One OK Rockの新譜『Luxury Disease』の国内盤と国際盤を聴き比べると、なるほど贅沢病とは言い得て妙だなと腑に落ちる

One OK Rockの新譜『Luxury Disease』の国内盤と国際盤を聴き比べると、なるほど贅沢病とは言い得て妙だなと腑に落ちる

自覚はなかったのですが、どうやら知らず知らずのうちに病にかかっていたようです。

贅沢病という病に。

先日、One OK Rockの新譜『Luxury Disease』の国内盤と国際盤が発売されたので両方ともCDを買いました。

町のCD屋さんの売り場面積がガンガン縮小し、名古屋の有名中古CD屋さんが閉店を発表し、CDの買取停止を宣言する有名チェーン店が出てきたこのご時世に、同じアルバムのちょい仕様違いを両方とも買いました。

薄々、両方ともほとんど同じ内容なんだろうな、と想像しながらも。

ええ、想像ついてましたよ。もちろん、想像ついてましたとも。

前作も前々作もその前のアルバムも国内盤も国際盤も買ったので、リリースを重ねるにつれて加速していくとある傾向から、今回もその方向だろうなと予想していながらも、いい意味で裏切ってくれていたら嬉しいなと一縷の望みを抱きながら買いました。

残念ながら予想通りだったわけですけども。世界一かっこいいロックバンドを自称するならば、いちファンの予想なんて軽くぶっ千切ってほしいところなんですけども。

ワンオクが国内盤と国際盤の両方を発売するようになったのは、2015年のアルバム『35xxxv』からです。海外での活動にも力を入れはじめた時期ですね。

その頃はまだ良かったんですよ。国際盤が後発だったこともあってか、国内盤では日本語の歌詞が多かったり、新曲が追加されていたりと、はっきりと区別化がされていたので。

海外での活動に際しメロディック・パンクやエモに強いFueled By Ramenと契約し、より海外指向が強まっていくのですが、皮肉なことにその結果として国内盤と国際盤の差異も小さくなっていってしまいました。

すぐに分かる差異といえば、日本語詩があるかどうか、ゲストが参加しているかいないか、収録曲が数曲異なる、ジャケットのデザイン違い、これくらいでしょうか。

もっと細かくチェックしていけば、もしかしたら参加ミュージシャンが違うかもしれませんし、アレンジも若干違うかもしれませんし、関わっている編曲者やプロデューサーも違うのかもしれませんが、目を皿のようにして探さないとわからないレベルの違いとなると、もはや意地悪な間違い探しみたいですよね。

ついつい(これ、国内盤と国際盤、二枚出す意味ある?)と不満をこぼしたくなってしまうのも無理からぬ話でしょう。

それなら、どっちか一方だけ買うか、もう買うのやめれば?と思う人もいるかも知れませんけど、違うんですよね。そういうことじゃないんですよ。

好きなんですよ。彼らの音楽が大好きだから、ほとんど同じ内容のアルバムを二枚も買ってるんですよ。ほとんど同じだろうけど予想と違ってたら嬉しいなと思いながら。

わかりませんかね。この複雑な胸の内。

しかし、このことについて不満げな人が、他に全然見当たらないんですよね。

もしかして、両方とも買うのって圧倒的少数派?みんなどっちかしか買わないとか?

そんなことないと思うんだけど。ワンオク目当てにサマソニ行った同僚の奥さんも両方買ったって聞いたし。

っかしいな〜。私だけなのか?みんな本当になんとも思ってないの?心広すぎじゃない?

私が贅沢すぎるんだろうか。せっかく国内盤と国際盤とリリースするなら、もっと差別化してほしいと願うだなんて。

感謝の心が足りないんでしょうか。欠けてるんでしょうか。

そうか。感謝を忘れて、贅沢に溺れてしまっていたのか。

まるで自覚はなかったけど、知らず知らず贅沢病にかかってしまい、彼らへの要求水準が跳ね上がっていたのか…。

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コロナ禍を経て二年以上越しでついに開催されたEclipseの来日公演を大阪で観てきた

コロナ禍を経て二年以上越しでついに開催されたEclipseの来日公演を大阪で観てきた

元々は2020年4月に予定されていたEclipseのViva La VicTOURia来日公演ですが、コロナ禍により同年10月に一度延期された後、更に2022年への振替が発表され、果たして本当に開催されるのか、このまま開催されないのではないかと不安になったこともありましたが、2021年にさらなる新アルバム『Wired』のリリースを経て2022年9月にRewired Tour 2022としてついに実施されました。

大阪公演が日曜日だったので、翌日の仕事のことを考えて一瞬怯んだものの、好きなバンドのライブが観れるなら行くっきゃないと新幹線に飛び乗りました。

最後に大阪に行ったのは2019年10月のMidnite Cityの大阪公演なので、約三年ぶりですね。

約三年ぶりの大阪行きにあたって、サマソニで失敗した食事を中心に予定を組みました。

ハードロックカフェで着きつけ一杯、南堀江のレコード屋さんでThe 1975のTシャツ購入、暑かったので喫茶店に避難、喫茶店で涼んでたら寒くなってきたのでわなかでたこやきを食べ、やっぱり暑いので喫茶店で涼んで、とフラフラしてたら開演時間が近づいてきたので会場に移動しました。

会場の入口がちょっと分かりにくかったのでしばしウロウロと不審者してしまいましたが、EclipseのTシャツを着た方が階段を降りていくところを見かけてあとをついていきました。地下だったのか。

観客の入りは8〜9割くらいでしょうか。バーカウンターでハイボールを頼んで、ちびちび飲みながら開演を待ちました。地下フロアだからか、天井とフロアの隙間が狭くて、ステージが観にくいような印象を受けましたが、いざ始まってみればいつしか気にならなくなっていました。

前回の来日公演からアルバムを二枚出しているため、最近の曲中心のセットリストです。もう”Bleed And Scream”や”SOS”、”Wide Open”などはレア曲になっていくのでしょうね。寂しいですが…。

Eclipseの曲はサビのコーラス部分などで声を挙げてシンガロングしたくなる曲が多いので、声を出せないのはもどかしくも辛くもありましたが、やっぱりライブはいいですね。

久しぶりの来日公演にテンションが上っているのか、楽しそうにはっちゃけている面々を見るのも微笑ましくて嬉しくなりますし、ライブハウスで全身に浴びる生音の迫力も気持ちいい。

ライブハウスは、フロアから足の裏を伝わって心臓まで響いてくるドラムの鼓動が最高なんですよね。

家や車で音楽を聴いているときはヴォーカルやギターやピアノ、キーボードなど華やかな中音域に耳が引かれてしまいますけど、ライブを観るとなると不思議とベースラインやドラミングが気持ちいい。

前回の来日公演を観たときに、Erikってけっこう客席にマイク向けてくるんだなと思った印象が残っているんですけど、今回はその手が使えないので自分で全部しっかり歌ってて、歌をじっくり集中して聴けるので声出し禁止も悪いことばっかりじゃないな、なんて感じてしまいました。

公演内容がややコンパクトであっさりめにも感じましたが、あとでセットリストを確認したら20曲演っていたのでそれは完全に気のせいで、それだけ体感時間の短くなる楽しい時間を過ごしていた、という何よりの証拠でしょう。

最高でしたね。好きなバンドがライブが上手いと至福です。

ライブアルバム+DVDの『Viva La VicTOURia』を観たり聴いたりして余韻に浸りながら、新作の発表と再びの来日を楽しみに日々を過ごしています。

H.E.R.O.のChrisとPretty MaidsのKen Hammerが組んだTabooの1stアルバムがまるでH.E.R.O.の4thアルバムみたいになっていて驚いた

H.E.R.O.のChrisとPretty MaidsのKen Hammerが組んだTabooの1stアルバムがまるでH.E.R.O.の4thアルバムみたいになっていて驚いた

どちらもデンマークのロックバンドである、H.E.R.O.のヴォーカリストであるChrisとPretty MaidsのギタリストであるKen Hammerが組んだプロジェクトTabooが発足したというニュースを初めて聞いた時、私はただ(へぇ)と思っただけで、あまりピンときていませんでした。

Pretty Maidsはベストアルバムを持っているだけで、H.E.R.O.はこれまでに出た3枚のアルバムを持っていて来日公演も東京まで観に行っている大好きなバンドですが、このふたりが組むという字面を見ただけでは実像が上手く浮かんでこなかったからかもしれません。

最初のその反応からも容易に推察できるように、こんなこと言ったらあれですけどあんまり興味なかったんですよ。CDを買うかどうかも迷っていましたし、スルーするかもしれないなと思っていました。

それがですよ。

アルバム発売に先駆けて公開された新曲を何曲かYouTubeでチェックしてみたら。

びっくり仰天というか目からウロコというか。

イントロを聴いてずっしりと重心の低い硬質なバンドサウンドの北欧メタルか、なんて思ってたら、Chrisが歌い出した途端まるでH.E.R.O.みたいなポップで親しみやすい鮮烈な歌メロをぶちかまされて、頬を叩かれたような衝撃を受けました。

なんじゃこれ??

Chrisが歌い出した途端、美味しいところを全部持っていっちゃってるじゃないか!

ふたりでスタジオで相談や提案し合いながら制作していたらしいですけど、これKen Hammerは頭を抱えてたんじゃないですかね。どう頑張って音を作っても歌に入ったらChrisに持っていかれちゃうので。

インタビューには”コーラス部分はH.E.R.O.の1stや2ndから出てきたような感じ”と載っていましたけど、それどころじゃないですよこれは。

Ken Hammerも随所で印象的なトーンを響かせたギターソロで意地を見せているんですけど、歌に戻ったらそのすぐそばからChrisが自分色に染め直してKen Hammerの渾身のプレイが無力化されているので、呆気にとられるほかありません…。

Chrisの歌力が凄すぎる。

H.E.R.O.が好きになったのもChrisの歌声に惚れ込んだからという側面があるので、私がChrisの歌声に弱いというのは前からですが、それにしてもこの存在感とパフォーマンスは圧巻です。

H.E.R.O.のChrisとPretty MaidsのKen Hammerが組んだスーパー・プロジェクト、という触れ込みだったのに、いざ聴いてみたら実質H.E.R.O.の4thアルバムみたいになってしまっていたとは…。

Taboo – Taboo

https://gekirock.com/interview/2022/09/taboo.php

全曲新曲のベストアルバムだなんてそんな無茶な、と思ってたけどひょっとするかもしれないのがMuseの新作『Will Of The People』

全曲新曲のベストアルバムだなんてそんな無茶な、と思ってたけどひょっとするかもしれないのがMuseの新作『Will Of The People』

レコード会社側のベストアルバムを出したいという思惑に反発する形で制作されたのが、Museの新作9thアルバム『Will Of The People』です。

なにかのインタビューでMuseのヴォーカル兼ギターのMatthew Bellamyが全曲新曲のベストアルバムを出してやろうという気概で制作に取り組んでいると語っていたのを知って、私の胸に去来したのは楽しみよりもそんな無茶なという心配でした。

名曲揃いの名盤に対してよく全曲シングルカットできそうとかいいますけど、ベストアルバムともなると全曲シングル級だとしてもちょっと弱いですからね。ベストアルバムというからには、新作に収録される新曲は全部過去の代表曲を葬り去るクラスの名曲じゃないと。

それくらいじゃないと弱いですからね。

考えてみてくださいよ。

てことはですよ?

今度の新作には、”Plug In Baby”や”Hysteria”や”Knights Of Cydonia”などの過去の名だたる名曲たちと肩を並べるどころか、もしいつかベストアルバムが発売されるとしたらそれらの楽曲を選外へと追いやるレベルの新曲ばっかりが収録されている、ということになってしまうんですよ?

そんな無茶な、と思うのは私だけじゃないでしょう。

そんなMuseのベストアルバムがあり得るはずがないじゃないか、と。

無謀にもほどがある挑戦だ、というのが多くの方の認識だと思います。そりゃ中には数曲過去の代表曲にも比肩する強力な曲はあるだろうけど、新曲全曲そのレベルっていうのはいかにMuseといえどさすがに難しいだろう、と。

楽しみ半分不安半分どころかほぼ不安で胸が埋め尽くされた状態で発売日にMuseの新作アルバム『Will Of The People』を聴いた私は、これはひょっとしたらひょっとするかもしれない…と思いました。

現時点では、発売から二週間ちょっと聴いたくらいでは、いくら曲の出来がよくてもさすがにMuseが好きになったきかけの曲とか、ライブで生で聴いて感動した思い出の曲とか、アルバムで聴いただけではピンときてなかったけどライブで聴いたら化けた曲とか、思い入れ補正で強化された曲を頭から追い出すほどの存在にはなっていませんが、これから聴き込んでこのアルバムがもっと好きになり、いずれライブで生で聴いてその好きがさらに強化されたりすれば、過去の名曲代表曲を食うほどに育つかもしれない…。

全10曲約38分。コンパクトながらその内容は80年代風ありメタル風ありQueen風あり、アグレッシブなロック曲もあれば美メロが鳴り響くバラードもありと多彩で充実しており、らしさもあれば新機軸も感じられるという聴き応えたっぷりの一枚。

前半も凄いですけど、怒涛の展開を見せる後半も凄まじいです。6曲目からスイッチ入って、ガラッと雰囲気が一変。

各曲の作曲や編曲はもちろん、アルバムの構成にまで細かく気を配って煮詰めたのは間違いないでしょうが、メンバーがノリノリで創作したかのようなサウンドが満載で、その産みの苦しみを感じさせない快作です。

ベストアルバムを望んだレコード会社への反骨心の強さが伺えるような充実ぶりですね。

まだ日本へのツアー決定の報はないですが、早くライブが観たいですね。

アルバム『Will Of The People』の完全再現ライブが観たいです。

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サマーソニック2022で観てきたバンドとその感想

サマーソニック2022で観てきたバンドとその感想

サマソニ行ってきました。2022年8月20土曜日、東京一日目。

最初はThe Strutsも東京土曜日だったのにいつの間にか日曜日に変更になってるわ、まさかのBAND-MAID追加に狂喜乱舞してたらManeskinとタイムテーブル丸かぶりして泣く泣く捨てざるを得なくなるわ、当初頭で思い描いていた予定とはかけ離れた現実になってしまいましたが、なんだかんだいいながらも満喫しましたし楽しかったです。

サマソニ終わってからというものボケがひどくて色々とやらかしているのですが、10日ほど経過してそういえばサマソニで観たバンド全部、ライブ初めてだったな、とようやく気がつきました。どんだけ。

それでは、当日観てきたバンドとその感想を挙げていきます。

Rina Sawayama

9時20分頃にはライブ会場に着いていたのに、初めて観たのが13時35分からスタートのRina Sawayama。

それまで何やってたの?って話なんですけど、ManeskinとThe 1975のグッズ狙いだったのになぜか最初に幕張メッセに行ってしまい、慌ててZOZOマリンスタジアムに移動してグッズ売り場に並び直すも時既に遅し、哀れManeskinとThe 1975のグッズは並んでいる途中で売り切れになってしまいました…。

失意の中The StrutsのTシャツとオフィシャルのTシャツとタオルを買い、タイムテーブルを確認したところ、もうじきRina Sawayamaのステージの時間だなとスタンド席に向かいました。

ステージに登場したのは五名。Rina Sawayama本人と、ギター兼キーボード、ドラム、ダンサーふたり。他にもマニピュレーターなどもいたのかもしれませんが、ステージ上にはこの五名でした。

この五名によるステージでの熱演が圧巻でした。ギター鳴きまくり。たまにギターを後ろに回してキーボードも弾いて、タイトでパワフルなドラムに、クールな歌唱とダンス・パフォーマンス。

カッコよかったですね。しびれました。ギター鳴きまくりのダンスロックで、Lady Gagaの『Born This Way』が好きな人に突き刺さりそうだな、と思いました。

ただ、ライブで聴いた音と、YouTube上のMVで聴く音に差異があるのが、ちょっと気になりますが。

具体的に言うと、スタジオ版ではギターの音色が全然目立っていないのが寂しく感じております。緻密に作り込まれている反面、程よい荒々しさや生々しさが減退しているような。

9月に新譜が発売されますけど、サマソニのパフォーマンスに当てられて買った人の中には、もしかしたら(あれ〜?)と首を傾げる人も出てきてしまうかも…。

このブレイクチャンスをものにできるか。ライブではロックサウンドを前面に押し出したことがどう影響するのか。そんなことお構いなしに売れるのか。どうなるのか楽しみですね。

マキシマムザホルモン

幕張メッセからZOZOマリンスタジアムの移動に約2kmで約30分かかり、想像以上にキツかったので(All Time Low観たかったけどもうずっとZOZOマリンスタジアムにいようかな…)と弱気が顔を出してきたところに観たのがこのマキシマムザホルモンでした。

名前は聞いたことあるけど曲は知らなかったからちょうどいいや、と思っていたのですが、一曲目が終わってのMCで来日バンドの片言の日本語MCをネタにして笑いを取りだした時点で一気に幻滅。

周りの観客もこれのどこが面白いのか知らんけどウケてるし(マジか?もうこれ以上同じ空間にいたくねぇ。やっぱりAll Time Low観に行く!移動大変だけど!)となって幕張メッセに移動。

邦楽シーンでどんだけ人気があるバンドか知りませんけど、もう大っ嫌いです。流川を殴った花道を見損なった晴子さんと同じくらい大っ嫌い。

All Time Lowを観に行く口実と勢いを与えてくれたことには感謝してます。

All Time Low

約2km、人の流れに乗ったりゆっくりの人につっかえたり時にラインをクロスさせてやや強引に抜いたりと、約30分かけてのマウンテンステージへの移動は大変でした。

移動中はまだそれほど気にならないのですけど、移動を終えて立ち止まると一気に暑さが襲いかかってくるんですよね。

前方の密集しているエリアには行かずに周りのスペースに余裕のある後方からまったり観ました。

あそこ空いてるっぽいなと近づいていくといきなり足元にあぐらをかいて座り込んでいる人が現れたりしてビビりました。へぇ。けっこうフリーダムなんですね。

いやでも危ないと思いますけどね。通れそうだと思ってたらいきなり足元に座り込んでるんですからね。ゲレンデのど真ん中にずっと座ってるスノーボーダーかよ。槍夫さんがもしここで動画を撮ってたら、ナレーションが冴え渡っていただろうなぁ。

All Time Lowはノリのいい楽しげなポップパンクを鳴らしてくれるバンドで、元々好きなバンドだったというのもありますけど、夏フェスにピッタリだなと楽しみにしていました。

スルーしようとしてたくせに自分でも虫の良いこと書いてるなと思いますけど、真夏の真っ昼間にZOZOマリンスタジアムと幕張メッセを徒歩で行き来したら、誰でも挫けそうになりますって…。何度も移動しまくってひとつでも多くのバンドを観ようと奔走した人を心から尊敬しますよ、私は。

All Time Lowもステージ慣れしてて魅せ方が上手かったですね。効果的に緩急を効かせてタメて、ここぞでタイミング合わせてグッドメロディを放出して。その上で日本でライブできる喜びを全面に押し出してきていたのでめちゃくちゃハッピーな空間でした。

良かった…。しんどかったけどこっちに移動してきてほんとに良かった…。

フェスだとやっぱ持ち時間短いな…と切なくなりましたけど、それでも良かった。

Maneskin

All Time Lowが終演したら、すぐさまZOZOマリンスタジアムにとんぼ返り。この頃から、ポツポツと雨粒が落ち始めていました。同じ方向に歩く人多数。やっぱりみんな観たいバンドは同じなのか、と思いながら粛々と歩きました。

なんか腹減ったな、とこの日はまだタン塩の串焼き一本しか食べてないのを思い出し、スタジアム内でガラガラだった売店で唐揚げと餃子とビールを買い、三階のスタンド席へ。

やれやれと座ってビール飲みながらおつまみ食べてたらほどなくManeskin登場。

ギリギリじゃねぇか、危ねぇ。じっくり屋台を吟味してこれぞというお店に並んでるスキもない。

これじゃ、BAND-MAIDと30分ズレていたところで、結局全然観れなかったですね。移動に翻弄されるばかりで、どっちも中途半端になっちゃって。そう考えたら、丸かぶりでどちらか捨てざるを得なくなったのは、かえって怪我の功名だったのかもしれません。

Maneskinのライブパフォーマンスがまたとんでもなかったですね。君たちほんとにハタチそこそこ?なにその貫禄と堂々たるステージングは。カッコ良すぎるでしょ…。

演奏も上手いし声もめっちゃ出てるし、観客ののせ方もめっちゃ上手いし。YouTubeでEurovisionの優勝パフォーマンスを見た時点で、Maneskinのライブ絶対最高だわと確信してましたけど、想像以上でした。

始まってすぐドラムに機材トラブルが発生したら、じゃあちょっとなんか演っててよってベースとギターだけでその場を繋いで、ドラムをさり気なく復帰させてスムーズに次の曲に導くとか、どんだけ場数を踏んで酸いも甘いも噛み分けたら到れる境地なの?

昔、新木場でMuseを観た時を思い出しました。ダンスフロアのように蠢くアリーナ。圧巻でしたね。

ただ一点残念なところがあって、サウンド調整をミスったのか重低音がデカすぎて不快な共鳴が発生してたのがホント残念。自分の席がちょうど共鳴しやすいポイントで運が悪かったのかもしれませんが。

しかしそんなマイナスを軽々と吹き飛ばすほど熱いステージに魅了されたのもまた確か。

大型スクリーンに時折映し出される、ぷるぷる揺れる白い双丘はまことけしからんかったです。

野外スタジアムには野外スタジアムの良さがありますけど、願わくばライブハウスで観たかったなぁ…。

King Gnu

King Gnuはバンド名は知っていましたけど音は聞いたことがありませんでした。

どうしようか迷っていたのですが、同じ時間帯に他のステージに移動してまで観たいバンドがなかったので、そのまま観ることにしました。

日が暮れて、ヘッドライナーやその前のバンドの番ともなると、観客の移動も激しさを増しますね。Maneskin→King Gnu→The 1975のアリーナの観客大移動は上から見ていて壮観でした。

King Gnuのステージはなんだか摩訶不思議な感じでした。イリュージョンでも観ていたかのような。

キーボード兼ヴォーカルがふたり?かと思えばひとりはギターを弾きだしたり、もうひとりがキーボードから離れて歌だけになったと思ったらいつの間にかベーシストがベースを背中に回してキーボードを弾きだしてたり。

変幻自在というか、いろいろなことができる人が揃っていて臨機応変な対応が即座にできるんだろうな、というレベルの高さを感じました。

ただ、その多彩さに幻惑されて曲がストレートに響いてこなかった感はありますね。驚いて気になっちゃって意識が分散されて、焦点が合わなくなっちゃった、みたいな。

あと、MCはめっちゃサムかったです。自分は不快とまでは感じませんでしたけど、しょ〜もな、とは思いました。無理して面白いこと言おうとしたり、一発ネタでちょっと笑い取ってやろうとか、別に要らなくないですか?

自分がMCあんま好きじゃないからこんなこと思うのかな。お話はいいからさ、じゃんじゃん曲を演ってこうぜ、といいたくなる。あなた方はミュージシャンでしょ?って。

The 1975

最後は、五度目のサマソニ出演にしてついにヘッドライナーにまで登り詰めたThe 1975です。1stの頃から好きでアルバムを買って彼らの曲を聴いてきましたけど、ライブを観るのは初めてだったので楽しみにしていました。

天気は生憎の雨。びしょ濡れになるほどの大雨ではありませんが、濡れるのを嫌って屋根の下の席に移動する人が多発するくらいには降っていました。

自分は周りに人がいないほうが気楽に観れるからと移動せずにそのままの席にいました。

ただまあ降り込んでくるのはやっぱり鬱陶しいので、フード付きタオルを頭から被り、タオルを膝の上に乗せて、土砂降りにはなりませんようにと祈りながら開演を待ちました。ポンチョも持ってましたけど、ずっと小雨だったのでポンチョを被るほどではなく、助かりました。

The 1975のステージは、バンドの演奏もすごかったんですけど、モノクロの大型スクリーン映像と色味を絞ったライティング、スモークに浮かび上がるシルエットの視覚効果がとにかくおしゃれで、クールでした。

この素敵な演出がバンドのパフォーマンスの魅力を増幅していたのは間違いないです。

The 1975の曲は、アルバムだと好きな曲とそうでもない曲の差が激しかったりするので、ライブだとどう転ぶのか興味半分不安半分なところもあったのですけど、蓋を開けてみれば好きな曲だらけの至福の90分でした。

ドラムがまたカッコよかったですね。これは家でCDを聴いているだけでは、ライブを観ないことにはこのドラムのカッコよさには一生気がつけなかったでしょう。

アルバムを聴いているだけだと機械的に正確なリズムを淡々と刻むドラムという印象だったんですけど、ライブを観たら正確さはキープしながらも雄々しく猛々しいドラムを叩いていて、衝撃でした。CDのドラムもこの音で収録できないものか…。

シンガーのMatty Healyがとにかくセクシーで、しびれましたね。オールバックでタバコを何本も吸いながら、マイボトルで日本酒を持ち込んでお猪口で何杯も飲みながらとやりたい放題だったんですけど、それが(はぁぁ、かっけぇぇ)と男でも見惚れちゃうくらい様になってたんですよ。

あの日あの会場でThe 1975のライブを観た人の何割かは、髪型をオールバックにして日本酒を飲みながらタバコを吸うようになっちゃってるんじゃないですかね…。

普通だったら、何じゃあの舐め腐った態度は!と怒っていてもおかしくない振る舞いだったと思うんですけど、不思議と怒りはまったくなかったですね。とにかく惚れ惚れと眺めていました。

音響トラブルもありましたけど、(今なんかあった?なんもなかったよな?)という迅速さで事態を収束させて何事もなかったかのように演奏を続行してたのも素晴らしかったですね。いちいち動じない。狼狽えない。

The 1975はライブになるとこんなにカッコよくなるのか…。目からうろこでしたね。

アルバムのポップでアーバンなUKロックという印象を、ライブだとこんな風にいい意味で裏切ってくれるんだな、と。美メロはそのままに適度に荒ぶったサウンドが最高でした。

特に印象深かったのはライブ終盤に披露された”People”ですね。それまで何杯もお酒飲んでたのに頭ガンガン振りながら、かと言ってパフォーマンスにまったく揺るぎなく。色々とぶっち切っててとにかく最高でした。

このLive At Summer Sonic 2022の模様ですが、来年の来日公演前に来日記念盤として、完全ノーカット収録でのライブアルバム+DVD/Blu-rayリリース、お待ちしております。

今思えば、夏の夜に雨に打たれながらこの最高のライブを観ていた、というのがサマソニボケを助長する結果に繋がっていましたね。夢でも見ているような非日常へのトリップ感が強まって。

魂を置き忘れてきたかのような、地に足がついていないかのような、自分なのに自分じゃないみたいな。

家に帰ってすぐに日常を取り戻せなかったのも致し方ないでしょう。

フェス派というよりは単独派だとうそぶいていましたが、現実を認めたくなくて強がっていただけだったのかもしれません。

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