CDからiTunesライブラリに音源を取り込む際のビットレートをMP3の192kbpsに決めた理由

CDからiTunesライブラリに音源を取り込む際のビットレートをMP3の192kbpsに決めた理由

あれは何年前でしたかね。二十年は経ってないですよね。十五年前くらいでしょうか。

iPhoneが登場する少し前。

AppleのiPodがWindowsにもついに対応した!と騒然となり、それまでWindows機しか触ったことのなかった自分にも、Appleという何やらすごいコンピューター会社があるらしい、と認知されるようになりました。

たしか、どなたかがiPodを買って使い始めたということをブログかHPで報告していて、それで更に気になって調べてみたら、デザインは可愛らしくて素敵だわ今まででは考えられなかったほど大量の楽曲をコンパクトに持ち歩けるわ、物欲のツボを刺激しまくるとても魅力的な製品で、欲しくて欲しくてしょうがなくなり、ついにiPodを買ってしまったのでした。

iPodで音楽を聴くためには、iTunesという音楽管理ソフトを使用する必要があって、iPodで音楽を聴きたいがために、iTunesを介して手持ちのCD音源をせっせとパソコンに取り込んでいくことになります。

そこで突き当たるのが、CD音源をパソコンに取り込む際のビットレートをどうするのか、という問題です。

ビットレートとは、音質の善し悪しを左右する数値で、数字が小さければ小さいほどデータ量が少なく音質も悪く、大きければ大きいほどデータ量も多くなるが音質も良くなる、その指標となる数値です。

これは、写真や動画の画質データにも関連する悩みです。PC内に保存する画質や音質が良ければそれに越したことはありませんが、かといって画質や音質が良すぎるとデータ量が膨大になることを意味し、HDDやメモリの残量を逼迫しますし、ひとつひとつのデータが重くなるため転送のやり取りや編集にも時間がかかります。スペック次第では、そこにストレスを感じるようになることもあるでしょう。

したがって、CD音源をパソコンに取り込む前に、自分が満足(もしくは我慢)できる音質と、HDDの容量と、パソコンのスペックとを天秤にかけて、ベストバランスを探る必要があります。

iTunes標準だと、iTunes Plusの256kbpsがCD音源取り込みの基準になっています。これだとファイルが特殊で再生機器を選ぶかもしれないことと、データ量も大きいと考えられたため、汎用性の高いMP3での取り込みがベストだろうと考えました。

MP3では128kbpsが標準音質となっていましたが、いくらなんでも128kbpsではCDからの音質劣化が大きすぎて物足りませんでした。

案の定、良音質の160kbpsと高音質の192kbpsと聴き比べてみたら、128kbpsは明らかにスカスカ。160kbpsと192kbpsは若干192kbpsのほうが音の密度というか鮮度が高いように聞こえる。一応もうひとつ上の224kbpsも聴き比べてみましたが192kbpsとの差がよくわからず。で、MP3の192kbpsで取り込んでいくことに決めました。

当時はまだまだHDDの容量も少ない上に高価で、パソコンのスペックも低かったですし。容量を圧迫せず、再生機種も選ばない納得の音質は、MP3の192kbpsだという判断です。

もし今から取り込み始めるとすれば、HDDも大容量化してだいぶ安くなってますし、パソコンのスペックも申し分ないので、MP3の320kbpsか256kbpsに設定していたかもしれません。あの当時は、まさか家でもパソコンからのAirPlayでMP3メインで音楽を聴くようになるとは思っていませんでしたから。

どこを落としどころとするか、これは人によって様々でしょう。MP3の128kbpsでも充分だと感じる人もいれば、ハイレゾでも物足りなく感じる人もいます。有線接続ならまだしもBluetooth接続なんてまっぴらごめんだ、なんて人もいます。

ハイレゾでも物足りない、なんてなっちゃうと大変ですよ。音源の音質そのものの追求はもちろんですが、再生機器へのこだわりも天井知らずになってしまいます。再生機器にお金をかければかけるほど高音質化は見込めますが、果たしてそれが自分の好きな音かというと、決してそうとは限らないのがオーディオの恐ろしいところです。

予算内で、とりあえず満足、納得のいく、自分が好きな音に辿り着けるかどうか。

その意味では、MP3の192kbpsで、家ではパソコンからAirPlayでコンポに音を飛ばし、愛車ではiPhoneからBluetoothでカーオーディオに音を飛ばし、JBLのスピーカーから流れてくる音に満足できている自分は、幸せ者なのかもしれません。

2018年に解散したThe Poodlesのヴォーカリスト、Jakob Samuelのソロアルバム『CoExist』が素晴らしい

2018年に解散したThe Poodlesのヴォーカリスト、Jakob Samuelのソロアルバム『CoExist』が素晴らしい

ドラマーとしてミュージシャンのキャリアをスタートし、様々なバンドを渡り歩く過程でヴォーカリストに転向し、The Poodlesに加入したことでついに安住の地を得た(そのThe Poodlesも2018年に解散してしまったのですが)苦労人、Jakob Samuelの2ndソロアルバム『CoExist』がめちゃくちゃ素晴らしい。

収録内容はとにかくコンパクトです。11曲収録で約37分。短い曲は2分台後半、長い曲でも3分台後半と、4分を超える曲がありません。

バンド用の楽曲ではないため、ステージ進行で各パートのソロや見せ場の差し込みやすさを考えない曲作りをした結果、アレンジが極限まで研ぎ澄まされた楽曲が揃ったのかもしれません。

かといって、楽曲の展開がシンプルすぎたり、アレンジがそっけなかったりなんてことは一切ありません。様々な楽器サウンドのアクセントは随所に効いていますし、重めのAメロBメロから開放的に弾けるようなサビメロにつながったりと、展開にも捻りが効いています。

重く骨太なギターが唸りを上げる曲もあれば、控えめなアコースティックが背後で軽やかに鳴る曲もあり、ファンキーなリズムが跳ねる曲が飛び出してきたかと思えば、ホーン・サウンドがゴージャスで気分がぶち上がる曲が流れてきたりと、一曲一曲の短さからは想像もつかないバラエティ豊かな高品質楽曲群がひしめいています。

Jakob Samuelの歌声がまた魅力的なんですよね。渋さもあれば色気もあり、爽快さもあればときに豪快でもあったりして。

バンド用に楽曲アレンジをすり合わせる必要がなくなり、自分の欲望に忠実な楽曲を練り上げた結果、Jakob Samuelの才能が炸裂し、超キャッチーな歌メロが満載のメロディック・ロック・アルバムに仕上がっています。

暫定2021年上半期最大の衝撃は、Lilith Czarが元Automatic LoveletterのJuliet Simmsだと判明したこと

暫定2021年上半期最大の衝撃は、Lilith Czarが元Automatic LoveletterのJuliet Simmsだと判明したこと

CDを買ったり、配信音源をダウンロード購入すると、iTunesライブラリに追加すると同時に、その音源についての情報を書き込んでいます。

出身国に始まり、ソロなのかバンドなのかはたまたグループなのか、ヴォーカルは男性か女性か、音楽ジャンルは。暫定評価で星いくつにするのか。日替わりスマートプレイリストを運用、管理することでなるべく万遍なく手持ちの音楽を聴いていくための、自分なりの工夫です。

完全にiTunes任せのランダムだと、同じアーティストの曲ばっかり流れたり、ついこの間聴いたばっかりの曲がまた流れてきたりと、偏りが酷いですからね。

Lilith Czarのアルバム『Created From Filth And Dust』を買った私は、彼女は一体何者なのか調べました。予備知識ゼロで買ったので、音楽データに書き込む情報を見つけるために。日本盤であれば、ライナーノーツに目を通せば一発なんですけどね。

ううむ、新人さんなのか、ほとんど情報がヒットしないなぁ。できれば日本語で書かれたページが見つかると助かるのだけど…。と、ここで、TwitterやInstagramのプロフィールに目がいきます。そこには次のように書かれていました。

Juliet Simms is gone, Lilith Czar has risen.

かつてはJuliet Simmsという名前で活動していた、ということかな?Juliet Simmsって誰だろう?と興味本位で検索した私を待っていたのは、暫定2021年上半期最大の衝撃でした。

ジュリエットニコールシムズは、アメリカのロックシンガー、ソングライター、詩人、作曲家、ミュージシャン、プロデューサー、起業家です。 彼女はバンドAutomaticLoveletterのフロントウーマンとしてファンベースを確立しました。 

Juliet Simms – Wikipediaより

いやぁ、驚きましたね。YouTubeで“King”という曲のMVを見て、豊かな声量に恵まれた迫力の歌声に惚れて購入を決めたんですけど、その時は概要とか目を通してなかったので、歌声を聞いただけではまったく気が付いてませんでした。バンド時代から迫力の歌声を轟かせていましたけど、一段と凄みを増している印象です。

見た目の変貌も激しかったので、ハナから別人と決め込んでいたというのもあったでしょう。まさか、Lilith Czarが元Automatic LoveletterのJuliet Simmsだったとは。

健康的ぴちぴち美人だった彼女に一体何があったのか、どうしてしまったのか。頬もこけちゃって激やせしていて、病気や体調不良を心配してしまうほどの変貌ぶりです。

困惑と混乱がうずまき上手く整理がつきませんが、今では結婚してパートナーもいるようなので、良妻とロックシンガーの両立というセカンドキャリアを成功させて幸せになってほしいな、と切に願っています。

それにしても驚きました。

B’zの”SLAVE TO THE NIGHT”が”ハートも濡れるナンバー 〜stay tonight〜”の英語詩化リメイクだったと、収録アルバム『The 7th Blues』の購入から二十年以上経ってから知ったときもたまげましたが、今回の衝撃はその時に勝るとも劣らないかもしれません…。

BAND-MAIDの3rdフルアルバム『CONQUEROR』は超名盤

BAND-MAIDの3rdフルアルバム『CONQUEROR』は超名盤

仮にですよ。仮定の話です。

友人や知人家族とBAND-MAIDについて熱く語り合っていたとして、そんなときにふと「どのアルバムが一番好きか?」という話題が持ち上がったとしたならば。

私は頭を痛めて唸るでしょう。うぅむ。

一番最初に聴いたアルバム『Just Bring It』には特別な思い入れがあるし、舞妓リメイクの世界観が強烈な『BAND-MAIKO』の中毒性も半端ないし、YouTubeで公式動画を見てハマるきっかけになった曲のひとつである”Daydreaming”が収録されている『WORLD DOMINATION』も素晴らしいからなぁ。

そんなふうにひとしきり考え込んだ末に導き出される結論は、「3rdアルバムの『CONQUEROR』かな」ということになるでしょう。

https://natalie.mu/music/pp/bandmaid06

BAND-MAID – CONQUEROR

このアルバムは、構成がドラマチックなんですよね。私はそこに惹かれています。

まず、幕開けを飾るのがたおやかな”PAGE”。意外性がありつつもここしかないという絶妙の位置にハマっていてる、清廉な曲。ここから、このアルバムは怒涛の展開を見せます。

アグレッシブな曲が続いたかと思えば壮大なスケールの曲が流れてきたり、ポップな曲やセンチな曲を受けてまた激しいロックナンバーが立ち上がってきたりと、山あり谷ありの起伏目まぐるしい展開。

まるで、沢から湧いた清流が小川になり滝となり河川になり、山や渓谷や野を越えてついには大海原へと至るようです。感動に打ち震えながら、この激流に身を委ねるのみ。素晴らしい。

特に、ラスト三曲が凄まじい。さんざんいい曲ばっかり聴かされてフラフラのところに、これでトドメだと言わんばかりの苛烈な曲三連発。容赦なし。

最後の”輪廻”がまた一段と激しいんですけど、この最後に来ての最高潮ともいえる激しさが、次作『Unseen World』の世界観に通じているようでもあります。アルバム一枚聴き終えて、繰り返しリピートする際にピッタリの最高の曲名というだけでなくて。

超名盤。うん、超名盤です。

BAND-MAIDの3rdアルバム『CONQUEROR』は、超名盤。

Pretty Maidsのシンガー、Ronnie Atkinsの初ソロアルバムが凄まじい

Pretty Maidsのシンガー、Ronnie Atkinsの初ソロアルバムが凄まじい

Pretty Maidsはデンマーク出身のヘヴィ・メタル・バンドです。

結成は1981年なので、Ronnie Atkinsのソロアルバムは40年に及ぶキャリアの中で初めて、ということになります。EclipseのErik Martenssonと組んだNordic Unionなどで歌ったことはありますが、純然たるソロアルバムは初めて。

ソロアルバム作成の動機のひとつには、2020年10月にステージ4の肺がんであることを告白したことが大きく関係しています。日本盤ライナーノーツにも、がんの転移の宣告はショックだったが、自分に何ができるだろう、曲を書いて歌うしかない、と切り替えたと語っていたと記されています。

この切り替えは凄いですよね。一度は完治したと思ったがんが、転移してステージ4で見つかったというのに、絶望に打ちひしがれずに創作活動に打ち込むと決心しただなんて。強いですよね。自分だったらこんなふうに切り替えられただろうか。きっと自暴自棄になっていたんじゃないかな。

曲を書いて歌うしかない。そんな精神状態で制作されたこのアルバムは、Ronnie Atkinsの魂が振り絞られています。

鬼気迫る歌声は、まるで魂の咆哮です。

肺がんとのことなので、呼吸に影響がないはずはなく、それはつまり歌唱にも多大な悪影響があるはずなのですが、そんな負の要素を微塵も感じさせない歌声です。

一体全体どうなっているんだと、あっけにとられて圧倒される勢いです。

このアルバムには、そんなRonnie Atkinsの歌唱が際立つような楽曲が多く収められています。コーラスが分厚かったり、アレンジが荘厳だったり、サウンドが豪快だったりと、手練手管でRonnieの独壇場を阻もうとしているのですが、そんなあの手この手をあっさり跳ね除けるRonnieの歌唱が素晴らしい。

曲がまたいいんですよねぇ。

今作はバンドのようなメタル性は皆無で、歌メロに重きを置いたメロディアス・ロックなので、(Pretty Maidsの攻撃性の強い曲は苦手だな、ポップな曲は最高なんだけど)と感じていた人にぜひ聴いてみて欲しいアルバムです。

本当に肺がんステージ4なんですか?嘘ですよね?じゃなきゃこんなに歌えるわけないですよね?

このアルバムを聴いていると、そんなふうに現実逃避的な懇願を重ねたくなってしまいます。