One Desireの2ndアルバム『Midnight Empire』を聴いた感想

One Desireの2ndアルバム『Midnight Empire』を聴いた感想

フィンランド出身のメロディアス・ハードロック・バンド、One Desireの2ndアルバム『Midnight Empire』を聴きました。

One Desireというバンドに関しては、アルバムデビューしたときに、まずはフィンランド出身のバンドであるというところから、興味を持ちました。というのも、フィンランドからは、たまにとてつもない才気に溢れたバンドが出現することがあるからで、フィンランド出身と聞くとまずはその音を聞いてみるところから始まります。

で、もうデビューの時点で高い完成度を誇るメロディアス・ハードを聴かせてくれるバンドで、やっぱりフィンランド出身というだけでチェックしてみたかいはあったと大いに納得した出来だったんですけど、彼らは今回の2ndアルバムでそんなデビュー当時の衝撃を自ら打ち破るほどの成長を果たしました。

驚きましたね。まだまだ上があったのか、と。デビューアルバムで見せたその才能は、まだ序の口であったか。

メタル性も感じる手数の多いリズム、リッチなサウンドを切り裂くような美しくも力強いハイトーンヴォーカル、粒立った美しいトーンの余韻を響かせながら流れるギター、それらが渾然一体となって生み出す強力なメロディが素晴らしい。

ドラマ性すら漂うアレンジは楽曲を鮮やかに彩り、聴き応えは抜群ですし、まとまりと分離の良さを両立しているサウンドも見事。

素晴らしいですね。スキなく、彼らの音楽的魅力が、ギュッと詰まっています。ほれぼれと聴き入ってしまう名盤です。

このコロナ禍さえなければ、と頭をよぎってしまいますね。もしかしたら初の来日公演も決まって、彼らの活動にさらなる追い風が吹いていたかもしれなかったのに。

まあ、あったかもしれなかったこと、起こらなかったことを嘆いていてもしょうがないですし、今後彼らが、自分たちはまだまだこんなもんじゃないと、さらなる力作の発表を重ねて、実力を証明してくれることを期待するばかりです。

Stoneflowerの曲を聴くと、何故かめっちゃ懐かしく感じる

Stoneflowerの曲を聴くと覚える懐かしさは、一体どこから来ているのだろう

ノルウェー出身のハードポップ・バンド、Stoneflowerが3rdアルバム『Finally』を発売するということで、レーベルがYouTubeにアップしていたMVを見たときに、何故か得も言われぬ懐かしさを覚えたのでした。

私の記憶が確かならば、彼らの音楽は初めて聴いたはずなのに、ギターの音色とかコーラスワークに、めっちゃ懐かしさを感じるのです。

例えるなら、級友のいつもの昔話を聞いているかのよう。その話何回目だよ。耳にタコができるわ。毎度毎度、初めて聞いたかのようなリアクションを取るこっちのことも考えてほしい。でも楽しい。心地いいひととき。嬉しくて笑顔になってしまう。

なぜだろう。Stoneflowerの曲を聴くと感じるこの懐かしさは、一体どこから来ているのだろうか。首をひねりながら、Stoneflowerのアルバムを三枚、Amazonでダウンロード購入したのでした。

画像はPixabayより

十年ぶりに地元の駅に降り立って空気を大きく吸い込んで、「そうそう、これこれ、この匂い」とひとりで納得しているときみたいな、晴れやかで清々しいメロディが懐かしい。初めて聴くのに。

特に1stアルバム。昔に聴いたことある感が半端なくて、いやこれ絶対CD持ってるだろ自分、とCDラックを捜索するもやっぱりなくて、これは一体どういうことだと首をひねるばかりです。

摩訶不思議。

自宅の建て替えのときに、CDをまとめてこんぱく堂に売却したことがあったので、もしかしたらその中の一枚にStoneflowerの1stがあったのやもしれぬ。

そうやって記憶を改ざんしてでも、無理やり理由を見つけないと、この懐かしさは説明できそうもありません。

それにしても懐かしい。この懐かしさはただごとではないですよ。常にどこかで聴いたことがあるような気がつきまとう。この懐かしさは一体どこから来ているのでしょうか。

プロデューサーか、編曲者か、作曲者か、メンバーか、ゲストプレーヤーか、はたまたサウンドエンジニアか。ヴォーカルもどこかで聴いたことがあるような気がするんですよねぇ。

全部気のせいだったら、それはそれですごいことですが。幻。

Electric Mobのデビュー作『Discharge』を聴いた感想

Electric Mobのデビュー作『Discharge』を聴いた感想

ブラジル出身のハードロック・バンド、Electric Mob。彼らのことを知ったきっかけは、YouTube上にアップされたアルバム収録曲”Far Off”のMVを見たことでした。

MVも凝っているので、レーベルの力の入れようが伝わってきますね。

アルバムリリースのタイミングに合わせたビデオ公開で、少しでも露出を多くして目に止まりやすくしようという狙いだったのでしょう。

そのおかげで彼らのことが目に止まり、ビデオを再生してみて気に入って、実際にCDを買うに至ったわけですから、有効な戦略なんでしょうね。

いらぬお世話でしょうけども、バンド名でちょっと損をしそうだな、と心配してしまいます。

実際に聴いてみれば骨太でパンチのあるサウンドは強烈ですし、そんなサウンドに負けない存在感を放つヴォーカルの歌声も素晴らしいですし、バンド名から連想されてしまうであろうモブらしさは皆無なわけですが。

ヴォーカルのRenan Zontaですが、良い声してますねぇ。Adam LambertとJack Blackを足して2で割ったような。ねちっこくも色気があって、それでいて時折思わず感心するようなシャウトをぶち込んできたりして。

オーディション番組にチャレンジしたものの特筆すべき成果は残せなかったようですが、この声で勝てなかったとは、よっぽど他の挑戦者が物凄かったのか、審査員との相性がすこぶる悪かったのか。

いずれにせよ、本人は前向きで、自身であのときの素晴らしい経験を自らの血肉にできたと語っているので、それが今後のElectric Mobの活動に活かされるかと思うと、楽しみでゾクゾクします。

YouTubeを見ていると、今回のデビュー作には収録されなかった曲もありますし、それらも何故収録が見送られたのか不思議なほどよくできているんですよね。

手直しされて次作に収録されるのか、それともボーナストラックとなるのか。もしくは過去作には見向きもせずに次々と新しい楽曲を生み出し続けるのか。

Arctic RainやLandfallと、今年の最優秀新人バンドの座を争う、有望なバンドの誕生です。

H.e.a.tの輸入ライブ盤『Live At Sweden Rock Festival』を聴いた(観た)感想

H.e.a.tの輸入ライブ盤『Live At The Sweden Rock Festival』を聴いた(観た)感想

きっかけは、YouTubeのおすすめに上がってきた、一本の動画でした。

スウェーデン出身のメロディアス・ハードロック・バンド、H.e.a.tが所属するレーベルのearMUSICが、H.e.a.tが地元スウェーデンの2018年のロックフェス、Sweden Rock Festivalに出演していたときのパフォーマンス映像を、フルセット丸々無料公開してくれていたのです。

映像パッケージも発売しているのに、レーベルが一本丸ごと無料公開とは、珍しいですよね。太っ腹だなぁ、と感心しました。

昨今のコロナ禍の影響による無料公開だったのかもしれませんけど、それでも嬉しいじゃないですか。

観てみたら、広大な会場を埋め尽くす観衆を沸かせるパフォーマンスで、彼らの実力の確かさを改めて感じるとともに、やっぱりライブは良いなぁ、生でその場で体感したいよなぁ、としみじみ思ってしまいました。

2020年3月に予定されていた来日公演は、コロナ禍の影響により延期。振り替え日程の発表はまだですけど、大阪か東京のどちらかが金曜日か土曜日に振替になったら、観に行きたいですね。

YouTubeでライブを丸々一本観たあとに、Amazonで検索してみたら、この『Live At Sweden Rock Festival』は、国内盤がDVDで、輸入盤だとCDとBlu-rayのセットで販売されていました。

値段を見てびっくりしたんですけど、国内盤(DVD)は5000円、輸入盤(CD+Blu-ray)は2000円ちょいと、倍以上の開きがありました。

輸入盤のお買い得感が際立っちゃいますよね、こうなると。ライブCDのおまけにBlu-ray映像がついてくるって話ですからね。

輸入盤の映像ソフトを買うとなると、リージョンコードの違いで、プレイヤーで再生できるかどうかという不安がつきまとってしまうわけですが、こちらはレビューに日本国内のプレイヤーでも問題なく再生できたという報告があったので、なんの不安もなく注文できました。

ただ、MCは英語ではなく母国語で喋っているので、英語以外はなんと言っているのかまったくわかりません。国内盤であれば字幕付きでしょうが、DVDのみというのがネック。

どちらを選ぶか、悩む人もいるかも知れません。

あとは音質ですね。CDとBlu-rayとで、差が大きく感じました。CDのサウンドミックスに失敗したのか?と怪訝に思うほど、途中でガクッと音質が落ちます。序盤は何も問題なかったのですが。

Blu-rayやYouTube上の映像では、途中からの音質の低下は感じられませんでした。

なお、これは手元に届いてから知ったんですけど、Blu-ray独自の特典として、バックステージのダイジェスト映像と、8曲のオフィシャルMVが収録されていました。

これはアツいですよ。ただでさえCD+Blu-rayのお買い得感が際立っているというのに、さらなるダメ押しです。

H.e.a.tが好きならば、買わない理由を探すのが難しい輸入ライブ盤です。

Fair Warningの3rdアルバム『Go!』を聴いた感想

Fair Warningの3rdアルバム『Go!』(1997)を聴いた感想

予感めいたものは、何ひとつありませんでした。

このアルバムを聴く前は、これが人生で最も好きなアルバムのひとつになるとも、このアルバムとの出会いがきっかけでますますメロディアス・ハードロックにのめり込んでいくことになるとも、想像もしていませんでした。

私がこのアルバムを買ったのは、良いバラードがひとつでも入っていれば儲けもの、そう思ってのことだったのです。

というのも、このアルバムを買う前に、Fair Warningの初期二枚からのベストアルバム『Early Warnings』を聴いていたのですが、あまりピンとこなかったのです。

“Long Gone”や”Take Me Up”など、バラード曲はめちゃくちゃ素晴らしいなと感激したんですけど、激しい曲については「なんかメタルみたいでヘヴィだな」と感じてしまい、自分にはちょっと激しすぎる、という結論になってしまいました。

だから、また素晴らしいバラードがいくつか聴けたら嬉しいな、くらいにしか期待していなかったのです。

これには、当時の私の嗜好も関係しています。この頃は、ロックバンドが歌うバラードが特に好きだったんですよね。B’zやBon JoviやAerosmithといった大好きなバンドの曲の中でも、アップテンポなロックナンバーよりも、美しいバラードが好きだったのです。

初めて一曲目の”Angels Of Heaven”を聴いたときも、(今では超大好きな曲ですけど)やっぱりちょっとヘヴィで激しすぎるな、と感じました。

なので、初めて”Save Me”のイントロを聴いたときの衝撃は、とてつもなかったですね。Bon Joviの”Livin’ On A Prayer”を初めて聴いたときの衝撃も凄まじかったですが、それに勝るとも劣らない、甲乙つけがたい衝撃でした。

撃ち抜かれましたね。不意打ちで。得も言われぬ高揚感を伴った、美しいキーボードのイントロに。

続く名バラード”All On Your Own”、ドラムの乱れ打ちからポジティヴなムードに移行する”I’ll Be There”といった曲も素晴らしく、繰り返し聴きこんでいるうちにすっかりFair Warningの魅力の虜になりました。

それから初期ベストを聴き返してみたら、驚いたことに、彼らに対してちょっと苦手だなと感じていたネガが、消えてなくなっていたんですよね。綺麗サッパリと。

当然ですけど、そのすぐ後に1st『Fair Warning』と2nd『Rainmaker』を入手し、こちらも繰り返し聴きこんでいくことで、さらにFair Warningにハマっていくことになるのでした。