Blu-rayが再発されたので、久しぶりに『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を観た

Blu-rayが再発されたので、久しぶりに『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を観た

Amazonで検索していたら、キングレコードの「死ぬまでにこれは観ろ!2021」キャンペーンの中の一作として、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』が再発されると知ったので、Blu-rayディスクを購入しました。

前に観たのはまだWOWOWに加入していた頃だったので、もう何年前か定かではありません。確かなのは、『トランスポーター』シリーズを観たあとってことだけですね。(あ、ジェイソン・ステイサムが出てる!)という驚きが鮮烈に残っているので。

ガイ・リッチー監督の初監督映画として名高いですが、俳優ジェイソン・ステイサムの映画デビュー作でもあります。

アクションスターとしての確固たる地位を築く前の出演なので、ステイサムの華々しい活躍シーンがなくて彼のファンには少し物足りないかもしれませんが、そんなことはどうでもよくなるほど娯楽映画作品としての構成の妙が際立っています。

物語の主人公は盗品売買でその日暮らしの四人組。

資金を持ち寄り裏賭博で一攫千金を目論むも胴元のイカサマにハメられて法外な借金を背負い、返済に迫られ途方に暮れたところで強盗団の計画を盗み聞き、その獲物を横取りしようと画策します。

その奇襲は見事に成功し、これで借金を返済して一件落着かと思いきや、ここから話はこじれにこじれます。

街でのんきに遊び呆ける主人公グループ、復讐に燃える強盗団、強盗被害にあった一味、取り立て屋、胴元たちの思惑が交差しては複雑に絡み合い、捻れまくり、さすがにこれで決着かという場面からさらにひと捻りし、おまけに最後あのあとどうなったんだろうという想像の余地の楽しみまで残す、という凝りよう。

それでいて、しっちゃかめっちゃかにとっ散らからずに、散漫さや冗長さも感じさせることなく、過不足なく説明しつつ小気味いいテンポで物語を進行し、あっちにこっちにと揺さぶりながらも鮮やかに結末に向けて収束させるのだから、見事と唸るほかありません。

本当に初監督作品なのか?と疑いたくなるほど卓越した手腕です。

デジタル一眼カメラで写真を撮るようになったり、アクションカメラなどで動画を撮って編集したりするようになった今だからこそ、観直して改めて気がつくこともありますね。

公開当時1999年。2021年の今観ても全然古臭さを感じさせない斬新な構図やリズミカルで心地よいカット割り、場面転換には驚かされます。新進気鋭の新人監督の恐るべき才気が迸っています。

まさに、死ぬまでにこれは観ろ!キャンペーンにふさわしい傑作と言えるでしょう。

https://youtu.be/h6hZkvrFIj0

Perfect Planのヴォーカリスト、Kent Hilliのソロデビューアルバムが素晴らしい

Perfect Planのヴォーカリスト、Kent Hilliのソロデビューアルバムが素晴らしい

Perfect PlanのヴォーカリストであるKent Hilliがソロアルバムをリリースする、という報せを聞いたとき、まず私の頭をよぎったのは(ペース早くね?)という疑問でした。

というのも、去年、2020年にPerfect Planの2ndアルバムをリリースしたばっかりだったからです。Kent Hilliはバンドでもほとんどの作詞作曲に関与しています。今回のソロアルバムも共作も何曲かあるとはいえほぼ自分で書いているので、作品発表の間隔が短いことが気になりました。

創作意欲の表れか、ちょうど今なにかがキていて勢いが留まるところを知らない状態なのか。

ライナーノーツによると、来年にはバンドの3rdアルバムをリリースしたいというのだから、驚きのハイペースです。コロナ禍のせいで満足なライブ活動ができない結果、スタジオでの新曲制作が捗っているという、皮肉な背景もあるのでしょうが。

Kent Hilliのソロアルバムと記述しましたが、より正確性を期すならば、本作のプロデュースとすべての楽器パートを担当したMichael Palaceとのコラボ作品である、ともいえるでしょう。

Kent Hilliがアコースティックギター弾き語りの楽曲データをMichael Palaceへと送り、それをもとにMichael Palaceが楽器隊の音を肉付けし、曲に仕上げたのですから。

すべてのサウンドをMichael Palaceが手掛けた、というのがミソですよね。本作の強みはここにあります。Michael Palaceのサウンドが好きなんですよね。特にギターの音色が。きらびやかで華のある音色の響きがたまらないんですよ。

Kent Hilliが書いた強力な楽曲が、Michael Palaceの音色で彩られる。想像しただけで垂涎モノですし、実際に手元に届けられたアルバムの出来は期待以上でした。キーボードやギターが華々しく活躍する、ポップかつキャッチーなハードロック。

マルチプレイヤーがひとりで音作りすると、無駄が削ぎ落とされすぎて淡白な音になったり、得意な楽器と必要最低限はこなせる楽器で差が大きくて音が詰めきれなかったり、プロダクションが拙かったりして、甘いところが悪目立ちしがちなんですけど、それも皆無。

これが発端となってこのふたりが中心の新プロジェクト立ち上がったりしないかな、と夢想したくなるほどの快作です。

北欧スーパー・メロディック・ロックバンドCrowneのデビューアルバムが凄すぎる

北欧スーパー・メロディック・ロックバンドCrowneのデビューアルバムが凄すぎる

2021年6月、Art Nation、H.e.a.t、The Poodles、Europeといったスウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンドのメンバーが各1名ずつ集まって結成されたスーパー・バンド、Crowneのデビューアルバム『Kings In The North』が発売されました。

3月にこのバンドの結成と同時に新曲”Mad World”が挨拶代わりに公開されてからというもの、このCDの発売を心待ちにしていました。というのも、発表から発売までの間の約三ヶ月で、四曲がアルバムの発売に先駆けて順次先行公開されていったんですけど、そのどれもが素晴らしかったからです。

新曲を先行公開して注目を集めるからには、半端な曲なわけがないのですが、それにしても出来が良すぎる。それが四連発ですよ。こんだけ煽られたら、否が応でも期待感が高まり募ってしまいます。ハードル上がりまくりですよ。自分で自分の首を絞めるとはこのことか。

ようやく待ちに待った発売日に入手して早速聴いてみると、一曲目がアルバムのタイトルトラックだったのですが、これまで秘匿されていたこのタイトル曲が、先行公開曲によって上がりまくっていたハードルを軽々超えてくるという怪物っぷり。

最強タイトル曲で幕を開けて、怒涛の先行公開曲四連発とさらに畳み掛けて、そろそろここらでバラードを挟んで小休止かと思いきや、まだまだ続くアグレッシブな強烈ナンバー。手綱を緩める気ゼロ。

細かい駆け引きとか、緻密な組み立てとか、物語性のある曲の流れとか、そんなことガン無視で全力全開チューンを次々に投入、という豪快なアルバム構成。

めっちゃいい曲書けたから自分のバンド用にこれは残しとこ、みたいな腑抜けた出し惜しみは皆無。

いや、ホントのところはわからないので、勝手な妄想ですけども。さらにこの上を行く曲も書いていて、それは自分のバンド用にキープしている可能性も無きにしもあらずです。でも、そんなせこい考えで、こんな凄い曲だらけのアルバムは到底作れないと思うんですよね。

全員、自分の今のバンドや主な仕事を投げ捨てて、このCrowneに乗り換えようとしているのではないか、と疑いたくなるほどの気合の入りようです。

ただ豪華なメンバーが集結しただけじゃなくて、血気盛んな新進気鋭バンドのような、一発ドカンとかましてやるという野心が透けて見えるような、そんなメロディとサウンドが満載です。

欲を言えば、疾走系のかっこいい曲ばっかりなので、ポップで親しみやすいさわやかな曲やグッとくる情熱的なバラードなどもあったら、全方位完全無欠のアルバムになっていたのではないかと思いますが、まあこれはただの無い物ねだりでしょう。

果たして、W.E.T.のように、第二弾、第三弾はあるのか。Art NationやH.e.a.tの活動に支障をきたさない程度に、上手くバランスを取った継続的な活動を望みたい新たなスーパー・バンドの誕生です。

輸入盤DVDが安いからって、安易に飛びつくのは止めたほうがいいのかもしれない

輸入盤DVDが安いからって、安易に飛びつくのは止めたほうがいいのかもしれない

大好きなBon Joviのライブ映画『Bon Jovi From Encore Nights』を観に行くことになって、テンションが沸騰した私は、Amazonで輸入DVDを買いました。

Bon Joviの『Greatest Hits – The Ultimate Video Collection』です。

17曲のMVと、そのライブパフォーマンスが収められていて、約1500円。安すぎですよね。思わず飛びついてしまいました。これが落とし穴とも知らずに。

ライブ映画の観劇前日に届いたので、(よしよし、これで行き帰りにカーオーディオでMVとライブ映像を再生しながら余韻に浸れるぞ)と笑顔になったのも束の間、開封した途端にぬか喜びに変わりました。

というのも、ディスクの盤面が傷だらけだったのです。レンタル落ちの中古品ですら見たことないレベルの傷まみれです。ディスクホルダーが緩かったので、輸送中に動いて盤面に傷をつけてしまったようです。

マジかよ…。

さすがに凹みましたね。

すぐさまプレーヤーに投入して、映像や音声の再生に問題ないことを確認して、不幸中の幸いというかホッとしたというか、でも気分が悪いのはどうしても残ってしまって。

調べてみたら、どうやら輸入DVDあるあるのようですね。ホルダーからディスクが外れていて傷だらけだった、というのは。中には再生できなかった人もいるみたいなので、自分はまだラッキーだったと納得するしかありません。

返品して他の新品を送ってもらったとしても、また開封してみたら傷だらけ、今度は再生もできないかもしれない、と下手したら結果が現状よりも悪化する可能性が高いですからね。

輸入盤CDでもたまにホルダーが割れていたことはありましたけど、CDの場合は盤面傷だらけなんてことはなかったので、完全に油断してました。

盤面傷だらけでも映像と音声の再生には問題ありませんでしたけど、どちらも正直、高品質とは言い難いです。

おそらくですけど、DVD一枚にMVとライブ映像を17曲ずつ、計34曲分のデータを詰め込むためにレートを下げた結果、バランス調整をミスったのではないかと。

そんなことになるくらいだったら、多少値段が高くなったとしても、画質と音質をリマスターして、MVで一枚、ライブ映像で一枚、素直に計二枚組にしてくれたらよかったのに…。

ディスクチェンジの手間が省けるのは助かりますけど、逆に言えばメリットはそれくらいですよね。

劇場で『Bon Jovi From Encore Nights』を観てきた

劇場で『Bon Jovi From Encore Nights』を観てきた

当初は、観に行くの無理だな、と諦めムードでした。Bon Joviのライブ映画『Bon Jovi From Encore Nights』のことです。

というのも、上映される映画館が限られている上に、基本的に上映は6月10日木曜日の一日のみで、しかも上映時間も18時50分からという、定時ダッシュ決められたとしても最寄りでも無理ゲーじゃん、という絶望の状況だったのです。

それでも観に行くのであれば、全国でも数ヶ所しかない一週間上映している映画館まで行くしかない状況でした。名古屋か、富士宮まで。

ライブ映画を観るために、片道2〜3時間かけて映画館まで行くだなんて、ちょっと現実的ではないというか、普通じゃないですよね。

Bon Joviは洋楽ハードロックが好きになったきっかけのバンドで、特別な思い入れのあるバンドのひとつですが、それにしたってこのハードルは高い。それで、まあ見送るしかないかな、と諦めムードだったのです。

それが、岡崎でも一週間上映している、という書き込みを見て(あれ?おかしいな、一週間上映している映画館は、一番近くで名古屋か富士宮だったはずだけど…)と首を傾げながら再度公式サイトで上映期間をチェックしてみたら、日程がいつの間にか変更されていたのか、最寄りの映画館でも一週間上映になっていたので、これなら行ける!とテンション上がって劇場に突撃してきました。

日曜日の夜だからというのもあったのか、劇場は人影もまばらで閑散としていました。

券売機でチケットを買い求めると、上映30分前に一番乗り。ど真ん中よりやや後方のベストポジションをキープし、ひょっとしたら貸し切りかとドキドキしながら時間を待ちました。

さすがに貸し切りではありませんでしたが、自分を入れても観客は四人だったので、ほぼ貸し切りのようなものでしょう。日曜の夜だからガラガラだったのだと、土曜の夜は盛況だったのだと信じたい。

観劇に際して、私にはひとつ懸念事項がありました。

Jonの相棒ともいうべきギタリストRichie Samboraの脱退の影響です。抜群に上手い歌によるコーラスとギタープレイでバンドに華を添えていた存在があまりに大きすぎて、Phil Xを代役に迎えて果たしてその穴を埋められているのだろうか、という心配です。

結論から言えば、その心配は杞憂でありました。正式メンバーとして迎え入れているだけあって、コーラスにギターソロにと想像以上の大活躍。ひと安心するとともに一抹の寂しさもあって、複雑な胸の内もありますけど、懸命にこなしている姿には胸を打つものがありました。

ライブで聴くと、家や車でCD音源を聴いているのとはガラリと受ける印象が変わる曲があるんですけど、今回もありました。最近の曲と、あんまり好きじゃなかった曲です。

観劇前にセットリストをうっかり見てしまったので、最近の曲わりと多めかぁ、と落胆してたんですけど、その最近の曲もけっこう良かったんですよね。『Have A Nice Day』の頃までは好きでアルバム毎回買ってたけどなぁ、という人も、目からウロコ間違いなしの、最近のBon Joviのかっこよさが溢れてます。

特に、”Story Of Love”。もはやプロデューサーというよりも、Bon Joviのシックスマン的な存在感でこのライブにギターで参加していたJohn Shanksが渋いトーンでギターを泣かせていて、沁みました。もともと、『2020』収録曲の中では好きな曲上位でしたけど、さらに好きな曲になりました。

ついで、”Keep The Faith”。正直、この曲はあまり好きではなかったんですけど、何ならこの曲の代わりに”I Believe”か”I Want You”をベストに入れてくれればいいのにとか思ってましたけど、ライブで聴くとベースラインとシャッフルビートが際立って、雰囲気が一変します。実はライブ映えする曲だったのですね。こんなかっこいい曲だったっけ?と驚きました。

Jonの声もよく出ていて調子良さそうで、銀髪になり、シワが目立ち、老いが隠し切れなくとも、Bon JoviはBon Joviで相変わらず途方もなくかっこいいバンドなのだ、ということがこのライブ映画を観てよくわかりました。

生ではなくスクリーン越しというのが悲しかったですが、コロナ禍のせいで来日ライブ開催は壊滅的で新作映画の上映も寂しい現状に、イベントへの参加に飢えていたので、久々に心躍りましたし楽しかったです。

願わくば、Mr. BigやAerosmithといった人気ハードロック・バンドでもこのEncore Nightsが開催されてシーンが盛り上がると嬉しいですね。