H.E.R.O.のChrisとPretty MaidsのKen Hammerが組んだTabooの1stアルバムがまるでH.E.R.O.の4thアルバムみたいになっていて驚いた

H.E.R.O.のChrisとPretty MaidsのKen Hammerが組んだTabooの1stアルバムがまるでH.E.R.O.の4thアルバムみたいになっていて驚いた

どちらもデンマークのロックバンドである、H.E.R.O.のヴォーカリストであるChrisとPretty MaidsのギタリストであるKen Hammerが組んだプロジェクトTabooが発足したというニュースを初めて聞いた時、私はただ(へぇ)と思っただけで、あまりピンときていませんでした。

Pretty Maidsはベストアルバムを持っているだけで、H.E.R.O.はこれまでに出た3枚のアルバムを持っていて来日公演も東京まで観に行っている大好きなバンドですが、このふたりが組むという字面を見ただけでは実像が上手く浮かんでこなかったからかもしれません。

最初のその反応からも容易に推察できるように、こんなこと言ったらあれですけどあんまり興味なかったんですよ。CDを買うかどうかも迷っていましたし、スルーするかもしれないなと思っていました。

それがですよ。

アルバム発売に先駆けて公開された新曲を何曲かYouTubeでチェックしてみたら。

びっくり仰天というか目からウロコというか。

イントロを聴いてずっしりと重心の低い硬質なバンドサウンドの北欧メタルか、なんて思ってたら、Chrisが歌い出した途端まるでH.E.R.O.みたいなポップで親しみやすい鮮烈な歌メロをぶちかまされて、頬を叩かれたような衝撃を受けました。

なんじゃこれ??

Chrisが歌い出した途端、美味しいところを全部持っていっちゃってるじゃないか!

ふたりでスタジオで相談や提案し合いながら制作していたらしいですけど、これKen Hammerは頭を抱えてたんじゃないですかね。どう頑張って音を作っても歌に入ったらChrisに持っていかれちゃうので。

インタビューには”コーラス部分はH.E.R.O.の1stや2ndから出てきたような感じ”と載っていましたけど、それどころじゃないですよこれは。

Ken Hammerも随所で印象的なトーンを響かせたギターソロで意地を見せているんですけど、歌に戻ったらそのすぐそばからChrisが自分色に染め直してKen Hammerの渾身のプレイが無力化されているので、呆気にとられるほかありません…。

Chrisの歌力が凄すぎる。

H.E.R.O.が好きになったのもChrisの歌声に惚れ込んだからという側面があるので、私がChrisの歌声に弱いというのは前からですが、それにしてもこの存在感とパフォーマンスは圧巻です。

H.E.R.O.のChrisとPretty MaidsのKen Hammerが組んだスーパー・プロジェクト、という触れ込みだったのに、いざ聴いてみたら実質H.E.R.O.の4thアルバムみたいになってしまっていたとは…。

Taboo – Taboo

https://gekirock.com/interview/2022/09/taboo.php

映画『ブレット・トレイン』を観たらどこかがおかしい日本だらけだったんだけど、超面白かったので不問に付す

映画『ブレット・トレイン』を観たらどこかがおかしい日本だらけだったんだけど、超面白かったので不問に付す

去年の夏頃でしたかね。伊坂幸太郎の長編小説『マリアビートル』がハリウッドで実写映画化されるというニュースを知ったのは。

私は基本的に小説や漫画の実写映画化ドラマ化を嫌悪していて、それが好きな作家や好きな作品ともなればその傾向がより顕著になるというめんどくさい性格をしているんですけど、伊坂幸太郎はトップ5に入るくらい好きな作家なので、このニュースを初めて見たときは顔をしかめました。舌打ちもしていたかもしれません。

しかしその一方で、漫画ならまだしも日本の小説がハリウッドで実写映画化とはすげぇな、夢のあるスケールのでかい話だな、とも思っていました。

しかも監督がデヴィッド・リーチ、主演がブラッド・ピットですからね。こんな話もあるんだな、と。

デヴィッド・リーチ監督といえば『アトミック・ブロンド』や『ワイルド・スピード スーパーコンボ』、『ジョン・ウィック』などのアクション大作の監督として有名で自分もそれらの映画は好きですし、ブラッド・ピットといえばハリウッドを代表するスターでこちらも主演作はDVDを買っちゃうくらい好きな作品ばかりと、自分の中では外れる確率が極めて低い鉄板中の鉄板の組み合わせですからね。

基本的に実写化は好かん。好かんけども。この組み合わせなら、もしかしたら…。超大好きか、超大っ嫌いか、どっちかだろうな…。

大きな不安とかすかな期待を胸に映画館へと向かったのでした。

結果、映画『ブレット・トレイン』を観た私は、のっけから困惑するはめになりました。

というのも、事前情報を知らずにいきなり主要人物のひとりである木村を見たら、Nothing To DeclareというロックバンドのヴォーカリストであるMas Kimuraさんにしか見えずに(え?えぇ?ちょ、待って…)と整理が追いつかずに戸惑っている間にも物語が容赦なく走り出し、冒頭で乗り遅れてしまったからです。

過去記事

Nothing To Declareは超かっこいいオルタナティブ・ロックを鳴らしている超おすすめの邦ロックバンドです。AnberlinやQuietdriveやNational Productなどが好きな人に特におすすめ。

上の画像左が木村役のAndrew Kojiさん、右がMas Kimuraさんです。生き別れた双子の兄弟ですか?と聞きたくなるくらい似てるんですよ。戸惑って待ったをかけたくなるのも致し方ないでしょう。

そんなこんなで、これ以上置いていかれるわけにはいかないと、とりあえず理解を後回しにしてあるがままに映画を楽しもうと気を取り直したのが功を奏したのか、次から次へと振る舞われるどこかがおかしい日本の乱舞に心のなかで(いやいや、おかしいだろ!)と突っ込みながらも、大ウケしながら観れました。

一番面白かったのは、人外魔境のような朝霧が立ち込める米原駅ですね。今度大阪に行く用事があるんですけど、そのついでに朝イチの米原駅の様子を確認したくなっているくらい、異様にかっこいいです。

朝イチの米原駅を確認するためだけに早く家を出ると、大阪に着くのがいくらなんでも早すぎるのでちょっと迷っていますが…。あと近鉄の特急ひのとり号に乗ってみたいって気持ちもあるんですよね。B’zが好きなだけに。

事前に映画『ザ・ロストシティ』を観ておくとテンションがぶち上がったり笑えたりするシーンがあるのでおすすめです。後からだと先にネタが割れちゃうので、面白みが半減するかと。

新幹線の車内というシチェーションを活かしたすれ違いや格闘も面白ければ、登場人物のキャラが立ちまくってて愛おしくなっちゃうところやハチャメチャなラストにひと捻りがあるところにも伊坂幸太郎風味が感じられて、嬉しくなりましたし大満足でした。

ミカンとレモンを主役に前日譚、レディバグ対カーバーで続編を作って欲しいくらい大好きです。

あとネオンで縁取りしたようなフォントもカッコよかったですね。ディスプレイオーディオのフォントがダサいとケチをつけたくなっちゃうくらいフォントには目がないので。

エンドロール最高でした…。

エンドロールといえば、劇中の挿入歌としても使われた”Kill Me Pretty”というバチバチにカッコいいロックチューンが流れてくるんですけど、後から調べたら歌っていたのが奥田民生と知って想像の斜め上だったのでびっくりしました。

日本人ぽくも聞こえるけど海外のロックバンドの曲だろうなと思っていたので…。

二回目観にいったら、エンドロールが流れはじめた途端にほとんどの人がぞろぞろと退席していってしまったので、こんなカッコいい曲とともに余韻に浸れる楽しいエンドロールが流れても出ていく人は出ていくんだな、とちょっと切なくなりました。

予告で映画の代名詞的な曲として使われていた”Stayin’ Alive”も素晴らしかったですね。てっきりオリジナルかと思ってたらカバーと知ってこれにも驚きました。

全曲新曲のベストアルバムだなんてそんな無茶な、と思ってたけどひょっとするかもしれないのがMuseの新作『Will Of The People』

全曲新曲のベストアルバムだなんてそんな無茶な、と思ってたけどひょっとするかもしれないのがMuseの新作『Will Of The People』

レコード会社側のベストアルバムを出したいという思惑に反発する形で制作されたのが、Museの新作9thアルバム『Will Of The People』です。

なにかのインタビューでMuseのヴォーカル兼ギターのMatthew Bellamyが全曲新曲のベストアルバムを出してやろうという気概で制作に取り組んでいると語っていたのを知って、私の胸に去来したのは楽しみよりもそんな無茶なという心配でした。

名曲揃いの名盤に対してよく全曲シングルカットできそうとかいいますけど、ベストアルバムともなると全曲シングル級だとしてもちょっと弱いですからね。ベストアルバムというからには、新作に収録される新曲は全部過去の代表曲を葬り去るクラスの名曲じゃないと。

それくらいじゃないと弱いですからね。

考えてみてくださいよ。

てことはですよ?

今度の新作には、”Plug In Baby”や”Hysteria”や”Knights Of Cydonia”などの過去の名だたる名曲たちと肩を並べるどころか、もしいつかベストアルバムが発売されるとしたらそれらの楽曲を選外へと追いやるレベルの新曲ばっかりが収録されている、ということになってしまうんですよ?

そんな無茶な、と思うのは私だけじゃないでしょう。

そんなMuseのベストアルバムがあり得るはずがないじゃないか、と。

無謀にもほどがある挑戦だ、というのが多くの方の認識だと思います。そりゃ中には数曲過去の代表曲にも比肩する強力な曲はあるだろうけど、新曲全曲そのレベルっていうのはいかにMuseといえどさすがに難しいだろう、と。

楽しみ半分不安半分どころかほぼ不安で胸が埋め尽くされた状態で発売日にMuseの新作アルバム『Will Of The People』を聴いた私は、これはひょっとしたらひょっとするかもしれない…と思いました。

現時点では、発売から二週間ちょっと聴いたくらいでは、いくら曲の出来がよくてもさすがにMuseが好きになったきかけの曲とか、ライブで生で聴いて感動した思い出の曲とか、アルバムで聴いただけではピンときてなかったけどライブで聴いたら化けた曲とか、思い入れ補正で強化された曲を頭から追い出すほどの存在にはなっていませんが、これから聴き込んでこのアルバムがもっと好きになり、いずれライブで生で聴いてその好きがさらに強化されたりすれば、過去の名曲代表曲を食うほどに育つかもしれない…。

全10曲約38分。コンパクトながらその内容は80年代風ありメタル風ありQueen風あり、アグレッシブなロック曲もあれば美メロが鳴り響くバラードもありと多彩で充実しており、らしさもあれば新機軸も感じられるという聴き応えたっぷりの一枚。

前半も凄いですけど、怒涛の展開を見せる後半も凄まじいです。6曲目からスイッチ入って、ガラッと雰囲気が一変。

各曲の作曲や編曲はもちろん、アルバムの構成にまで細かく気を配って煮詰めたのは間違いないでしょうが、メンバーがノリノリで創作したかのようなサウンドが満載で、その産みの苦しみを感じさせない快作です。

ベストアルバムを望んだレコード会社への反骨心の強さが伺えるような充実ぶりですね。

まだ日本へのツアー決定の報はないですが、早くライブが観たいですね。

アルバム『Will Of The People』の完全再現ライブが観たいです。

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サマーソニック2022で観てきたバンドとその感想

サマーソニック2022で観てきたバンドとその感想

サマソニ行ってきました。2022年8月20土曜日、東京一日目。

最初はThe Strutsも東京土曜日だったのにいつの間にか日曜日に変更になってるわ、まさかのBAND-MAID追加に狂喜乱舞してたらManeskinとタイムテーブル丸かぶりして泣く泣く捨てざるを得なくなるわ、当初頭で思い描いていた予定とはかけ離れた現実になってしまいましたが、なんだかんだいいながらも満喫しましたし楽しかったです。

サマソニ終わってからというものボケがひどくて色々とやらかしているのですが、10日ほど経過してそういえばサマソニで観たバンド全部、ライブ初めてだったな、とようやく気がつきました。どんだけ。

それでは、当日観てきたバンドとその感想を挙げていきます。

Rina Sawayama

9時20分頃にはライブ会場に着いていたのに、初めて観たのが13時35分からスタートのRina Sawayama。

それまで何やってたの?って話なんですけど、ManeskinとThe 1975のグッズ狙いだったのになぜか最初に幕張メッセに行ってしまい、慌ててZOZOマリンスタジアムに移動してグッズ売り場に並び直すも時既に遅し、哀れManeskinとThe 1975のグッズは並んでいる途中で売り切れになってしまいました…。

失意の中The StrutsのTシャツとオフィシャルのTシャツとタオルを買い、タイムテーブルを確認したところ、もうじきRina Sawayamaのステージの時間だなとスタンド席に向かいました。

ステージに登場したのは五名。Rina Sawayama本人と、ギター兼キーボード、ドラム、ダンサーふたり。他にもマニピュレーターなどもいたのかもしれませんが、ステージ上にはこの五名でした。

この五名によるステージでの熱演が圧巻でした。ギター鳴きまくり。たまにギターを後ろに回してキーボードも弾いて、タイトでパワフルなドラムに、クールな歌唱とダンス・パフォーマンス。

カッコよかったですね。しびれました。ギター鳴きまくりのダンスロックで、Lady Gagaの『Born This Way』が好きな人に突き刺さりそうだな、と思いました。

ただ、ライブで聴いた音と、YouTube上のMVで聴く音に差異があるのが、ちょっと気になりますが。

具体的に言うと、スタジオ版ではギターの音色が全然目立っていないのが寂しく感じております。緻密に作り込まれている反面、程よい荒々しさや生々しさが減退しているような。

9月に新譜が発売されますけど、サマソニのパフォーマンスに当てられて買った人の中には、もしかしたら(あれ〜?)と首を傾げる人も出てきてしまうかも…。

このブレイクチャンスをものにできるか。ライブではロックサウンドを前面に押し出したことがどう影響するのか。そんなことお構いなしに売れるのか。どうなるのか楽しみですね。

マキシマムザホルモン

幕張メッセからZOZOマリンスタジアムの移動に約2kmで約30分かかり、想像以上にキツかったので(All Time Low観たかったけどもうずっとZOZOマリンスタジアムにいようかな…)と弱気が顔を出してきたところに観たのがこのマキシマムザホルモンでした。

名前は聞いたことあるけど曲は知らなかったからちょうどいいや、と思っていたのですが、一曲目が終わってのMCで来日バンドの片言の日本語MCをネタにして笑いを取りだした時点で一気に幻滅。

周りの観客もこれのどこが面白いのか知らんけどウケてるし(マジか?もうこれ以上同じ空間にいたくねぇ。やっぱりAll Time Low観に行く!移動大変だけど!)となって幕張メッセに移動。

邦楽シーンでどんだけ人気があるバンドか知りませんけど、もう大っ嫌いです。流川を殴った花道を見損なった晴子さんと同じくらい大っ嫌い。

All Time Lowを観に行く口実と勢いを与えてくれたことには感謝してます。

All Time Low

約2km、人の流れに乗ったりゆっくりの人につっかえたり時にラインをクロスさせてやや強引に抜いたりと、約30分かけてのマウンテンステージへの移動は大変でした。

移動中はまだそれほど気にならないのですけど、移動を終えて立ち止まると一気に暑さが襲いかかってくるんですよね。

前方の密集しているエリアには行かずに周りのスペースに余裕のある後方からまったり観ました。

あそこ空いてるっぽいなと近づいていくといきなり足元にあぐらをかいて座り込んでいる人が現れたりしてビビりました。へぇ。けっこうフリーダムなんですね。

いやでも危ないと思いますけどね。通れそうだと思ってたらいきなり足元に座り込んでるんですからね。ゲレンデのど真ん中にずっと座ってるスノーボーダーかよ。槍夫さんがもしここで動画を撮ってたら、ナレーションが冴え渡っていただろうなぁ。

All Time Lowはノリのいい楽しげなポップパンクを鳴らしてくれるバンドで、元々好きなバンドだったというのもありますけど、夏フェスにピッタリだなと楽しみにしていました。

スルーしようとしてたくせに自分でも虫の良いこと書いてるなと思いますけど、真夏の真っ昼間にZOZOマリンスタジアムと幕張メッセを徒歩で行き来したら、誰でも挫けそうになりますって…。何度も移動しまくってひとつでも多くのバンドを観ようと奔走した人を心から尊敬しますよ、私は。

All Time Lowもステージ慣れしてて魅せ方が上手かったですね。効果的に緩急を効かせてタメて、ここぞでタイミング合わせてグッドメロディを放出して。その上で日本でライブできる喜びを全面に押し出してきていたのでめちゃくちゃハッピーな空間でした。

良かった…。しんどかったけどこっちに移動してきてほんとに良かった…。

フェスだとやっぱ持ち時間短いな…と切なくなりましたけど、それでも良かった。

Maneskin

All Time Lowが終演したら、すぐさまZOZOマリンスタジアムにとんぼ返り。この頃から、ポツポツと雨粒が落ち始めていました。同じ方向に歩く人多数。やっぱりみんな観たいバンドは同じなのか、と思いながら粛々と歩きました。

なんか腹減ったな、とこの日はまだタン塩の串焼き一本しか食べてないのを思い出し、スタジアム内でガラガラだった売店で唐揚げと餃子とビールを買い、三階のスタンド席へ。

やれやれと座ってビール飲みながらおつまみ食べてたらほどなくManeskin登場。

ギリギリじゃねぇか、危ねぇ。じっくり屋台を吟味してこれぞというお店に並んでるスキもない。

これじゃ、BAND-MAIDと30分ズレていたところで、結局全然観れなかったですね。移動に翻弄されるばかりで、どっちも中途半端になっちゃって。そう考えたら、丸かぶりでどちらか捨てざるを得なくなったのは、かえって怪我の功名だったのかもしれません。

Maneskinのライブパフォーマンスがまたとんでもなかったですね。君たちほんとにハタチそこそこ?なにその貫禄と堂々たるステージングは。カッコ良すぎるでしょ…。

演奏も上手いし声もめっちゃ出てるし、観客ののせ方もめっちゃ上手いし。YouTubeでEurovisionの優勝パフォーマンスを見た時点で、Maneskinのライブ絶対最高だわと確信してましたけど、想像以上でした。

始まってすぐドラムに機材トラブルが発生したら、じゃあちょっとなんか演っててよってベースとギターだけでその場を繋いで、ドラムをさり気なく復帰させてスムーズに次の曲に導くとか、どんだけ場数を踏んで酸いも甘いも噛み分けたら到れる境地なの?

昔、新木場でMuseを観た時を思い出しました。ダンスフロアのように蠢くアリーナ。圧巻でしたね。

ただ一点残念なところがあって、サウンド調整をミスったのか重低音がデカすぎて不快な共鳴が発生してたのがホント残念。自分の席がちょうど共鳴しやすいポイントで運が悪かったのかもしれませんが。

しかしそんなマイナスを軽々と吹き飛ばすほど熱いステージに魅了されたのもまた確か。

大型スクリーンに時折映し出される、ぷるぷる揺れる白い双丘はまことけしからんかったです。

野外スタジアムには野外スタジアムの良さがありますけど、願わくばライブハウスで観たかったなぁ…。

King Gnu

King Gnuはバンド名は知っていましたけど音は聞いたことがありませんでした。

どうしようか迷っていたのですが、同じ時間帯に他のステージに移動してまで観たいバンドがなかったので、そのまま観ることにしました。

日が暮れて、ヘッドライナーやその前のバンドの番ともなると、観客の移動も激しさを増しますね。Maneskin→King Gnu→The 1975のアリーナの観客大移動は上から見ていて壮観でした。

King Gnuのステージはなんだか摩訶不思議な感じでした。イリュージョンでも観ていたかのような。

キーボード兼ヴォーカルがふたり?かと思えばひとりはギターを弾きだしたり、もうひとりがキーボードから離れて歌だけになったと思ったらいつの間にかベーシストがベースを背中に回してキーボードを弾きだしてたり。

変幻自在というか、いろいろなことができる人が揃っていて臨機応変な対応が即座にできるんだろうな、というレベルの高さを感じました。

ただ、その多彩さに幻惑されて曲がストレートに響いてこなかった感はありますね。驚いて気になっちゃって意識が分散されて、焦点が合わなくなっちゃった、みたいな。

あと、MCはめっちゃサムかったです。自分は不快とまでは感じませんでしたけど、しょ〜もな、とは思いました。無理して面白いこと言おうとしたり、一発ネタでちょっと笑い取ってやろうとか、別に要らなくないですか?

自分がMCあんま好きじゃないからこんなこと思うのかな。お話はいいからさ、じゃんじゃん曲を演ってこうぜ、といいたくなる。あなた方はミュージシャンでしょ?って。

The 1975

最後は、五度目のサマソニ出演にしてついにヘッドライナーにまで登り詰めたThe 1975です。1stの頃から好きでアルバムを買って彼らの曲を聴いてきましたけど、ライブを観るのは初めてだったので楽しみにしていました。

天気は生憎の雨。びしょ濡れになるほどの大雨ではありませんが、濡れるのを嫌って屋根の下の席に移動する人が多発するくらいには降っていました。

自分は周りに人がいないほうが気楽に観れるからと移動せずにそのままの席にいました。

ただまあ降り込んでくるのはやっぱり鬱陶しいので、フード付きタオルを頭から被り、タオルを膝の上に乗せて、土砂降りにはなりませんようにと祈りながら開演を待ちました。ポンチョも持ってましたけど、ずっと小雨だったのでポンチョを被るほどではなく、助かりました。

The 1975のステージは、バンドの演奏もすごかったんですけど、モノクロの大型スクリーン映像と色味を絞ったライティング、スモークに浮かび上がるシルエットの視覚効果がとにかくおしゃれで、クールでした。

この素敵な演出がバンドのパフォーマンスの魅力を増幅していたのは間違いないです。

The 1975の曲は、アルバムだと好きな曲とそうでもない曲の差が激しかったりするので、ライブだとどう転ぶのか興味半分不安半分なところもあったのですけど、蓋を開けてみれば好きな曲だらけの至福の90分でした。

ドラムがまたカッコよかったですね。これは家でCDを聴いているだけでは、ライブを観ないことにはこのドラムのカッコよさには一生気がつけなかったでしょう。

アルバムを聴いているだけだと機械的に正確なリズムを淡々と刻むドラムという印象だったんですけど、ライブを観たら正確さはキープしながらも雄々しく猛々しいドラムを叩いていて、衝撃でした。CDのドラムもこの音で収録できないものか…。

シンガーのMatty Healyがとにかくセクシーで、しびれましたね。オールバックでタバコを何本も吸いながら、マイボトルで日本酒を持ち込んでお猪口で何杯も飲みながらとやりたい放題だったんですけど、それが(はぁぁ、かっけぇぇ)と男でも見惚れちゃうくらい様になってたんですよ。

あの日あの会場でThe 1975のライブを観た人の何割かは、髪型をオールバックにして日本酒を飲みながらタバコを吸うようになっちゃってるんじゃないですかね…。

普通だったら、何じゃあの舐め腐った態度は!と怒っていてもおかしくない振る舞いだったと思うんですけど、不思議と怒りはまったくなかったですね。とにかく惚れ惚れと眺めていました。

音響トラブルもありましたけど、(今なんかあった?なんもなかったよな?)という迅速さで事態を収束させて何事もなかったかのように演奏を続行してたのも素晴らしかったですね。いちいち動じない。狼狽えない。

The 1975はライブになるとこんなにカッコよくなるのか…。目からうろこでしたね。

アルバムのポップでアーバンなUKロックという印象を、ライブだとこんな風にいい意味で裏切ってくれるんだな、と。美メロはそのままに適度に荒ぶったサウンドが最高でした。

特に印象深かったのはライブ終盤に披露された”People”ですね。それまで何杯もお酒飲んでたのに頭ガンガン振りながら、かと言ってパフォーマンスにまったく揺るぎなく。色々とぶっち切っててとにかく最高でした。

このLive At Summer Sonic 2022の模様ですが、来年の来日公演前に来日記念盤として、完全ノーカット収録でのライブアルバム+DVD/Blu-rayリリース、お待ちしております。

今思えば、夏の夜に雨に打たれながらこの最高のライブを観ていた、というのがサマソニボケを助長する結果に繋がっていましたね。夢でも見ているような非日常へのトリップ感が強まって。

魂を置き忘れてきたかのような、地に足がついていないかのような、自分なのに自分じゃないみたいな。

家に帰ってすぐに日常を取り戻せなかったのも致し方ないでしょう。

フェス派というよりは単独派だとうそぶいていましたが、現実を認めたくなくて強がっていただけだったのかもしれません。

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