしろと?足首か膝か腰かもれなく全部か、二時間後にはイカれちゃいそうな着座姿勢になってしまうんですけど…。

ここで、去年観た好きな映画が頭をよぎりました。

M・ナイト・シャマラン監督、ジョシュ・ハートネット主演の映画『トラップ』が。

『トラップ』がどんな映画だったかというと、大人気歌姫のコンサートを大ファンの娘を連れて観にきた父親が、会場の尋常ならざる警備体制に違和感を抱き聞き取り調査をしてみると、どうやらこのコンサート会場にやって来ている連続殺人鬼を捕らえようとする捜査網だったことが明らかになり、平静を装うも隠しきれずに挙動不審になりコンサート会場を右往左往しだす、そんな様子を描いている映画です。

私がこの映画を観に行きたくなったのは、予告でコンサートの真っ最中に父親が右往左往している様子を映していたのですが、父親だけでなく他にも大勢の人がロビーや売店やトイレをうろうろしていたからです。

いやいや、そんなわけねえから。大人気歌姫のコンサートの真っ最中に、そんなに大勢の人がフロア外を開演二時間前みたいな呑気さでうろうろしてるわけねえから。フェスならまだしも、単独公演でこれはない。

そう突っ込みたい一心で観に行きました。

予告だけだと、編集のあやでそう見えていただけかもしれないですからね。ちゃんと映画を観て事実関係を確認してから突っ込まないと。

まあ、予告から受けた印象の通りだったわけですが。

で、この父親がコンサート会場からの脱出方法を探るためにしょっちゅう離席するわけですよ。隣や後ろのモブに、邪魔そうに睨みつけるような小芝居を入れて欲しかったな。

現実にこんなことされると、ほんとに邪魔くさいんで。

忌々しすぎて殺意が湧いてもおかしくないくらいには。

東京ドームの二階席みたいに、前後の座席間の通路が狭すぎると特に。

映画はめちゃくちゃ面白かったですよ。ツッコミどころ満載で。音楽が好きでライブやコンサートによく足を運んでいるなら、特に楽しめるんじゃないかなと思います。あるあ…ねーよ!祭りで。

Maroon 5

『トラップ』

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東京ドームでMaroon 5のライブを観てきた

東京ドームでMaroon 5のライブを観てきた

2025年2月8日土曜日、アメリカのポップ・ロックバンドMaroon 5のライブを観てきました。

会場はあの東京ドーム。噂のライブハウス東京ドームです。

東京ドームも、Maroon 5のライブを観るのも初めてです。

昔、Maroon 5が2007年に発売したライブ盤を聴いた時にライブならではの熱気に炙り出されたような即興性に圧倒されて、これは間違いあるまいといつか来たるその日を心待ちにしていましたが、やっとその日が訪れました。

ほぼ定刻通りに暗転し開演。

明滅する真っ赤な照明に東京ドームの巨大空間を揺るがす、耳をつんざく轟音。

2023年12月に有明アリーナで観たManeskinのオープニングとどことなく雰囲気が似ていて、懐かしいような早くも気圧されるような、そんな不思議な思いが去来する幕開けとなりました。

次から次へと繰り出される大ヒットナンバーの数々。ど迫力重低音にも埋もれない美声にコーラス。歌うだけじゃなく時にギターヒーローばりにギターを弾きまくるAdam。Mr. Bigみたいに担当ローテしてもクオリティ下がらなそうなバカテクに支えられたライブの上手さ。QueenのFreddie Mercuryばりに客席を煽るコール&レスポンス。

豪雨みたいなライティングとシンクロするドラムソロを組み込んできたり、オリジナルのポップさや華やかさを犠牲にしてでもバッキバキの重低音を叩き込んできたり、”香水”でも歌い出しそうな雰囲気でアコギ一本の伴奏が始まったりと、ライブならではのアレンジも意外だったり刺激的だったりで楽しかったです。

中には大胆に攻めたアレンジに(あ、あれ?)と時々スかされて現在地を見失いそうになったりした曲もありましたけど、元曲の素晴らしさの強引な軌道修正で結局感動させられるという。

最高でした。

本編17曲にアンコール3曲、計20曲に約90分のステージは、これまでのアルバム枚数やまだまだ披露しきれていないヒット曲に知る人ぞ知る名曲のことを考えると物足りなくも感じますが、凄まじい音圧や凝縮された滾るテンションのことを思えば、これくらいのコンパクトさで収めてもっと聴きたかったなとこぼしながら帰らせるくらいでちょうどよかったのかもしれません。

終演が早かったおかげで、妹宅の最寄りまでの終バスにも余裕で間に合いましたしね。

次の機会があったら今度は”Won’t Go Home Without You”や”Misery”や”Give A Little More”なども聴きたい。

そうしたらそうしたで、どれを削るっていうんだよ、という難しい問題になってしまいますけども。

Maroon 5

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TMGのライブを観に大阪に行ったら、危うくZepp間違いするところだった

TMGのライブを観に大阪に行ったら、危うくZepp間違いするところだった

日本の大都市に点在している有名なライブハウスのひとつにZeppというハコがあるんですけど、大阪にはそのZeppが二ヶ所あるって知ってました?

私は知りませんでした。

東京にはいくつかあるって知ってたんですよ。新宿とか羽田とかダイバーシティとか。

なので、東京のZeppに行く時には間違えないように注意しないとな、と思っていました。

まさか大阪にも二ヶ所あったとは。

TMGの大阪公演をZepp Osaka Baysideで観る前の週、Lanyの大阪公演をZepp Nambaで観ていたので、危うく思い込みで二週連続でZepp Nambaに行ってしまうところでした。

なんで気がついたのかというと、ライブの二日前に、入場チェック時に必要になる発券ページをスクショしたからですね。そこでよくよく見てみたらZepp Osaka Baysideだった、という。

危ないところでした。Nambaに行く気満々でしたからね。

会場の近くに新世界とか四天王寺とかあるから、今度はその辺をぶらぶらして串カツでも食べてから会場入りしよう、などと呑気に考えてましたから。

Nambaに行った時には気がつきませんでしたが、Baysideの壁には「ここはZepp Nambaではありません」と注意書きが貼られていました。

やっぱりいるんでしょうね。勘違いや思い込みで、Zepp間違いしてしまう人が。

あの日もいたのかもしれません。Nambaと思い込んでNambaに行っちゃって、Baysideだったと知って絶望した無辜の民が。

毎回のように数名はいてもおかしくない、意地悪クイズのような罠ですよ。

大阪にはZeppが二ヶ所あると前々から知ってたとしても、たまたまどちらかがずっと続いていてある日急に逆になったら、大阪のZeppとしか思ってなかったらやらかす可能性ありますからね。

いつもの癖で移動しちゃって、会場に着いてから気がついたり。

絶対に買いたいグッズがあったりとか、整理番号良かったから入場開始までに着いて好きなポジションを取りたいとか思ってたのにそんなことになったら、ショックすぎてテンションガタ落ちですよね。

せっかく大好きなバンドのライブを、Zeppという素晴らしいハコで観れるチャンスだったというのに。

Zeppに限った話ではないかもしれませんが、そんなことにならないように、ライブの前日までに今一度会場についての確認を怠らないように気をつけないとな、と気を引き締めるきっかけになりました。

前々週に名古屋で観て以来のTMGのライブは、相変わらずのど迫力サウンドでした。

今度はスピーカーから距離を取って真ん中寄りで観たのですが、それでも重低音の圧が凄まじかったです。

Matt Sorumの曲の最後を締めるドラミングがまたかっこいいんですよね。『TMG Ⅱ』への参加とライブを観たことで、一気に大好きなドラマーになりました。

やっぱロックはライブハウスですね。ライブハウスのスタンディングこそ至高。

パイプ椅子が並べられてるとテンション下がる。アコースティックとか弾き語りとかならばまだ致し方なしかと思えるのですけど。

TMG

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一年ぶりにSound Shower Arkで森恵さんの弾き語りライブを観てきた

一年ぶりにSound Shower Arkで森恵さんの弾き語りライブを観てきた

先月、静岡市清水区にあるエスパルスドリームプラザの向かいのライブハウスSound Shower Arkにて開催された、森恵さんの弾き語りライブを観てきました。

去年の9月にも同じ会場で彼女のライブを観ていて、一年ぶり二度目です。

去年は前売りの段階で指定席の弾き語りライブと案内されていましたが、今年は特に表記がなくて自由席だったので(ひょっとしてバンド形態のスタンディングだったりするのかな?)と予想していたら、直前になって去年と同じでルーパーを組み込んだ弾き語りライブだと告知がありました。

受付を済ませてフロアに足を踏み入れると、4 x 5~6列の3ブロックでパイプ椅子が並べられていて、左右は詰まってましたが前後のスペースはたっぷりという贅沢な並びに、先客たちが思い思いに場所取りしてました。

最後の方に入場したので選べるほど席が空いてなくて、後ろからまったり観るかと最後列に座りました。

周りに座っていた方達はどうやらみんな顔見知りのようでした。

「あれ?今日は最後尾からですか?」

「一番後ろの方が周りに気兼ねなく暴れられるでしょ」

「そんな端っこでいいんですか?」

「指定席なら選べないからしょうがないけど、自由席だからね」

上記のような会話が聞こえてきたのがみんな顔見知りと判断した理由ですが、それを聞いた私は内心目を剥いていました。

(おいおい、嘘だろ?一番後ろからならまったり観れるだろうと思ってたのに…。周り全員ガチ勢かよ…。前に行ってよ、前に…)

手や足がバシバシ当たってきたら鬱陶しいなと暗澹としていたのですが、両端の人たちは椅子よりもさらに後方に空いたスペースに回り込み、右隣の席は空席のままだったので、開演前に危惧していたような状況には巻き込まれずにひと安心しました。

一曲目は去年と同じ曲で、サビではファンの皆さんでお約束のリアクションがあるのですが、数列前で観ていた方が(は…?なにこれ…?)といった感じで呆然と周りを見渡していたのには(わかる!わかるよブラザー!)と肩を抱きに行きたくなってしまいました。

まるで去年のおれを見ているようでした。うんうん。ビビるよね…。ほぼ全員の勢いでやってるからね…。

みんな新兵だと思っていたのに熟練の戦士ばっかりじゃん、みたいな。

しかしそれにしても、森恵さんの歌声と鬼鳴りのマーティンと変幻自在のルーパー駆使は圧巻でした。去年も思ったことですが。凄すぎる。

ギターもただ伴奏をストロークしてるだけじゃなくて、タッピングにアルペジオにシャッフルにブラッシングにと、曲調に合わせてバリエーション豊富に弾き分けてめっちゃ上手いですからね。

去年も少しだけYouTubeでカバーしている曲を歌ってくれましたが、今回は”歌うたいのバラッド”の触りだけ歌ってくれたのもマジ最高でした。

Sound Shower Arkでのライブは結構あるみたいなので、機会があったらまた行きたいですね。

あの歌声とギターは圧巻すぎる。何度聴いても、いいものです。

森恵

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Zepp Nambaで観てきたLanyのライブがむちゃくちゃ素晴らしかった

Zepp Nambaで観てきたLanyのライブがむちゃくちゃ素晴らしかった

アメリカのポップロックバンド、LanyのライブをZepp Nambaで観てきました。

これがむちゃくちゃ素晴らしかったです。既発曲全曲ライブバージョンを公式リリースして欲しいくらい、素晴らしいライブでした。

前々から、ポップロック系のアーティスト(例えば、Carly Rae JepsenとかThe 1975とか)の、ライブでのロック色が増強された生バンド演奏を魅力的に感じていましたが、それはこのLanyのライブでも同じでした。

スカッと気持ちよく抜けるのに軽いわけではない重低音、艶やかなトーンが強調されて鳴きまくるギター、大歓声や迫力の演奏に埋もれずに突き抜けてくる歌声、スタジオ音源に忠実でありながらそのまますぎないライブアレンジ、チャーミングでサービス精神に溢れたステージ進行、どれもが高次元に完成されていて素晴らしかったです。

特にドラムですね。ライブだとはちゃめちゃにかっこよくて、サマソニ2022で初めてThe 1975のライブを観た時の衝撃を思い出しました。CDとライブとで、激変する印象と存在感。痺れました。

Paulのヴォーカルも凄かったです。一時はツアーの予定通りの開催も危ぶまれた交通事故の影響を微塵も感じさせない、愛くるしい王子様のようなパフォーマンスは圧巻でした。

バンド形態のライブの場合、アコースティックセットやインストパートを設けたりで交代で休憩しながらできるだけ止めずに進めていくパターンが多いですが、本編終了まで休憩なしノンストップで完遂というエネルギッシュなステージには感激しました。

これこれ。やっぱこれですよ。休憩なし出突っ張りノンストップ。

アコースティックもインストもそれはそれで好きですけど、裏の目的が透けちゃうとちょっと嫌という複雑な胸の内。休憩ありきで組み立てられるとちょっとねぇ…。萎えません?それがなかったのはほんと素晴らしい。単独公演では数年に一度あるかどうかじゃないでしょうか。

大阪の熱気というか熱狂というか、盛り上がりも素晴らしかったですね。Zeppとは思えない大歓声。名古屋や東京で観るライブとはまたちょっと違う、大阪ならではの熱量。圧倒されるものがありました。

いやはや、すごいライブでした。Zeppで観れたのが奇跡だったと思えてくるほどの。

本編終盤で何名か退出されていきましたけど、終電リミットだったのでしょうね、おそらく。19時開演なら終電に間に合うだろうってところにサポートをぶち込まれると、こうなっちゃうんですよね…。

引き上げながら「来年も再来年もその次の年もまたライブしに来るよ!」と言ってましたけど、今後はもうZeppクラスの会場ではなかなか観れなくなるんでしょうね。

今度は城ホールか。

はたまたサマソニのヘッドライナーか。

今後の益々の活躍に果てしなく夢が広がっていくようなライブでした。

ライブが終わって、ライブハウスを出た時にはひと塊りになっている一団が徐々にバラけ出して散り散りになっていくの、中学高校までの同級生が進学するにつれどんどん別れ別れになっていくみたいで切ないですよね。

いつかまたみんなとタイムラインがクロスする、そんな夜があるのだろうか。

ちょっとだけ涼しくなって秋の空気を漂わせはじめた夜風に、やけにセンチになりつつお宿へと帰ったのでした。

Lany

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