エコパアリーナでB’zの三年ぶりの全国ライブツアーLIVE-GYM 2022 Highway Xを観てきた

エコパアリーナでB’zの三年ぶりの全国ライブツアーLIVE-GYM 2022 Highway Xを観てきた

5月21日、静岡県袋井市のエコパアリーナで、三年ぶりに開催されたB’zの全国ライブツアーLIVE-GYM 2022 Highway Xを観てきました。

観劇にあたっては、ワクチン2回以上の接種証明か三日以内のPCR検査の陰性証明に体温37.5度以下、常時マスク着用に加えて声援や呼びかけなどの声出し禁止に会場内での飲食禁止と、いくつかの制限や条件があったりして、数年前までと全く同じというわけにはいかないもどかしさもありましたが、それでもやっぱりライブはいいものでした。

アルバム『Highway X』の発売予定日が8月10日なので、アルバム収録曲のうちすでに先行で配信されていたりドラマやアニメの主題歌として公開されているいくつかの曲を除いては、全く知らない未知の状態で観劇に望むことになりました。

こういうのも新鮮ですね。

昔、新木場スタジオコーストでMuseのゲストのThe Fratellisのライブをアルバムを聴いたことがない状態で観たことがあったんですけど、その時以来かもしれません。あとは未音源化の新曲を単発で観たりすることがあった程度でしょうか。

アルバムツアーというのは、アルバムを発売してから何ヶ月か経ってからスタートすることがほとんどなので、かなり珍しいケースといえるでしょう。

何も知らないまっさらな状態で新曲を生演奏で初めて聴くというのもなかなか滅多にないことなので、先入観や変な思い込みもなくまっすぐ新曲と向き合うことができたのではないかなと感じています。

その印象でいうと、新曲はめっちゃ良かったですね。新作の発売日がますます楽しみになりました。

コロナ禍のせいでライブ自体が二年以上ぶりだったので、大地の鳴動のように床を揺らすツーバスのビートが脚を伝って心臓にまで響いてきたのには、思わず顔が綻んでしまいました。くぅぅ〜。そうそう。これこれ!

声出し禁止なのに、稲葉さんが「こんばんは〜」とか「お元気でしたか〜?」と声をかけてくるものですから、ついうっかり釣られて返事を返してしまうところでした。危ない危ない。

声出し禁止だったため、今まで通りであればイントロの数音を聴いただけで「わぁぁ」と歓喜の歓声が巻き起こる分かりやすくてダイレクトな反応がなくて拍手のみというのは、仕方のないこととはいえやはり寂しく感じてしまいましたね。

途中、稲葉さんが歌いながらバックステージに消えている間その模様を会場のモニターに生中継するという5ERASを思い出すような演出があったんですけど、清さんがめっちゃかっこいいベースを弾きながら(稲葉さん裏で何してんねやろ?)って感じでモニターを見ている一幕があって、超可愛かったですね。おかわりしたくなる至福のひとときでした。

フロアにパイプ椅子が敷き詰められて所狭しと人がひしめくような空間は久しぶりだったので、逼塞感というか圧迫感というか、むせ返るような熱気がやや息苦しく感じるところもありました。さらにマスク着けっぱなしですからね。これから暑さ本番の夏はちょっと大変ですね、これ…。

私が観たのはエコパ初日、ツアーの最初から三番目にあたる公演だったんですけど、ベースの清さんを除いては以前からサポートが継続していたとはいえ、早くもさすがの貫禄と安定感抜群のステージングが完成していて、仕上がりの早さに目を見張りました。スキがなさすぎます。珍しく初々しいB’zのステージが観れたりするのかなとちょっと期待していたところもあったので…。

H.E.R.O.の3rdアルバム『Alternate Realities』が素晴らしい

H.E.R.O.の3rdアルバム『Alternate Realities』が素晴らしい

デンマーク出身のロックバンド、H.E.R.O.の3rdアルバム『Alternate Realities』がリリースされました。前作『Bad Blood』から約二年ぶり。待望の新作です。

本来であればもう少し早くリリースされていたようですが、コロナ禍によりプロモーションやライブ活動がままならないことが予想されたため、発売時期がズレ込みました。

前作までと今作での大きな違いはというと、一番は今まではサポートメンバーとして参加していた元MewのベーシストのJnhan Wohlertが、正式メンバーとなったことでしょう。

それによりプレイ面での意識が変わったのか、これまでは一歩引いた黒子的な、影ながらバンドを支える縁の下の力持ち的なベースプレイだったのが、今作では一歩前に出てその存在を主張しています。バンドの屋台骨を支える大黒柱のような、そんな頼もしいベースプレイを聞かせてくれています。

ミックスを担当したJacob Hansenとミーティングを重ねて今作のサウンドを決定づけたそうなので、Jacobの仕事ぶりも大きかったのかもしれません。

ベースの存在感が増したことにより、今まで以上にパワフルでヘヴィなサウンドが展開されています。

そのヘヴィなサウンドに乗るChrisの美しいハイトーン・ヴォイスとの対比が心地よいですね。

サウンドは無機質でヘヴィなんですけど、歌メロがキャッチーで、耳にスッと入ってくるんですよね。

楽曲も相変わらず粒揃いの高品質で、バンドの充実ぶりがうかがえます。日本盤のボーナストラックもいいんですよ。この出来であれば本編に組み込んでもなんら遜色なかったと思うんですけど、泣く泣く削ってコンパクトにして、質の向上に努めたんでしょうね。

初回限定盤には、昨年6月にデンマークで開催されたライブの模様を収めた約70分のライブDVD『Live At Pumpehuset』が付属しています。こちらもバンドのパフォーマンスも素晴らしければ音質や画質も高品質で、新譜の付録にするよりも単品でリリースしてカタログに載せたほうが良かったのではないか、と思うほどのクオリティです。

発売前の映像のチラ見せで(このクオリティのライブDVDが付属するのか?)と半信半疑な思いもありましたが、実際に製品版を観てみたらその期待を軽々と超えてきました。

二年前に東京で観た初単独来日公演の感動が蘇るライブDVDです。

ボーナストラック二曲追加にライブDVD付属。本国のファンが日本盤のこの恵まれた仕様を知ったら、唖然とするんじゃないでしょうか。

コロナ禍突入から二年、この夏、サマソニやフジロックなど、夏フェスの開催が予定されていたり来日公演決定のニュースがちらほら聞こえてきたりと、徐々に状況の好天の兆しがあるので、この流れに乗ってH.E.R.O.の来日公演決定の報にも期待したくなりますね。

Ronnie Atkinsの2ndソロアルバム『Make It Count』が素晴らしい

Ronnie Atkinsの2ndソロアルバム『Make It Count』が素晴らしい

デンマーク出身のハードロック・バンドPretty MaidsのシンガーであるRonnie Atkinsの二枚目のソロアルバムが発表されました。

前作『One Shot』が発表されたのは去年なので、二年連続での新譜リリースとなります。

デビューしたばかりの新進気鋭の新人なら、短いスパンで次から次へとリリースを重ねるのもわかりますが、Ronnie AtkinsがPretty Maidsを結成したのは1981年とのことなので、40年以上の経歴を誇る大ベテランです。大御所といっても差し支えないでしょう。

そんな大ベテランがデビュー直後の若手のような勢いで新譜をリリースするのは、異例中の異例といえるでしょう。

まるで、勝負を急いでいるかのようです。

それもそのはずで、Ronnie Atkinsは現在、ステージ4の肺がんに侵されていて、闘病中なのです。彼がまるでなにかに急き立てられているかのように創作活動に打ち込んでいるのは、そのためです。まるでおのが命を燃やし尽くさんとするかのような楽曲制作に打ち込んでいるのは、そのためです。

アルバムに収録されている楽曲はどれも素晴らしく、鬼気迫るものがあります。

胸が熱くなる勇壮で感動的なサウンド、繋がりが滑らかで親しみやすく耳に引っかかるメロディ、闘病の悪影響など微塵も感じさせない力強い歌声。

前作も充実した傑作でしたが、今作も負けず劣らずの陣容です。

今作では、曲によって様々なギタリストが代わる代わるギターソロを披露しているのですが、どのソロもトーンやサスティーン、フレーズが魅惑的で、楽曲を鮮やかに彩り華を添えていて最高です。

ミックスとマスタリングはH.E.R.O.の3rdアルバム『Alternate Realities』のミックスも手掛けているJacob Hansen。作品のクオリティを底上げする心憎い仕事ぶりです。

病魔と戦いながらも、Ronnie Atkinsの創作意欲は衰えるところを知らないようで、夏頃にはEclipseのErik Martenssonと組んでいるプロジェクトNordic Unionの新作も控えているそうです。

この燃え盛る炎のようなRonnie Atkinsの創作意欲が持続する限り、こちらも傑作に仕上がっているのは想像に難くありません。

Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を買った

Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を買った

買っちゃいました。タイトルのとおり、Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を。しかも輸入盤。約1800円の安さに負けて。

格安輸入DVDは、去年Bon Joviのベストヒットビデオ集『Greatest Hits The Ultimate Video Collection』を買ったら盤面傷だらけ(再生、スキップ、チャプター選択などに影響なかったのでそのまま所持しています)のものが届いて懲りたはずが、また冒険したくなってしまいました。

というのも、そのBon Joviのベストヒットビデオ集ですが、メガヒット曲17曲のMVとそのライブ版の計34曲という冗談みたいな特大ボリュームなんですけど、ライブ集は様々な公演からの寄せ集めだったからです。

寄せ集めの何が悪いって、シームレスに繋がっていないので、一曲終わるごとにブルーレイ再生機から読み込み動作音が鳴り、ぶつ切り感が大きい。これに想像以上に興を削がれてしまうのです。

小さな会場でのしっとりとしたアットホームなアコースティックセットや、巨大なスタジアムやアリーナでのエネルギッシュなフルセットがぶつ切りで混在していて、継ぎ接ぎ感甚だしくて没入感に欠けるため、ライブ版は寄せ集めよりも一夜の公演通しのほうがいいな、としみじみと感じ入ってしまいました。

そこで、ベストヒットライブ集の中でも一際輝いているマディソン・スクエア・ガーデンでのライブDVDを買ってみることにしました。輸入盤しかありませんでしたが、安かったので。

リージョンコードについて明記されていなかったのが不安ではありましたが、無事に再生できました。盤面にも擦り傷は皆無だったのでひと安心。当たり外れがあるのかもしれないですね。

この『Live At Madison Square Garden』には、アルバム『Lost Highway』のリリースに伴う2008年のワールドツアーの模様が収められています。

会場はアメリカ、ニューヨークにあるアリーナ、マディソン・スクエア・ガーデン。NBAファンにはニューヨーク・ニックスの本拠地としてもおなじみのあのアリーナです。

360度客席に囲まれた臨場感満点のステージで、Bon Joviが客席からの熱気にも負けない、白熱のステージを繰り広げています。

アルバム『Lost Highway』のツアーであるにも関わらず、アルバムからの曲は少なめでベストヒット的なセットリストになっているところが、嬉しくもあり微妙でもある、ちょっと複雑な点ですね。

往年のメガヒット曲がたくさん聴けるのは嬉しいですが、その反面アルバムの曲があまり聴けないのは残念です。

劇場で『Encore Night』を観たときにも同じことを感じたのですが、”Keep The Faith”はスタジオ版をCDで聴くと正直それほどでもないのが、ライブだとシャッフルビートとベースラインが際立って、途端にノリノリで楽しい曲に変貌するのが面白いですね。いわゆる、ライブ映えする曲だということなのでしょう。

“Always”や”I’ll Be There For You”といったバラード曲では、アドリブジャムセッションのような熱気を帯びたアウトロで、RichieのギターとBryanのキーボードのソロバトルのような競演が聴けて、最高です。

公演まるごと収録ではないというのは残念ですが、映像も音質もクオリティ高く、Bon Joviのパフォーマンスも絶好調なので、1800円はバーゲンプライスです。お買い得にもほどがある。

やっぱり、Bon Joviはかっこいいですね。かっこいい。知ってましたが再確認しました。

ベスト盤『Cross Road』で洋楽ハードロックの世界へと誘い、劇場版ライブ『Encore Night』で最近のアルバムへの再評価を促し、『Greatest Hits The Ultimate Video Collection』でライブDVDへの興味を引き、そのライブDVD『Live At Madison Square Garden』でライブバンドとしてのBon Joviの魅力を見せつける。

私の音楽愛好家歴に楔を打ち続ける。いくつになっても、いつまでもBon Joviはかっこいい。永遠に特別なバンドのひと組です。

The Rasmusにハマったきっかけ

The Rasmusにハマったきっかけ

The Rasmusはフィンランド出身のロックバンドです。陰りのある憂いを帯びたハードなサウンドで、飛び切りキャッチーなロックを聴かせてくれるバンドです。

1996年にデビューアルバムをリリースしているのですが、私が彼らのことを知ったのは、5thアルバムの『Dead Letters』がリリースされた頃です。2003年頃ですね。

どこで知ったかというと、当時輸入盤の個人輸入でよく利用していた、ドイツのメロディック・ロック専門通販CDショップAOR Heaven(残念ながらレーベルと通販業務の終了が発表されています…)に入荷していたのです。

店主の激推しコメントに(ホントかぁ?)と眉唾ながらも、まとめ買いの中の一枚に含めました。

当時は今みたいに何でもかんでもYouTubeで試聴できなかったので、推しコメントやジャケットや誰のプロデュースなのかといった情報から、このバンドは自分の好みなのだろうかと推し量るしかありませんでした。

斜に構えていたのでそれほど期待は大きくなかったのですが、どれどれと聴いてみたら独特の世界観をとても聴きやすいキャッチーなハードロックに落とし込んでいて、一発で惚れました。

すぐさまAOR Heavenをチェックし直すと、その前の4thアルバム『Into』の在庫があったのでそれも取り寄せて聴いてみたら、『Dead Letters』と比べるとやや明るくポップな曲調ではあったものの、同一路線のキャッチーなロックに嬉しくなりました。

この『Into』と『Dead Letters』を聴いたことが、The Rasmusの音楽に惚れ込んだきっかけです。

惚れ込んだあまり、『Into』と『Dead Letters』と6thアルバム『Hide From The Sun』はそれぞれ3枚ずつ買うことになりました。輸入盤やらボーナストラック追加再発盤やら日本盤やら紙ジャケット再発盤やらで。

一番最初に買った輸入盤は妹にあげたので手元にはありませんが。

The Rasmusは音楽が魅力的なだけじゃなく商売も上手なので、ついつい財布の紐が緩んでしまいます。同じアルバムを二枚買うことはままあっても、三枚となるとなかなかないですからね。さすがに。これが惚れた弱みってやつですかね。

ただ、誤算もありました。初期の彼らの音楽性は、今とは全然別物だったのです。勝手に盛り上がって期待を押し付けて、そこから外れていたのでがっかりしてしまいました。

さらに彼らのバックカタログを欲した私は、1stから3rdアルバムも探して手に入れたのですが、ファンクっぽいというか、ガチャガチャとしたサウンドでやけに陽気なポップロックで、4th以降とは似ても似つかない音楽性だったのでずっこけました。

3rdと4thの間に一体何があったのかと、バンドに聞いてみたくなるほどの音楽性の変化です。

4th以降のアルバムを聴いてThe Rasmusにハマると、必然的に過去作にさかのぼっていくことになると思いますが、私のように似たような音楽性を期待しているとずっこけるので気をつけましょう。

つい先日には、ギタリストのメンバーチェンジという衝撃の一報がありましたが、ヒットソングライターのDesmond Childと組んだ新曲”Jezebel”でEurovision Song Contest 2022へのエントリーも発表されました。

新しいアルバムも近いうちに聴けるでしょう。彼らのますますの活躍が楽しみです。