いつぶりか思い出せないほど久しぶりに『キル・ビル Vol. 1 & Vol. 2』を観たら、思いがけずハマった

いつぶりか思い出せないほど久しぶりに『キル・ビル Vol. 1 & Vol. 2』を観たら、思いがけずハマった

先日、女性エージェント達が大暴れするスパイアクション映画『355』を映画館で観たんですけど、その上映前に『ガンパウダー・ミルクシェイク』という新作映画の予告が流れました。

そのときに、『ジョン・ウィック』や『キル・ビル』からの影響を感じて面白そうだなと思ったものの、そういや『キル・ビル』ってずいぶん前に観たきりで内容の覚えも朧げだな、と気がついたので、レンタルビデオを利用して再鑑賞してみました。

そしたらハマっちゃったんですよ。思いがけず。自分でも意外なことに。

こんなに面白かったっけ?と。

演出や衣装が奇抜でド派手なアクション映画、という印象だったんですけど。

ストーリーは単純明快です。タイトル通り。キル・ビルを英語にするとKill Billで、ビルとは暗殺者集団のボスの名前なので、すなわち『ビルを殺せ』というのがタイトルです。

主人公はかつてビルの組織に所属していた女性の殺し屋、ザ・ブライド。ユマ・サーマンが演じるザ・ブライドの復讐譚で二本立ての、超ボリュームです。

Vol. 1では復讐対象者の家をめちゃくちゃにする決闘や病院からの逃走、どこかがおかしい日本の登場にいきなりの無駄にかっこいいアニメ挿入、居酒屋を血の海にする一対多のド派手なチャンバラ、ととにかく目を引くアクションが展開されます。

それに対し、Vol. 2ではぐっと落ち着いたトーンで物語が展開され、動機や人となりに焦点が当てられることで、荒唐無稽さや突拍子のなさが影を潜め、渋さと深みが増しています。見応えのある一対一が続いたり、忘れた頃に意外性のある不意打ちがあったりと、痺れるシーンが多いです。

覚悟を決めた緊張感の満ちた会話から決闘への流れとか、最高でしたね。特に最後の決闘。椅子に座って対面での会話からいきなり剣を抜いて切り結ぶとか、アイデアも秀逸。

映像美もすごかったですね。ザ・ブライドが復讐を決意するに至った襲撃事件の舞台は片田舎の小さな教会なんですけど、幹線道路の脇にポツンと建っている教会の中から外から、印象的な構図をビシバシ決めまくっているんですよ。

このカメラワークの凄さは、趣味でデジタル一眼レフで写真撮影するようになったからこそ気がつけた点かもしれません。

あまりにハマりすぎて、隣の市のブックオフに通りがかりついでに寄ってみたら『キル・ビル Vol. 1 & Vol.2』のツインパックDVDが売っていたので買ってしまいました。

ほんとはBlu−rayで欲しかったのですが、日本盤はプレミア化して高騰していたので、いつか再発するまでこれで物欲をやり過ごします。

洋画は字幕に限るとイキっていたおっさんが映画『シング:ネクストステージ』の日本語吹き替え版を観たら泣かされた話

洋画は字幕に限るとイキっていたおっさんが映画『シング:ネクストステージ』の日本語吹き替え版を観たら泣かされた話

私は普段、洋画は字幕版を観ています。日本語吹き替え版を観ることがあるとしたら、洋画のテレビ放送を観るときくらいでしょうか。

小中高生の頃にテレビでよく観ていた『ダイ・ハード』や『ターミネーター』などは頭の中に日本語吹き替えのイメージが定着しているので観れるのですが、最近の映画は無理ですね。

面白そうな新作映画を映画館で観たいとなったとして、字幕版の上映時間が微妙で日本語吹き替え版の上映時間がドンピシャだったとしたら、観劇を諦めるかもしれません。それくらい私は日本語吹き替え版を避けています。

それがなぜ、今回『シング:ネクストステージ』に限って日本語吹き替え版を観たのかというと、大好きなB’zのシンガーである稲葉浩志さんが伝説のロックシンガー、クレイ・キャロウェイ役で声優に初挑戦しているからです。

予告でセリフを喋っているところを少しだけ見れるのですが、それを見てなお(嘘だろ、ほんとに声優やってるよ…マジかよ…)と半信半疑だったくらい、衝撃的なニュースでした。

もしこのキャスティングがなかったらたぶん観てないですね。スルーしていたと思います。現に前作『シング』はサントラこそ買ったものの、映画は観ていないですしね。

公開初日のレイトショーで観てきたのですが、これが予想を遥かに上回る素晴らしさでした。

泣きました。圧倒的洋画字幕派の涙腺をも緩ませる日本語吹き替え版でした。

さすが、字幕しか認めないという『シング』にあって吹き替え版の権利を勝ち取っただけのことはあります。素晴らしいクオリティでした。

上映中に小さな子供が、たぶんトイレだろうと思うのですが、忍び笑いをもらしながら数回席から出入り口までドタドタと足音を立てて走って往復されて(勘弁してくれよ)と閉口したのですが、上映終了後に胸を満たしていた感動はこれしきのハプニングではゆるぎませんでした。

最愛の妻を失い世捨て人になったものの心の奥底に優しさの残るキャロウェイ、甘やかされて自由奔放に飛び回るポーシャ、引っ込み思案で可憐な乙女心を応援したくなるミーナ、鬼指導から自信を失うもそれを克服するジョニー、みんな素晴らしかったです。

他にも、暴走超特急なムーン、キャロウェイの心を解きほぐしたアッシュ、お調子者だが憎めないグンター、決めのシーンで飛び出せずに一度は役を失うも取り戻すロジータ、ムーンを献身的に支えるミス・クローリーなど、多彩な登場人物は誰も彼もが魅力的です。

キャロウェイの心を動かしたアッシュの弾き語りも素晴らしかったですが、一番感動したのは最後のデュエットでキャロウェイが歌い出した瞬間ですね。

感極まりすぎちゃって、劇中でどんな歌声を披露してくれたんだったか記憶にないんですよね。上映終了直後にはそんなことにも気づいてなくて、しばらく経ってから(あれ、そういえばどんな歌声だったっけ?)と愕然としました。

これが一番のお目当てで吹き替え版を観たのに…。

これから観る人は、この情報過多社会でそれは難しいでしょうけど、誰がどの役を担当しているのかまったく知らないまっさらな状態で、何も身構えずに観てほしいなぁと願いたくなってしまいます。

例えば、予告編でちらっとポーシャの歌声が聞けるんですけど、これを劇場でいきなり聞かされたときの衝撃といったら!ぽっと出に役を奪われて敗北感に打ちのめされるロジータと同じくらいこちらも圧倒されましたからね。あとでインタビューを見たら、普段の話し声とぜんぜん違うので二度びっくりですよ。

ミーナ役も誰か知らずに観ていたので、話し声は異様に可愛らしいし歌は異常に上手いしで(誰だこれ??)と疑問に思いながら観ていました。エンドロールでその正体を知って異常に歌が上手いのには納得しましたが、可愛らしいセリフの喋りも上手すぎる!前作では彼女の吹き替え挑戦が売りだったんでしょうね。

取り上げる曲の選曲がまた憎いんですよね。踊れるポップスからノリのいいロック・ナンバーまで、キャッチーな名曲のオンパレード。

劇中劇のタイトルが、北欧の有名ハードロックバンドの名盤タイトルや、そのハードロックバンドに在籍していたギタリストが新たに立ち上げたバンド名と同じだったのにも、不思議な縁を感じました。

できれば、映画館であと二回観たいですね。字幕版で一度。耐性をつけて、今度こそ冷静に二度目の吹き替え版。他にも観たい新作映画があるので悩ましいですが…。

しかし参りました。まさか『シング』がこんなに素晴らしい映画だったとは。ひょっとして、前作をスルーしていたのはとんでもない悪手だったのでは…。

『シング』をスルーしていたおれのバカ!アホ!間抜け!

自分で自分を罵りながら、前作『シング』のBlu-rayを注文するのでした。

関連記事

Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を買った

Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を買った

買っちゃいました。タイトルのとおり、Bon JoviのライブDVD『Live At Madison Square Garden』を。しかも輸入盤。約1800円の安さに負けて。

格安輸入DVDは、去年Bon Joviのベストヒットビデオ集『Greatest Hits The Ultimate Video Collection』を買ったら盤面傷だらけ(再生、スキップ、チャプター選択などに影響なかったのでそのまま所持しています)のものが届いて懲りたはずが、また冒険したくなってしまいました。

というのも、そのBon Joviのベストヒットビデオ集ですが、メガヒット曲17曲のMVとそのライブ版の計34曲という冗談みたいな特大ボリュームなんですけど、ライブ集は様々な公演からの寄せ集めだったからです。

寄せ集めの何が悪いって、シームレスに繋がっていないので、一曲終わるごとにブルーレイ再生機から読み込み動作音が鳴り、ぶつ切り感が大きい。これに想像以上に興を削がれてしまうのです。

小さな会場でのしっとりとしたアットホームなアコースティックセットや、巨大なスタジアムやアリーナでのエネルギッシュなフルセットがぶつ切りで混在していて、継ぎ接ぎ感甚だしくて没入感に欠けるため、ライブ版は寄せ集めよりも一夜の公演通しのほうがいいな、としみじみと感じ入ってしまいました。

そこで、ベストヒットライブ集の中でも一際輝いているマディソン・スクエア・ガーデンでのライブDVDを買ってみることにしました。輸入盤しかありませんでしたが、安かったので。

リージョンコードについて明記されていなかったのが不安ではありましたが、無事に再生できました。盤面にも擦り傷は皆無だったのでひと安心。当たり外れがあるのかもしれないですね。

この『Live At Madison Square Garden』には、アルバム『Lost Highway』のリリースに伴う2008年のワールドツアーの模様が収められています。

会場はアメリカ、ニューヨークにあるアリーナ、マディソン・スクエア・ガーデン。NBAファンにはニューヨーク・ニックスの本拠地としてもおなじみのあのアリーナです。

360度客席に囲まれた臨場感満点のステージで、Bon Joviが客席からの熱気にも負けない、白熱のステージを繰り広げています。

アルバム『Lost Highway』のツアーであるにも関わらず、アルバムからの曲は少なめでベストヒット的なセットリストになっているところが、嬉しくもあり微妙でもある、ちょっと複雑な点ですね。

往年のメガヒット曲がたくさん聴けるのは嬉しいですが、その反面アルバムの曲があまり聴けないのは残念です。

劇場で『Encore Night』を観たときにも同じことを感じたのですが、”Keep The Faith”はスタジオ版をCDで聴くと正直それほどでもないのが、ライブだとシャッフルビートとベースラインが際立って、途端にノリノリで楽しい曲に変貌するのが面白いですね。いわゆる、ライブ映えする曲だということなのでしょう。

“Always”や”I’ll Be There For You”といったバラード曲では、アドリブジャムセッションのような熱気を帯びたアウトロで、RichieのギターとBryanのキーボードのソロバトルのような競演が聴けて、最高です。

公演まるごと収録ではないというのは残念ですが、映像も音質もクオリティ高く、Bon Joviのパフォーマンスも絶好調なので、1800円はバーゲンプライスです。お買い得にもほどがある。

やっぱり、Bon Joviはかっこいいですね。かっこいい。知ってましたが再確認しました。

ベスト盤『Cross Road』で洋楽ハードロックの世界へと誘い、劇場版ライブ『Encore Night』で最近のアルバムへの再評価を促し、『Greatest Hits The Ultimate Video Collection』でライブDVDへの興味を引き、そのライブDVD『Live At Madison Square Garden』でライブバンドとしてのBon Joviの魅力を見せつける。

私の音楽愛好家歴に楔を打ち続ける。いくつになっても、いつまでもBon Joviはかっこいい。永遠に特別なバンドのひと組です。

The Rasmusにハマったきっかけ

The Rasmusにハマったきっかけ

The Rasmusはフィンランド出身のロックバンドです。陰りのある憂いを帯びたハードなサウンドで、飛び切りキャッチーなロックを聴かせてくれるバンドです。

1996年にデビューアルバムをリリースしているのですが、私が彼らのことを知ったのは、5thアルバムの『Dead Letters』がリリースされた頃です。2003年頃ですね。

どこで知ったかというと、当時輸入盤の個人輸入でよく利用していた、ドイツのメロディック・ロック専門通販CDショップAOR Heaven(残念ながらレーベルと通販業務の終了が発表されています…)に入荷していたのです。

店主の激推しコメントに(ホントかぁ?)と眉唾ながらも、まとめ買いの中の一枚に含めました。

当時は今みたいに何でもかんでもYouTubeで試聴できなかったので、推しコメントやジャケットや誰のプロデュースなのかといった情報から、このバンドは自分の好みなのだろうかと推し量るしかありませんでした。

斜に構えていたのでそれほど期待は大きくなかったのですが、どれどれと聴いてみたら独特の世界観をとても聴きやすいキャッチーなハードロックに落とし込んでいて、一発で惚れました。

すぐさまAOR Heavenをチェックし直すと、その前の4thアルバム『Into』の在庫があったのでそれも取り寄せて聴いてみたら、『Dead Letters』と比べるとやや明るくポップな曲調ではあったものの、同一路線のキャッチーなロックに嬉しくなりました。

この『Into』と『Dead Letters』を聴いたことが、The Rasmusの音楽に惚れ込んだきっかけです。

惚れ込んだあまり、『Into』と『Dead Letters』と6thアルバム『Hide From The Sun』はそれぞれ3枚ずつ買うことになりました。輸入盤やらボーナストラック追加再発盤やら日本盤やら紙ジャケット再発盤やらで。

一番最初に買った輸入盤は妹にあげたので手元にはありませんが。

The Rasmusは音楽が魅力的なだけじゃなく商売も上手なので、ついつい財布の紐が緩んでしまいます。同じアルバムを二枚買うことはままあっても、三枚となるとなかなかないですからね。さすがに。これが惚れた弱みってやつですかね。

ただ、誤算もありました。初期の彼らの音楽性は、今とは全然別物だったのです。勝手に盛り上がって期待を押し付けて、そこから外れていたのでがっかりしてしまいました。

さらに彼らのバックカタログを欲した私は、1stから3rdアルバムも探して手に入れたのですが、ファンクっぽいというか、ガチャガチャとしたサウンドでやけに陽気なポップロックで、4th以降とは似ても似つかない音楽性だったのでずっこけました。

3rdと4thの間に一体何があったのかと、バンドに聞いてみたくなるほどの音楽性の変化です。

4th以降のアルバムを聴いてThe Rasmusにハマると、必然的に過去作にさかのぼっていくことになると思いますが、私のように似たような音楽性を期待しているとずっこけるので気をつけましょう。

つい先日には、ギタリストのメンバーチェンジという衝撃の一報がありましたが、ヒットソングライターのDesmond Childと組んだ新曲”Jezebel”でEurovision Song Contest 2022へのエントリーも発表されました。

新しいアルバムも近いうちに聴けるでしょう。彼らのますますの活躍が楽しみです。

Queenの二枚組ライブDVD『Live At Wembley Stadium』を買った

Queenの二枚組ライブDVD『Live At Wembley Stadium』を買った

2021年の末、NHKでこの1986年7月に行われたウェンブリー・スタジアムでのQueenのライブがテレビ放送されまして、当初放送を観るつもりだったんですけども(あれ?なんか時間が短くないか?)と気になって調べてみたら、案の定ばっさりカットされてたのでがっかりしまして、それならばとライブDVDを買いました。

ホントはどうせ買うならBlu-rayが欲しかったのですが、DVDしかなかったので妥協しました。1986年7月12日のライブの模様が収録された一枚目と、その前夜のライブの模様に加えてインタビューやリハーサルなどが収められた二枚目の、二枚組。25周年記念完全盤。

映像は正直イマイチですね。

ライブ撮影は、暗かったり照明の明滅が激しかったり演者の動きを追い続けなくてはならなかったりと、難しい条件がそろっているのでそもそもが厳しい、という面もあるんですけど、照明のにじみやノイズによるザラつき、カメラのパンに伴う残像感、輪郭のぼやけや色飛びが気になります。

4KリマスターされたBlu-rayがもし発売されたら、買い直すかもしれません。

ただ、音質は抜群に素晴らしいです。録音状態が良かったのか、ギリギリを攻めたミックスバランスが絶妙なのか。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観たときに抱いた印象ですが、Queenはアルバム制作において音響に並々ならぬこだわりがあったようなので、それがライブ映像作品の制作にも反映されたのかもしれません。

各パートの音がそれぞれしっかり主張しながらも、ぶつかって喧嘩していないので聞きやすく、生々しい迫力があります。

太く重い低音の上で、ピアノやギターや歌声の中高域が、ライブエナジーはち切れんばかりに生き生きと躍動しています。Freddieの歌声も、楽器隊の演奏も絶好調。伝説の名演との呼び声が高いのも納得のパフォーマンスです。

ウェンブリーを埋め尽くす大観衆を前に、この前年のLive Aidよりもやりたい放題の自由奔放なコール&レスポンスも楽しい。これぞライブの醍醐味ですね。

この『Live At Wembley Stadium』はCD版も持っているのですが、その差異としてはFreddieのソロとクレジットされている”Impromptu”という曲が引っかかりました。

ソロといってもアカペラで歌を歌っているわけではなく、裏声やシャウトで楽器隊とジャムセッションを繰り広げている異色曲です。CDではなぜか流して聴いてしまっていたのが、DVDで映像付きで観るとその特異性が際立ちます。

サービス精神旺盛に、一夜の単独公演で28曲も演ってるのもすごい。

会場の規制や周辺住民からの抗議が今ほどうるさくなかったとか、時代も関係しているのかもしれませんが。

20曲ちょいで二時間ほどにまとめておけば充分でしょ、というおざなりな興行姿勢が透けて見える今どきの人気バンドに「それでいいのか?」と問いかけたくなります。

https://youtu.be/c2_xWTSyCuU
https://youtu.be/5xXny7VDjpY