Bloody Heelsの2ndアルバム『Ignite The Sky』を聴いた感想

Bloody Heelsの2ndアルバム『Ignite The Sky』を聴いた感想

ラトビア出身のハードロック・バンド、Bloody Heelsの2ndアルバム『Ignite The Sky』を聴いたので、その感想です。

前作は、ラトビアとはまた珍しい国からハードロック・バンドがデビューするんだな、という物珍しさが先行してしまったのがバンドの不運でした。

メンバーのルックスが長髪で、古き良きハードロック・スタイルを体現していたものですから、余計に物珍しさが先行する要因になってしまったのかもしれません。

ラトビアで暮らしていて、一体どこでこのスタイルに触発されるきっかけがあったのか、そもそもからして謎ですが、一番可能性が高そうなのはユーロビジョンで席巻したWig Wamでしょうかね。Wig Wamをきっかけに80年代アメリカン・ハードロックに憧れた、そうであったら嬉しいです。

デビュー時ですでに、自主制作とは思えないほどしっかりとしたプロダクションに加えて、楽曲の出来自体も良かったのですが、珍しい国から将来が楽しみな80年代ヘアメタルの意志を継ぐバンドが誕生した、それ以上のインパクトは残せませんでした。

曲は良かったのに、話題先行の評価に歯痒い思いをしたハードロック・ファンも多かったのではないでしょうか。

しかし、見る人は見ているもので、1stアルバムのリリースを機にイタリアのFrontiers Recordsとの契約を締結するに至り、今回の2ndアルバムで世界に打って出る機会を得ました。

前作の時点でも、自主制作とは思えないほどのプロダクションでしたが、一段とクオリティが上がっています。楽曲もパワーアップしていて、バンド活動の充実を感じます。

ときにブルージーであったり、かと思えばカントリー風なサウンドが響いてきたり、洗練されたサウンドでありながら程よくラフでスリージーな味わいもあったりと、古き良きアメリカン・ハードロックの魅力をこれでもかと詰め込んだ音は最高ですね。

アレンジや構成も凝っていて、バンドのこだわりやアイデアの豊富さが伺えます。

荒々しく猛るヴォーカル、甲高く印象的な音色を紡ぎながら疾駆するギター、アグレッシブなリズムが、バンドの音楽指向に一致していて、聴いていてめちゃくちゃ心地良いです。

今後の活躍が益々楽しみになりましたね。古き良きアメリカン・ハードロックを体現するバンドの覚醒です。

One Desireの2ndアルバム『Midnight Empire』を聴いた感想

One Desireの2ndアルバム『Midnight Empire』を聴いた感想

フィンランド出身のメロディアス・ハードロック・バンド、One Desireの2ndアルバム『Midnight Empire』を聴きました。

One Desireというバンドに関しては、アルバムデビューしたときに、まずはフィンランド出身のバンドであるというところから、興味を持ちました。というのも、フィンランドからは、たまにとてつもない才気に溢れたバンドが出現することがあるからで、フィンランド出身と聞くとまずはその音を聞いてみるところから始まります。

で、もうデビューの時点で高い完成度を誇るメロディアス・ハードを聴かせてくれるバンドで、やっぱりフィンランド出身というだけでチェックしてみたかいはあったと大いに納得した出来だったんですけど、彼らは今回の2ndアルバムでそんなデビュー当時の衝撃を自ら打ち破るほどの成長を果たしました。

驚きましたね。まだまだ上があったのか、と。デビューアルバムで見せたその才能は、まだ序の口であったか。

メタル性も感じる手数の多いリズム、リッチなサウンドを切り裂くような美しくも力強いハイトーンヴォーカル、粒立った美しいトーンの余韻を響かせながら流れるギター、それらが渾然一体となって生み出す強力なメロディが素晴らしい。

ドラマ性すら漂うアレンジは楽曲を鮮やかに彩り、聴き応えは抜群ですし、まとまりと分離の良さを両立しているサウンドも見事。

素晴らしいですね。スキなく、彼らの音楽的魅力が、ギュッと詰まっています。ほれぼれと聴き入ってしまう名盤です。

このコロナ禍さえなければ、と頭をよぎってしまいますね。もしかしたら初の来日公演も決まって、彼らの活動にさらなる追い風が吹いていたかもしれなかったのに。

まあ、あったかもしれなかったこと、起こらなかったことを嘆いていてもしょうがないですし、今後彼らが、自分たちはまだまだこんなもんじゃないと、さらなる力作の発表を重ねて、実力を証明してくれることを期待するばかりです。

会津若松に行ってきた

会津若松に行ってきた

コロナ禍による非常事態宣言は解除されたものの、再び感染者が増えつつあるという不穏な空気がなんとも嫌な感じでしたが、前々から組んでいた予定ですし、ちょうど県外旅行にも寛容な雰囲気が流れつつあったので、決行して会津若松に行ってきました。

2月に、H.E.R.O.を観るために上京して以来、約半年ぶりの遠征です。

事前に分かっちゃいましたけど、会津若松は遠かったですね。休憩を取りながら、片道約9時間。朝の出勤時間帯になる前に東京を抜けたかったので夜中の0時に出発して、東京を抜けたらひと息ついて仮眠しながら、朝10時前になんとか道の駅猪苗代湖にたどり着きました。

愛車は運転していて楽しいクルマですし、運転そのものも好きですけど、さすがに片道9時間は堪えました。

道中で判明した新事実として、愛車の燃費の良さが浮き彫りとなりました。環境にはよろしくないのですが快適さは捨てられず、エンジンを掛けながらエアコンもつけたまま合計3時間ほど仮眠したんですけど、それでも平均燃費15km/lでした。

本気を出せば、16km/l狙えると思います。普段、通勤と街乗りで平均11km/l行くかどうかですけど、ほぼ高速道路を走行だとここまで伸びるのかと、感心しました。

今回の撮影機材

今回は、カメラはキヤノンのデジタル一眼レフEOS 8000D、レンズはシグマの30mm F1.4 DC HSM。久しぶりの、ダカフェレンズ一本勝負です。

今回訪れた会津若松の名所

行く前に、妄想たくましく何時までに着いてまずはここに行って、次はあそこに行って、などとプランを練っていたわけですけど、所詮は机上の空論、砂上の楼閣で、天候や時間の都合に左右されまくって、行きたくても諦めたところたくさんありました。

まあ、そのほうが良いこともあります。再訪の意欲が高まるので。実際、また行きたいですしね。今度は春か秋。そのときこそはあそこに行きたいと、今からメラメラと燃えているものがあります。

具体例を挙げますと、喜多方ラーメンを食べたかったですし、磐梯吾妻スカイラインを走りたかったですし、飯盛山に手を合わせに行きたかったですし、無限城に似ていると話題の温泉旅館で日帰り入浴したかったですし、七日町や野口英世青春通りを街歩きしたかったです。

この炎を大事にしたいですね。次の意欲に。

祈りの里会津村

高速を降りて道の駅に寄ってひと休みして、まずは日新館を目指そうと考えていたら、遠目にも異様にでかい白亜の観音像が目に入って、興味を惹かれて祈りの里会津村に立ち寄りました。

観音像の中を登ることもできるという話でしたけど、小雨模様で蒸し暑かったですし、マスクを着けたまま登るのはきついだろうという結論になってスルーしました。

金曜日だったためか、異様に広い敷地をほぼ貸切状態でのんびり散策できて、良かったです。

会津藩校日新館

会津若松に行くと決めたときに、白虎隊の縁の地を回りたい、という思いがあったので、白虎隊も学業に打ち込んだ学び舎、会津藩校日新館を訪問。

小学生の頃だったか、テレビで白虎隊のドラマが放送されたことがあって、幼心にも隊の名前のかっこよさと、炎上する城を見て悲嘆に暮れての集団自決は衝撃的だったんですよね。

こちらも、平日に加えて団体がいないということもあって、めちゃくちゃ空いていてほぼ貸し切りで見て回ることができました。

校舎というより広大な寺院といった趣で、静謐な風情が素晴らしかったです。

天鏡閣

道の駅のパンフレットで見かけて、こんな素敵な洋館が湖畔にあるのか、と足を伸ばしました。天鏡閣

老朽化によるダメージは目立ちましたが、明治時代に建てられた瀟洒な洋館は、ミステリー小説のトリックに使われそうな通路や扉がそこかしこにあって、見ていてワクワクしました。

福島県迎賓館

福島県迎賓館。天鏡閣のすぐ横にあったんですけど、天鏡閣の離れという位置づけのようです。私が訪れたときは公開日ではなかったため、庭をぐるっと一周しただけでした。それでも伺い知れるポテンシャルの高さ。さすが迎賓館。

大内宿

会津若松のやや南。山奥の集落といった趣の宿場町、大内宿を訪ねてきました。茅葺屋根の古民家が立ち並ぶメインストリートは壮観です。

ちょっと奥に入るとおしゃれなカフェや雑貨屋さんが出現したりと、散策していて楽しかったですね。

それぞれ、民宿や民芸店やお土産屋さん、飲食店などを営んでいたんですけど、まだ閉めているお店も散見されました。

鶴ヶ城

会津若松の悲劇の象徴的な存在のひとつでしょう。鶴ヶ城。ここに来ないわけにはいきません。

城内は回覧方式になっていて、入場客ひとりひとりの間隔の目安でシールで印がつけてあったんですけど、観光客が大挙して押し寄せたときにこれを遵守していたら一周するのにえらい時間がかかりそうだな、と思いながら見て回りました。

暗雲立ち込める鶴ヶ城。過去の悲劇を否応なしに思い出させるようだ、なんて思いながら写真を撮っていたら雨が降り出したので、退散しました。

しばらく車内に避難していたのですが、雨脚は強まるばかりだったため、泣く泣く宿に帰ることにしました。このあと、飯盛山に行きたかったのに…。

会津武家屋敷

宿から数分。歴史ミュージアム会津武家屋敷を訪問。サクッとひと周りして最後に飯盛山に寄って帰ろうと考えたのが運の尽き。

めちゃくちゃ広いうえにほぼ貸し切りで、のんびりじっくり見ていたらいつの間にやらそろそろ帰り始めないとやばい時間になっており、飯盛山を諦めることに。なんてこった。

ダカフェレンズはやっぱり良いですね

ここしばらく、純正ズームレンズの便利さに感心するばかりでしたけど、久しぶりにダカフェレンズを持ち出してみたら、やっぱり良いです。

画角が自分の感覚にしっくり来るので、「お、これいいな」と感じたらその場でカメラを構えれば、ファインダーの中にほぼイメージ通りの構図が決まっています。あと残すは微調整のみ。

35mm換算48mmは、扱いやすい画角で最高です。

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Stoneflowerの曲を聴くと、何故かめっちゃ懐かしく感じる

Stoneflowerの曲を聴くと覚える懐かしさは、一体どこから来ているのだろう

ノルウェー出身のハードポップ・バンド、Stoneflowerが3rdアルバム『Finally』を発売するということで、レーベルがYouTubeにアップしていたMVを見たときに、何故か得も言われぬ懐かしさを覚えたのでした。

私の記憶が確かならば、彼らの音楽は初めて聴いたはずなのに、ギターの音色とかコーラスワークに、めっちゃ懐かしさを感じるのです。

例えるなら、級友のいつもの昔話を聞いているかのよう。その話何回目だよ。耳にタコができるわ。毎度毎度、初めて聞いたかのようなリアクションを取るこっちのことも考えてほしい。でも楽しい。心地いいひととき。嬉しくて笑顔になってしまう。

なぜだろう。Stoneflowerの曲を聴くと感じるこの懐かしさは、一体どこから来ているのだろうか。首をひねりながら、Stoneflowerのアルバムを三枚、Amazonでダウンロード購入したのでした。

画像はPixabayより

十年ぶりに地元の駅に降り立って空気を大きく吸い込んで、「そうそう、これこれ、この匂い」とひとりで納得しているときみたいな、晴れやかで清々しいメロディが懐かしい。初めて聴くのに。

特に1stアルバム。昔に聴いたことある感が半端なくて、いやこれ絶対CD持ってるだろ自分、とCDラックを捜索するもやっぱりなくて、これは一体どういうことだと首をひねるばかりです。

摩訶不思議。

自宅の建て替えのときに、CDをまとめてこんぱく堂に売却したことがあったので、もしかしたらその中の一枚にStoneflowerの1stがあったのやもしれぬ。

そうやって記憶を改ざんしてでも、無理やり理由を見つけないと、この懐かしさは説明できそうもありません。

それにしても懐かしい。この懐かしさはただごとではないですよ。常にどこかで聴いたことがあるような気がつきまとう。この懐かしさは一体どこから来ているのでしょうか。

プロデューサーか、編曲者か、作曲者か、メンバーか、ゲストプレーヤーか、はたまたサウンドエンジニアか。ヴォーカルもどこかで聴いたことがあるような気がするんですよねぇ。

全部気のせいだったら、それはそれですごいことですが。幻。

Electric Mobのデビュー作『Discharge』を聴いた感想

Electric Mobのデビュー作『Discharge』を聴いた感想

ブラジル出身のハードロック・バンド、Electric Mob。彼らのことを知ったきっかけは、YouTube上にアップされたアルバム収録曲”Far Off”のMVを見たことでした。

MVも凝っているので、レーベルの力の入れようが伝わってきますね。

アルバムリリースのタイミングに合わせたビデオ公開で、少しでも露出を多くして目に止まりやすくしようという狙いだったのでしょう。

そのおかげで彼らのことが目に止まり、ビデオを再生してみて気に入って、実際にCDを買うに至ったわけですから、有効な戦略なんでしょうね。

いらぬお世話でしょうけども、バンド名でちょっと損をしそうだな、と心配してしまいます。

実際に聴いてみれば骨太でパンチのあるサウンドは強烈ですし、そんなサウンドに負けない存在感を放つヴォーカルの歌声も素晴らしいですし、バンド名から連想されてしまうであろうモブらしさは皆無なわけですが。

ヴォーカルのRenan Zontaですが、良い声してますねぇ。Adam LambertとJack Blackを足して2で割ったような。ねちっこくも色気があって、それでいて時折思わず感心するようなシャウトをぶち込んできたりして。

オーディション番組にチャレンジしたものの特筆すべき成果は残せなかったようですが、この声で勝てなかったとは、よっぽど他の挑戦者が物凄かったのか、審査員との相性がすこぶる悪かったのか。

いずれにせよ、本人は前向きで、自身であのときの素晴らしい経験を自らの血肉にできたと語っているので、それが今後のElectric Mobの活動に活かされるかと思うと、楽しみでゾクゾクします。

YouTubeを見ていると、今回のデビュー作には収録されなかった曲もありますし、それらも何故収録が見送られたのか不思議なほどよくできているんですよね。

手直しされて次作に収録されるのか、それともボーナストラックとなるのか。もしくは過去作には見向きもせずに次々と新しい楽曲を生み出し続けるのか。

Arctic RainやLandfallと、今年の最優秀新人バンドの座を争う、有望なバンドの誕生です。