定時ダッシュして、名古屋でLast Day Before Holidayのライブを観てきた

Last Day Before Holiday復活!? ライブを観に名古屋へ

2019年の暮れも迫った12月上旬、TwitterのTLを眺めていたら、思わず目を疑うような告知が飛び込んできました。

イタリアのポップ・パンク・バンド、Last Day Before Holidayが復活して、しかも来日ツアーを開催するというのです。それも、五夜連続四都市で。

チケット代も安い。3000円にドリンク代。神か。招聘者は神なのか。

そのうちの名古屋公演が金曜日開催だったので、これは定時ダッシュかましてライブ会場にチョッコーするしかねぇ、とテンションブチ上がりまして、駆けつけてきました。

画像はPixabayより

久しぶりに定時ダッシュ

ライブの前の週あたりから、職場の機械の調子が今ひとつで、計画の消化が捗らず定時オーバー、というのが何日かあったので、いやこれ大丈夫かとちょっと不安だったのですが、当日は何事もなくすんなりと仕事を終えまして、無事に定時ダッシュできました。

定時ダッシュでライブ会場に直行、久しぶりにやりましたけど、しんどいですね、やっぱり。

行きの電車では座れたのでしばしうたた寝してしまい、ハッと起きたときには大府を出発するところで、「大府って金山の前だっけ、もう過ぎてるっけ?」と一瞬パニックに。

うたた寝程度で済んで助かりました。大垣行きの電車に乗っていたので。気がついたら大垣だったとか、シャレにならないですからね。

今回は開演が20時だったので時間に少し余裕があったんですけど、それでもゆっくり食事を摂れるほどの余裕はなかったです。

結局飲み物しか口にできずに、腹を空かせたまま会場で受付。

バーカウンターでビールを頼んだら、待っている間にタイムテーブルが載っていることに気がついて、それによると終演21時半とあったので、終電は余裕だなとのんきに構えてたら、まさかの延長に次ぐ延長で、終電逃しちゃいました。

いつになくノリノリでクレイジーな名古屋の観客

当初21時半終演の予定だったのに、バンドが予定を変更して次から次へと延長した理由のひとつは、間違いなくこれでしょう。

ここ名古屋だよな? と今一度確認したほど、いつになくノリノリでクレイジーな観客。この反応の良さに、バンドの気分もアガっちゃって、引っ込みがつかなくなってしまったのでしょう。

正直なところ、バンドの仕上がりは、今ひとつだったんですよね。ハードスケジュールのせいなのか、サウンドの追い込みや、全体的な完成度の底上げに、リハーサルが足りないのではないかと感じました。

でも、めちゃくちゃ楽しかったんですよ。

今まで、こんなにも心底ハッピーで満ち足りたライブがあったかな、と考えて、いや思い当たらないよな、と納得してしまうほど、底抜けに楽しかったんです。

ライブへの満足感を決めるのは、バンドのパフォーマンスの完成度だけじゃないんだな、と実感しました。

あの日、あの会場にいた観客は、果たして何人だったんでしょうか。四十人、いや、三十人いたかどうか…。それが、会場の大小、観客の多い少ないなんて、そんな細けぇことどうでもいいじゃねぇか、そんな盛り上がりをみせたんですよね。五十人にも百人にも感じるような。

あの日あの場に居合わせた人、みんな終生のマブダチ。そんな連帯感、多幸感が溢れんばかりでした。いつもは鬱陶しいなと毛嫌いしているモッシュやダイブですら、微笑ましく眺めていられたくらい、幸せだったのです。

あのサイズの箱ならではの一体感でしょうね。

延長に次ぐ延長のおかげで、好きな曲全部聴けたのでもう大満足です。これでチケット代3000円は安すぎる。神。

フロアが明るくなったので、もうさすがにこれで終わりかと、会場を出てエレベーターに乗り込んだら、扉が閉まる直前に歓声が沸き上がったので、もしかしたらさらなる延長があったのかもしれません。

どうせ終電を逃すのなら、もうちょっと留まってればよかったな、とちょっぴり後悔しました。

終電ダッシュで一本遅れて間に合わず、金山から蒲郡まで立ちっぱなし。これが堪えるんですよねぇ。腹減った、疲れた、足痛い、でも楽しかったなぁ、そんなことを心のなかでつぶやきながら、帰路についたのでした。

一曲ではとらえられない、何曲かを通してのドラマがあるロックの名盤

先日刊行されました、大好きな漫画である『BLUE GIANT SUPREME』9巻の中に、こんなセリフが出てきます。

「NUMBER FIVE」は、曲を追うごとに熱量が上がります。そこには一曲ではとらえられない、何曲かを通してのドラマがあるんです。

『BLUE GIANT SUPREME』9巻より

主人公・宮本大がヨーロッパで初めて組んだバンド、NUMBER FIVE。そのバンドのデビュー・アルバムの録音に携わったレコーディング・エンジニアから、バンドに対してのある無茶とも言える提案を通すにあたっての、説得材料です。

このセリフは、すっと違和感なく胸に染み込んできました。確かに。

音楽アルバムの中には、聴く人それぞれの好みに左右されて、好きな曲に嫌いな曲、イマイチな曲、なんにも引っかからない曲、大好きな曲と、たとえ大好きなバンドの曲でも色々と出て来ちゃうんですけど、ランダムで聴いてるとスキップしちゃう曲でも、アルバムの曲順通りだと不思議と飛ばす気にならずに聴けちゃったりもするわけで。

アルバムを通してのストーリー性というかドラマ性というか、無視できないそういった流れは確かにあるよなぁ、と腑に落ちました。

いくら好きな曲でも、ランダムで聴いていると、なんとなく気分じゃなかったり、雰囲気にそぐわないなと感じたら、飛ばしちゃうこともありますからね。

ヒット・シングルを網羅したベスト・アルバムは、収録曲ひとつひとつをとってみればとても魅力的なんですけど、野球で例えると四番打者ばっかり並べているナインみたいなもので、繋がりとか流れは希薄ですよね。

ベスト・アルバムにはベスト・アルバムで魅力もありますけど、オリジナル・アルバムにはそこでしか聴けない、なにか特別な魅力があります。

画像はPixabayより

一曲ではとらえられない、何曲かを通してのドラマがあるロック・アルバム

私は普段、洋楽ロックが好きで愛聴しているんですけど、好きなアルバムのことを考えてみると、やっぱりあるんですよね。曲順通りの流れが生み出している起伏が、しっくりと耳に馴染んでくる感覚が。

これが、ストーリー性やドラマってことなんだろうな、と解釈しています。

好きな曲って、ただその一曲を聴くだけでもいいんですけど、アルバムの流れを通して聴くとまたひと味違う感銘があるんですよねぇ。

そんなわけで、私が大好きな洋楽ロックの名盤の中でも、特にストーリー性やドラマを感じるアルバムを挙げていきます。

Fair Warning 『Go!』

ドイツ出身のメロディアス・ハードロック・バンド、Fair Warningの三枚目のアルバム。デビューから二枚立て続けに傑作をリリースしていたんですけど、この三枚目で大化けを果たしました。

アルバムの序盤が特に強烈で、カタパルトに射出されたジェットコースターのようなめくるめくメロディが堪能できます。

再発盤にはボーナス・トラックが山盛り追加されていて、お得っちゃお得なんですけど、思いっきり蛇足になってしまっているので、オリジナル盤で聴きたい。

Harem Scarem 『Mood Swings』

カナダ出身のメロディアス・ハードロック・バンド、Harem Scaremの二枚目のアルバム。デビュー作も原石のような魅力が散りばめられた傑作でしたが、この二枚目で緻密な音作りと彩り豊かな編曲を披露して、度肝を抜きました。

きらびやかでありながら重厚なサウンドは見事ですし、捻りの効いたメロディを畳み掛けてくる展開も強烈ですし、個性豊かな楽曲たちが一枚のアルバムとしてまとまっている構成も素晴らしい。

My Chemical Romance 『The Black Parade』

先日再結成を発表したアメリカ出身のロック・バンド、My Chemical Romanceのメジャー二作目にして、全世界で大ブレイクを果たした傑作。

前作で披露した、狂気と紙一重の激情を残しつつも、より洗練されたサウンドとメロディが素晴らしい。考え抜かれたアルバム構成により、アルバム全13曲で一曲となっているような、絶妙の流れが秀逸。

Elliot Minor 『Elliot Minor』

アメリカ出身のロック・バンド、Elliot Minorのデビュー・アルバム。ゴージャスなサウンドといい分厚いハーモニーといい、これがデビュー作とは信じがたい完成度。

おしゃれな音なのに小綺麗にまとまってなくて、ファンクっぽさを感じさせるテンションの高いロックを披露しています。このバランス感覚は凄まじいですね。

激流下りで転覆寸前のスリルに翻弄された、そんな気分が味わえる一枚。

Mae 『The Everglow』

CCMロック・バンド、Maeの二作目。前作とこの次のアルバムからしたら、突然変異としか思えない傑作。バンドに一体何が起こったのでしょうか。

コンセプト・アルバムのようで、プロローグから始まりエピローグで終わる、という構成になっています。美しくもダイナミックなメロディの連続が生み出す豊かな起伏は、山奥の神秘的な渓流のようです。

91 Suite復活!6曲入りEP『Starting All Over』をリリース!

91 Suite復活!

2019年9月上旬、嬉しいニュースがありました。

スペイン出身のメロディアス・ハード・ロック・バンド、91 Suiteの復活です。

2ndアルバム『Times They Change』のリリースから早14年、この間に別プロジェクトからのアルバム発表もありましたが、このまま静かに消えていくのかとばっかり思っていました。

いやぁ、まさかでしたね。

2019年9月6日、バンドは突如として、ひっそりと、6曲入りEP『Starting All Over』をリリースしたのです。

画像はPixabayより

91 Suiteとは

91 Suiteは、スペイン出身のメロディアス・ハード・ロック・バンドです。切なげな歌声と、郷愁を誘うような哀愁のメロディが魅力的なバンドでした。

今回のEPの前に、二枚のフルアルバムを発表していたのですが、いずれも高品質な極上メロディアス・ハードが堪能できる名作で、ファンの心をガッチリと掴んでいたバンドでした。

ディスコグラフィ

  • 『91 Suite』(2001)
  • 『Times They Change』(2005)
  • 『Starting All Over』(2019)←New!

91 Suiteとしては、2005年の『Times They Change』を最後に、長らく音沙汰がなかったことになります。

2014年に、元91 SuiteのヴォーカルとギターのふたりでSecretというユニットを組んで、『The End Of The Road』というアルバムをリリースしていました。

こちらも、91 Suite時代から何ら変わりのない高品質メロディアス・ハード作品で、今後はこのSecretとして活動していくのかと思いきや、なかなか次が出てこなかったので心配していたところでの、まさかの91 Suiteの復活であったのです。

続報に期待

今回のEP『Starting All Over』ですが、デビュー当時から微塵もブレないどころか、ますますパワーアップした彼らならではのメロディアス・ハードが堪能できる作品に仕上がっています。

全6曲どれをとっても素晴らしく、復活後の活動が順調に軌道に乗ることを、願わずにはいられない仕上がりです。

より具体的に言えば、可及的速やかな3rdアルバムの制作ですね。

私個人のわがままを言わせてもらうならば、今回のEPから新アルバムへの収録は多くても半分以下、それでいてこちらの期待を上回るクオリティの新アルバムの発表です。

収録が見送られた楽曲はボーナストラックに。これで完璧。

いささかハードルが高すぎるような気もしますが、これまで名作ばかりをリリースしてきた彼らのこと、このハードルをも越えてくれるに違いないと、期待しています。

最後に

私は、今回の新EPの発表を、TwitterでのTAKEさんのつぶやきで知ったのですが、それからTwitter内を検索してバンドの公式アカウントを見つけたんですけど、バンドの最新のつぶやきが2017年10月29日で、14年ぶりの新曲発表というビッグ・トピックにも関わらず何も更新されていなかったのを見て、もったいないな、と感じました。

YouTubeの公式アカウントでは、新曲の動画が投稿されていたのに、なんでそれを自ら積極的に拡散しようとしないのだろうか、と。

もっと発信しましょうよ、自ら。自分たちの新曲発表にだんまりで、いつTwitterを更新するっていうんですか。

権利が絡んだ大人の事情とか、こちらが知る由もないしがらみのせいでやりたくてもできない、という現状に置かれているのかもしれないですけど、これは大いなる機会の損失ですよ。せっかくの名EPなのに。

あのつぶやきを見逃してたら、このEPの存在を、ずっと知らないままだった可能性が高いわけですからね。

SNSを上手く活用した自分たちの活動の売り込みにも、今後は力を入れてほしいと切に願います。