もう二度とパラディウムの防水ブーツは買わない
靴を買うとき、何を重視してますか?
人によって優先順位は前後するでしょうけど、デザインが好みか、予算内か、サイズが有るか、試着してしっくりくるか、必要なスペックを満たしているか、だいたいこんなところでしょう。
私の場合は、それらに加えて、もうひとつ重要視している項目があります。靴底の形状です。
たとえ、デザインがモロ好みで、予算内で、サイズも有って、試着してしっくりきて、必要なスペックを満たしていたとしても、靴底の形状が意にそぐわなかったら買いません。靴底さえこの形じゃなかったらなぁと泣きながら見送ります。
私が靴底の形状を重要視しているのには、理由があります。
何年か前、パラディウム というブランドの防水ブーツがかっこいいと話題になり、注目を集めたことがありました。
私もその話題に食いついたひとりで、こんなかっこいい防水ブーツがあったのか、これなら欲しいなと物欲を募らせていたのですが、この近辺じゃ試着できるお店もないだろうしノーチャンスだろうなぁ、と半ば諦めていたのです。
そしたらですよ、お隣の浜松市のイオンのテナントの一軒に、パラディウムの防水ブーツが置いてあったのです。
実物を見てもやっぱりかっこいい。試着しても特に問題なし。ハイカットなのが脱ぎ履きがめんどくさそうで気になるが…まあいいや、いっちゃえ、と勢いで買った私は愚か者でした。
パラディウムの防水ブーツを買ってしばらくして、奈良に旅行する機会があったんですけど、ちょうど天気予報が雨だったので、私はここぞとばかりにパラディウムの防水ブーツを履いて出かけました。
友人からもそのブーツかっこいいねなんて褒められて、新しい靴ですっかり気分良く古都を散策していたんですけど、程なく違和感を覚えます。
なんか歩くたびにカツカツ音が響いてくる。
なんだこれ?
膝から下を上に折り曲げ、靴底を見た私は驚きました。パラディウムの防水ブーツは靴底が大きなブロックみたいな形状だったんですけど、その隙間に小石が挟まりまくっていたのです。
音の正体はこれか!
悪夢でしたね、あれは。取り除いても取り除いても、少し歩いたらすぐに小石が挟まって。奈良や京都に限らず、寺社って参道に砂利道が多かったりするじゃないですか。どうにも避けようがなくて。
ちょっと想像してみてくださいよ。物静かで厳かな参道を歩いていたら、どこからともなく響いてくるカツカツという足音を…。雰囲気台無しですよ。
いやもう、恥ずかしかったですね、あのときは。友人たちからは何も言われませんでしたが、内心(誰じゃこの耳障りな足音は…)と穏やかではなかったでしょう。すいません、犯人は私です。
しかもハイカットなものだから、本堂を参拝するたびに面倒な脱ぎ履きに迫られ、下駄箱に入れずにビニール袋に手持ちして上がるところでは微妙に小さなビニール袋に苦労させられ、と、これは完全にしくじっちまったなぁ、という印象しか残っていません。
この一件が尾を引いてまったく履く気が起きなくなったので、古着屋に売りました。
ワークマンからパラディウム風の防水ブーツ が発売されているのを見て、この悪夢を思い出しました。
レビューで「ソールの溝が大きくて深いので小石が挟まることもありますがやむを得ません」と書いている人もいましたが、ガッツリ使い込んでないんでしょうね。一泊二日の奈良旅行で履きっぱなしだった自分には、やむを得ないのひと言では済まされない大問題でした。
これ以降、ふたつの項目が、私の靴購入前チェックリストに追加されることになります。ハイカットの場合はサイドゴアかサイドジップで脱ぎ履きが容易であること、靴底の形状が小石が挟まりまくりそうな形状になっていないか、このふたつです。
もう二度とパラディウムの防水ブーツは買わない、なんてタイトルにしちゃいましたけど、このふたつの追加項目をクリアさえすれば、買う可能性はあります。
まあ、サイドジップやサイドゴアはあるかもしれませんけど、製品ラインナップを見る限りあの靴底形状はブランドのアイデンティティになっているっぽいので、残念ながら一度限りの縁になりそうです。
梅雨入りして、かつての私のようにかっこいい防水ブーツを探している人も多いかも知れませんが、見た目のかっこよさに目が眩んで安易に飛びつくと、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。
物欲しさにチェックが甘くなっていないか?
今ある手持ちのスニーカーに防水スプレーをかけるだけではダメなのか?
最後の一歩手前で、今一度冷静に自問自答する心の余裕を持ちたいものです。
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