君は吉良吉影流快眠法を知っているか?

吉良吉影流快眠法とは

吉良吉影とは、週刊少年ジャンプで連載されていてコアな人気を誇った漫画、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部『ダイヤモンドは砕けない』のラスボスです。

あえて爪を隠して、決して無能ではないが有能というほどでもないという、これといって特徴のない男を演じることで、社会生活に溶け込んでいたシリアルキラーです。

その吉良吉影ですが、常に心の平穏を願って生きている人間であるということを主人公の仲間にとうとうと語って凄んでいるシーンがあるのですが、そこで彼のこだわりの生活習慣が披露されています。

そのひとつが、睡眠に関する習慣であったのです。

「夜11時には床につき必ず8時間は睡眠をとるようにしている…寝る前にあたたかいミルクを飲み20分ほどのストレッチで体をほぐしてから床につくとほとんど朝まで熟睡さ…」

『ジョジョの奇妙な冒険』37巻より

これをジャンプ連載当時に読んだときは高校生だったので、吉良吉影の言っている意味がまったくわかりませんでした。いやいや、わざわざそんなことしなくても、布団に入れば下手すりゃ昼までぐっすりでしょう、と。

40を過ぎて、ようやくわかりました。熟睡することの難しさが。

入浴中と充電中以外は、XiaomiのスマートウォッチMi Smart Band4を着けて、歩数や睡眠時間の記録をとっているのですが、睡眠の質が悪すぎる結果、トラッキングアプリから寝る前には一杯の牛乳を飲みましょう、という助言を頂いてしまいました。

この助言を読んだときに思い出したのが、先の吉良吉影流快眠法だったのです。

最初は(静かに暮らしたい吉良吉影かよ)と鼻で笑っていたんですけど、睡眠時間の記録をとる前から漠然と(最近あまり良く眠れていないよなぁ)と思っていたのが、正確性はさておき具体的な数字で睡眠の質の悪さが立証されてしまったので、笑ってばかりもいられなくなってしまいました。

そこで、藁にもすがる気持ちで、入眠前に一杯の牛乳を飲んでみることにしました。前々から、タバコは吸わない、酒はたしなむ程度、入浴後に柔軟ストレッチで体をほぐす、といったことは実践していたので、そこに牛乳を飲むことを追加したのです。

そしたら、これが思った以上に効果があったんですよね。

12月9日は覚醒時間がありますが、これはソファで寝落ちしちゃって布団に移動し直したからです。牛乳を飲むようになる前と比べて、睡眠の質に向上が見られました。

一応、寝る前に牛乳を飲むことがいいとされる根拠としては、牛乳に含まれるアミノ酸の一種トリプトファンがセロトニンを作ることができ、セロトニンが体内でメラトニンに変化することで、安眠を促す効果が期待できる、ということのようです。

さすがに、夜11時には床につき最低でも8時間は眠る、というのは難しいですが。実践したら速攻で目に見える数字に効果が現れたので、入眠前に一杯の牛乳を飲むことを習慣として、今後も続けていきたいと思います。

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漫画『カメラ、はじめてもいいですか?』を読んだ感想

漫画『カメラ、はじめてもいいですか?』を読んだ感想

私がその漫画の第一巻の刊行を知ったのは、Twitterのタイムラインを眺めていたときでした。

著者の公式アカウントでのつぶやきがリツイートかファボで回ってきまして、そこに著作から一部抜粋されて添付されていたのを読んで、面白そうだな、と。

私も趣味で一眼レフカメラを持って撮影に出かけることがあるので、興味を惹かれました。

漫画を楽しく読みながら、忘れていた初心を取り戻したり、あるあるにウンウンとうなずいたり、今まで知らなかった撮影スポットを知ったり、撮りたい画を撮るために心がけてることなどへの理解を深めるきっかけになったらいいな、と期待しています。

物語は、自分に自信が持てなくて悩みを抱えている女子高生ミトが、密かに憧れていた隣室のお洒落でハキハキしている女子大生チサトに、撮影モデルを頼まれる場面から動き出します。

チサトとの出会いをきっかけにカメラに興味を持ったミトは、チサトに相談して、彼女のお古の機種を借り受けることになります。

その機種が、フジフイルムのX-T20。この機種選定が絶妙。

チサトが現在その上位新機種にあたるX-T3を使っていることからも納得の機種であるだけでなく、小さすぎず大きすぎず、初心者向けすぎず玄人向けすぎずという、背伸びをするのにちょうどいい渋い機種。そう来るか、とうなりましたね。

もし自分が今フジのカメラを買うとしたら、X-T4かX-T30かで頭ショートしそうなくらい悩むでしょうし。

ミトの友人のカメラもペンタックスのKPだったり、リコーのGRⅢだったりと、登場するカメラがどれもいぶし銀。幕間のコラムでそれぞれについて掘り下げてもいて、沼に誘われてしまいそうな構成です。

ミトがチサトからカメラを借りて、早速カメラを持って登校しているんですけど、周りの目が気になって恥ずかしくて結局一枚も撮影できず、という葛藤が描かれています。

その気持、よくわかります。

自分も、旅先だったら別にひとりでカメラを構えていても恥ずかしくないんですけど、地元でひとりでカメラで撮影は恥ずかしくて無理。

知り合いにガチの撮影姿を目撃される可能性が高いから。もし、「この間の休み、〇〇でめっちゃ熱心に写真撮ってたね」なんて同僚から声をかけられたら、軽く死ねる。

現に、近所の名庭の写真を撮りに行きたいんですけど、知っているだけで徒歩圏内に三人同僚が住んでいるので、散歩中などに普通に遭遇してしまいそうで気後れします。

一巻のラストのエピソードは、ミトとチサトのふたりで、長野県の美ヶ原高原まで足を伸ばして、星景撮影からの流れで夜明けまで撮影する、というものだったんですけど、これを読んで、ああそういえば最近夜明けの写真を撮りに行ってないな、と改めて気付かされました。

夜明けって素晴らしいんですよね。日が昇るに連れ、刻一刻と明るさを増しながらコロコロと表情を変える空模様が、なんともいえず劇的で美しくて。

同じことは夕焼けにもいえるんですけど、夕焼けって多くの人に目撃するチャンスがあるじゃないですか。その点、朝焼けは、夜明け前から起きて待ち構えていた人にしか見れないんですよね。特別感がダンチなのです。宝物をほぼ独占しているという優越感。徹夜や寝不足の眠気なんて吹っ飛んじゃいます。

最後に、私が今までに撮影した朝焼けの写真を何枚か貼っておきます。

特に思い出深いのは、沖縄の西表島で拝んだ朝焼けですね。

夜明け前に目が覚めてしまって、二度寝できなくて仕方なく一応カメラを持って散歩したんですけど、空が明るんできたなと思っている間にみるみる空模様が変化して、まるで夕焼けみたいな鮮やかなオレンジ色に焼けて。

これには大興奮で、夢中でシャッターを切りまくりました。空が明るんできてから焼けが収まるまでの約半刻で、100枚近く撮っています。

劇的な朝焼けには、三文どころではないお得感があるのです。

私が過去に撮影した朝焼けの写真

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一曲ではとらえられない、何曲かを通してのドラマがあるロックの名盤

先日刊行されました、大好きな漫画である『BLUE GIANT SUPREME』9巻の中に、こんなセリフが出てきます。

「NUMBER FIVE」は、曲を追うごとに熱量が上がります。そこには一曲ではとらえられない、何曲かを通してのドラマがあるんです。

『BLUE GIANT SUPREME』9巻より

主人公・宮本大がヨーロッパで初めて組んだバンド、NUMBER FIVE。そのバンドのデビュー・アルバムの録音に携わったレコーディング・エンジニアから、バンドに対してのある無茶とも言える提案を通すにあたっての、説得材料です。

このセリフは、すっと違和感なく胸に染み込んできました。確かに。

音楽アルバムの中には、聴く人それぞれの好みに左右されて、好きな曲に嫌いな曲、イマイチな曲、なんにも引っかからない曲、大好きな曲と、たとえ大好きなバンドの曲でも色々と出て来ちゃうんですけど、ランダムで聴いてるとスキップしちゃう曲でも、アルバムの曲順通りだと不思議と飛ばす気にならずに聴けちゃったりもするわけで。

アルバムを通してのストーリー性というかドラマ性というか、無視できないそういった流れは確かにあるよなぁ、と腑に落ちました。

いくら好きな曲でも、ランダムで聴いていると、なんとなく気分じゃなかったり、雰囲気にそぐわないなと感じたら、飛ばしちゃうこともありますからね。

ヒット・シングルを網羅したベスト・アルバムは、収録曲ひとつひとつをとってみればとても魅力的なんですけど、野球で例えると四番打者ばっかり並べているナインみたいなもので、繋がりとか流れは希薄ですよね。

ベスト・アルバムにはベスト・アルバムで魅力もありますけど、オリジナル・アルバムにはそこでしか聴けない、なにか特別な魅力があります。

画像はPixabayより

一曲ではとらえられない、何曲かを通してのドラマがあるロック・アルバム

私は普段、洋楽ロックが好きで愛聴しているんですけど、好きなアルバムのことを考えてみると、やっぱりあるんですよね。曲順通りの流れが生み出している起伏が、しっくりと耳に馴染んでくる感覚が。

これが、ストーリー性やドラマってことなんだろうな、と解釈しています。

好きな曲って、ただその一曲を聴くだけでもいいんですけど、アルバムの流れを通して聴くとまたひと味違う感銘があるんですよねぇ。

そんなわけで、私が大好きな洋楽ロックの名盤の中でも、特にストーリー性やドラマを感じるアルバムを挙げていきます。

Fair Warning 『Go!』

ドイツ出身のメロディアス・ハードロック・バンド、Fair Warningの三枚目のアルバム。デビューから二枚立て続けに傑作をリリースしていたんですけど、この三枚目で大化けを果たしました。

アルバムの序盤が特に強烈で、カタパルトに射出されたジェットコースターのようなめくるめくメロディが堪能できます。

再発盤にはボーナス・トラックが山盛り追加されていて、お得っちゃお得なんですけど、思いっきり蛇足になってしまっているので、オリジナル盤で聴きたい。

Harem Scarem 『Mood Swings』

カナダ出身のメロディアス・ハードロック・バンド、Harem Scaremの二枚目のアルバム。デビュー作も原石のような魅力が散りばめられた傑作でしたが、この二枚目で緻密な音作りと彩り豊かな編曲を披露して、度肝を抜きました。

きらびやかでありながら重厚なサウンドは見事ですし、捻りの効いたメロディを畳み掛けてくる展開も強烈ですし、個性豊かな楽曲たちが一枚のアルバムとしてまとまっている構成も素晴らしい。

My Chemical Romance 『The Black Parade』

先日再結成を発表したアメリカ出身のロック・バンド、My Chemical Romanceのメジャー二作目にして、全世界で大ブレイクを果たした傑作。

前作で披露した、狂気と紙一重の激情を残しつつも、より洗練されたサウンドとメロディが素晴らしい。考え抜かれたアルバム構成により、アルバム全13曲で一曲となっているような、絶妙の流れが秀逸。

Elliot Minor 『Elliot Minor』

アメリカ出身のロック・バンド、Elliot Minorのデビュー・アルバム。ゴージャスなサウンドといい分厚いハーモニーといい、これがデビュー作とは信じがたい完成度。

おしゃれな音なのに小綺麗にまとまってなくて、ファンクっぽさを感じさせるテンションの高いロックを披露しています。このバランス感覚は凄まじいですね。

激流下りで転覆寸前のスリルに翻弄された、そんな気分が味わえる一枚。

Mae 『The Everglow』

CCMロック・バンド、Maeの二作目。前作とこの次のアルバムからしたら、突然変異としか思えない傑作。バンドに一体何が起こったのでしょうか。

コンセプト・アルバムのようで、プロローグから始まりエピローグで終わる、という構成になっています。美しくもダイナミックなメロディの連続が生み出す豊かな起伏は、山奥の神秘的な渓流のようです。