Pale Wavesの3rdアルバム『Unwanted』を聴いたら俄然来日公演観に行きたくなったけど仕事が繁忙期という罠

Pale Wavesの3rdアルバム『Unwanted』を聴いたら俄然来日公演観に行きたくなったけど仕事が繁忙期という罠

イギリス出身のロックバンドPale Wavesは昨年2021年に2ndアルバム『Who Am I?』をリリースしたばかりなので、今年3rdアルバム『Unwanted』をリリースしたことで二年連続の新譜リリースとなりました。

ファンにとっては喜ばしいことですが、1stから2ndの間隔が三年であったことを考えると、異例のハイペースであると言えるでしょう。

もっとも、このハイペースの新譜リリースはPale Wavesに限った話ではなく、コロナ禍でライブやプロモーション活動を制限された多くのバンドに共通している話なのですが。

1stの頃は怪しげというか不思議というか、インパクトのあるビジュアルで、音に丸みのあるおっとりした歌メロの独特な雰囲気のポップロックを鳴らしていました。

2ndでは音像がスッキリして歌声の力強さが強調されて、ポップパンク風味を取り入れたロックサウンドにハマっていました。

1stの音が好きだった人には寂しい変化でしょうけど、ロックバンドがずっと同じ路線の音を鳴らし続けるっていうのも珍しいですからね。自分は2ndの音のほうが好きだったので、この変化は歓迎していました。

では続く今作『Unwanted』はどうだったかというと、そのポップパンク路線をさらに推し進めていました。(ここまでやる?)と思いましたけど、まあそれも一瞬ですね。超好き。超好きな音だったので。

昨今、80年代回顧や約二十年前の青春パンクリバイバルな流れがありますけど、単に流れに乗ったわけじゃなくて、インタビューで語っているように自分たちが好きな音、本当にやりたい音楽を鳴らすんだという信念の結晶なのでしょう。

単刀直入で展開が鬼早い曲ばっかりだな、というのが率直な感想です。

とにかく早い。極限まで無駄を削ぎ落としたメロディ展開。イントロはほとんどなし。曲が始まったと同時に歌い出す勢い。

たまに(お、この曲はイントロあるのか)と思っても、5秒とか7秒とかで歌い始める。まれに10秒以上イントロがあると(この曲はイントロ長いなぁ)と感覚がバグってしまうくらいイントロが鬼短い。

あまりにも歌い始めるのが早くて情緒もへったくれもないんですけど、ポップパンク全開のパワフルで勢いのあるサウンドには合っていますね。曲が始まった瞬間からガツンとかまされます。

音質もいいですね。鮮烈で圧も強いので、耳に刺さってくるような、休まずに周回を重ねてたら耳が疲れちゃいそうな音ではありますけど、立体感や空間を感じるスケールの広がりが素晴らしい。

アルバム発売前に小出しにされた新曲をYouTubeで聴いていた段階で(ひょっとして今回のアルバム凄いのでは?)と予感していましたけど、その予想を上回ってきましたね。

アルバムを聴いたら、秋の来日公演、めっちゃ行きたくなってきました。名古屋火曜日。

ただ、仕事が繁忙期なんですよね…。すんなり定時ダッシュできるかどうか。1stや2ndの曲もライブで化ける可能性があるから観たいなぁ…。

https://news.goo.ne.jp/article/rollingstonejapan/entertainment/rollingstonejapan-38216.html

アルバムツアー終了間際に発売されて、その初回限定盤にまだ開催中のそのツアーから6曲が抜粋されたライブDVDが付属する異例ずくめのアルバム、それがB’zの『Highway X』

アルバムツアー終了間際に発売されて、その初回限定盤にまだ開催中のそのツアーから6曲が抜粋されたライブDVDが付属する異例ずくめのアルバム、それがB’zの『Highway X』

B’zの新作『Highway X』は、異例中の異例、そんな言葉がぴったりと当てはまる一枚です。

2022年5月14日からアルバム『Highway X』の全国ツアーが開始されているのにそのアルバムの発売日が約三ヶ月後の8月10日で、そのアルバムツアーがアルバム発売後まもなくの8月14日で終了するとか。

しかもアルバムの初回限定盤には今まさに最終日が間近となったそのツアーの模様が収められた6曲入りライブDVDが付属するとか。

今まで何枚も音楽CDを買ってきて、このパターンはさすがに初めてですね。前代未聞、前人未到、空前絶後。そんな言葉で語られるレベルの、世にも珍しい販売パターンです。

今度のアルバムに収録されるのはどんな曲なのかな?とドキドキワクワクを胸にライブを観に出かけ、そのライブの感動も薄れ忘却しつつある約三ヶ月後にCDに収められたいつになくライブ感あふれるサウンドに感激し、まだ終わってないツアーの映像をDVDで観てCDもよかったけどやっぱりライブもいいなぁと感動を揺さぶられる。

こんなふうに様々な楽しみ方ができたアルバムがかつてあっただろうか、という話ですよ。

まあ、なかったんですけどね。

特別な野外ライブイベントでこれから発売されるアルバムに収録される新曲を一曲だけ聴いた、とかならありますけど、さすがにアルバムツアーでCD発売前のアルバムから全曲先駆けて聴いたのは初めてです。

ツアーの日程を消化しながら、ライブ中に気がついたことを試したりしてギリギリまで音源に手を加えていたからなのか、新作のサウンドはいつになくライブっぽいサウンドに仕上がっているように感じました。

ギターの骨太なトーンはもちろん、豪勢できらびやかなブラスとか、重厚でありながら跳ねているリズムとか、要所要所で効果的なアクセントをつけてくるキーボードとか、それら主張の強いサウンドの束にも埋もれずに突き抜けてくる唯一無二の歌声とか。

それらが代わる代わるその存在を主張してくるんですけど、その主張が強すぎずかといって物足りなくもないという絶妙のバランスでまとめられていて、賑やかで迫力がありつつも、聴きやすくてわかりやすいサウンドが最高です。

中でも特に印象深いのが、アルバムの最後を飾るバラード”You Are My Best”ですかね。

ライブで初めて聴いたときも(曲名から予想していた通りの感動的なバラードだ〜)と感激したんですけど、CDで聴いたら(うお〜ライブのときの好印象を上回る完成度だ!)と驚かされて、ライブDVDを観てみたら(いやいや、ライブバージョンもやっぱり素晴らしいぞ?)と振り回された挙げ句、何を信じたらいいのかわからなくなって心の整理がつかなくて。

何だこれ?一体どうなってる?ちょっとわけがわからないな…。

まあ、何にしろ素晴らしいことに変わりはないのだから、別にいっか。

私は考えることをやめました。

『DINOSAUR』や『NEW LOVE』ほどの即効性のあるインパクトには欠けるような気もしますが、これは聴き込むほどにしっくりハマってくる、もしくはライブで聴くとまた印象が変わって化ける、そのどちらかでしょう。

延期になりましたけど、それまではCDを聴き込んで、ライブツアー千秋楽のライブビューイングで答え合わせします。

世の中ではネタバレは悪とされているけど、一概にそうとは言い切れないところもある

世の中ではネタバレは悪とされているけど、一概にそうとは言い切れないところもある

ネタバレは悪。諸悪の根源。なにが何でも回避すべきこと。

それが、世間一般的な認識だと思います。

自分も基本的にはその立ち位置です。ネタバレは回避すべし。

これから読むミステリー小説の内容とか、これから観るライブのセットリストとか、もうじき公開される新作映画の内容とか、残業になって観れなかったサッカー日本代表の試合の結果とか。

うっかり目にしてしまったらそのときはもうしょうがないと諦めてもいますが、できるだけ目にせずに済むように気を配っているのも事実です。

しかし昨夜、本当にネタバレはすべて悪だと言い切れるのだろうか、一概にそうだとは言い切れないのではないか、と自分の足場が崩壊しかねない疑念を抱いてしまいました。

映画『シング:ネクストステージ』のBlu-rayを観ていたときのことです。

「コアラ・ジ・エンド」

映画の中盤で、ポーシャを怒らせてしまったムーンが項垂れながらつぶやくセリフに、シャレが効いてて最高だなと私はニヤニヤしました。

では映画館で初鑑賞したときはどうだったかというと、ポーシャ役の日本語吹き替えを誰が担当しているのか知らずに観ていたので、そのセリフの面白さと意味がまったくわかっていませんでした。

ポーシャ役の日本語吹き替えを誰が演じているのか知っているのといないのとでは、そのたったひと言のセリフの面白さが全然違ってくるのです。

こういうこともあるのか…。目が覚めたというか、新たな世界があることを知ったような思いです。

知らずに観たほうが面白いこともあれば、知っていたほうがその真の意味がわかって面白いと感じられることもある。

どうやらそういうことのようです。

そして、この『シング:ネクストステージ』には、知っている人だけが楽しめる小ネタがまだまだ隠されていそうです。

というのも、ムーンたちが劇場に忍び込むときに清掃員に扮したり、ムーンに君たちは誰?と聞かれて「夜間清掃員です」と答えたり、これってもともとそういうふうに映画が作られていたということもありますけど、ポーシャ役にBiSH(ファンのことを清掃員と呼んでいるそうです)で活動しているアイナ・ジ・エンドを配したことで、遊び心と作り込みが生まれているんですよね。

自分が無知のため気がつけていないだけで、他にも遊び心や仕掛けが隠されているかもしれません。

知らないとただそれだけで何事もなく過ぎていきますが、知っていると気がつけて面白がれたりもっと探してみようと意欲的になったりと、その世界の深さを知ってさらにのめり込むきっかけになりえるんですよね。

自分で調べてそこに辿り着けるのであれば余計なお世話ですけど、そういう人ばかりではないですからね。細やかな解説やネタバレに助かる人もいるでしょう。

決してネタバレの肩を持つわけじゃありませんけど、ネタバレも一概に悪とは言い切れないのではないか、そんなことを考えてしまった真夏の夜の出来事でした。

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バンドやアーティストの伝記映画の良し悪し

バンドやアーティストの伝記映画の良し悪し

イギリスのロックバンドQueenの結成からLive Aid出演までを振り返った伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットでその流れにあやかろうという風潮が生まれたのか、その後何本かの伝記映画やミュージカル映画が制作、公開されて私も実際に劇場に観に行きました。

a-haの『a-ha THE MOVIE』やAretha Franklinの『リスペクト』、Elvis Presleyの『エルヴィス』に、Elton Johnの『ロケットマン』など。

他にも、Netflix限定配信なども含めると、未加入のため自分は観れていませんがMotley Crueの『The Dirt』やTaylor Swiftのドキュメンタリーなども話題になりましたね。

そんな伝記映画のひとつに、この冬『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』が仲間入りします。

https://amass.jp/159880/

Whitney Houstonというと、ケビン・コスナーと共演した映画『ボディガード』とその主題歌”I Will Always Love You”のメガヒットが代表曲、代表作としてイメージが確立されていると思いますが、今度の伝記映画のタイトルにも採用されているような80年代ダンスポップスも歌っています。

バラードばっかりじゃなくてこういうタイプのポップスも歌っているのかと、新鮮な驚きを感じる人もいるんじゃないでしょうか。

映画の内容は”Whitneyの名曲誕生の裏に隠された、Whitneyと彼女を支えた音楽プロデューサーClive Davisの知られざる物語を描きます”と紹介されていますが、たったこの一文だけで曲がりなりにも何本か伝記映画を観てきた自分には察しがついてしまいます。

ああ、なるほど、家族や制作陣との間に生まれる苦悩や成功への喜びに満ちた道のり、栄光とそこからの転落やいざこざ、苦渋の決断などが描かれているのですね、わかります、と。

だってそうでしたもん。これまでに観てきたアーティストの伝記映画、全部そうでしたもん。細かなところは全然違えど、大まかな流れは全部一緒でしたもん。

苦労が報われて成功へと上り詰めていく過程は良いんですよ。こっちも幸せな気分になりますし。でも、生活が荒んで身を持ち崩したり家庭での問題や制作陣との軋轢がじわじわキツイんですよね。胃がキリキリ痛んでしんどいというか。

上手く行かなくなって酒に溺れたり、クスリに逃げたり、浮気に走ったり、そんな自分が嫌になってさめざめ泣いたり、歌から距離を置くも結局戻ってきてしがみついたりもがき苦しんだり、再出発がなかなか軌道に乗らなくて荒れたり、そうなるってだいたい相場は決まってるんですよ。

いや〜重い、この流れは重すぎますって。後生ですから…と手を合わせたくなってしまいます。

映画館の素晴らしい音響で大好きな名曲が聴けるのはアツいんですけどね。

その代償が一見華やかに見えるエンターテイメント世界の裏側での孤独な苦悩というのが、なんかいたたまれなく感じちゃうんですよね…。

ダメ?そこに触れなきゃダメ?スルー無理?ダメか…と全身がどっと重くなってしまうのです…。

まあ、なんだかんだいいながら観に行くんですけどね。映画館の音響で名曲を聴きたくて。

音楽系の映画は空いてることが多くて贅沢感が増し増しになるのがまたいいんですよね。特別感に浸れて。

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浜松市のミニシアターで『a-ha THE MOVIE』を観たついでに駅近のジャズ喫茶を訪問してきた

浜松市のミニシアターで『a-ha THE MOVIE』を観たついでに駅近のジャズ喫茶を訪問してきた

一週間という短さでしたが、隣の浜松市のミニシアター、シネマイーラにてノルウェーのロック・バンドa-haの伝記映画『a-ha THE MOVIE』が上映されていたので、観に行ってきました。

ミニシアターは初めてだったので、事前に公式サイトでローカルルールをチェック。

全席自由で事前予約なし、席の確保が不安だったら早めに行く必要あり、スクリーンはひとつのみで前の作品の上映終了から次の作品の上映開始までの間で入れ替え、飲食は禁止ではないが周囲への配慮を忘れないように、などなど。

映画館によっては上映中の出入りは絶対に禁止だったり飲食も厳禁だったりするので、ミニシアターに行く場合はローカルルールの事前確認は必須です。

公式サイトで上映情報を調べてみたら、当日は土曜日の夕方だったのですが、東海地方ではここでしか上映していないようだったので、あんまり混んでないと思うけどひょっとしたら意外と盛況ということもありうるのか、混雑状況がまったく読めず上映開始20分前に受付に行きました。

先客は約10名といったところでしょうか。ロビーのソファに座ったり、チラシや展示の書籍を眺めたりなどして、思い思いに上映時間を待っておりました。

最終的には約30名ほどになっていたと思います。早い者勝ちの自由席なので、埋まり具合とスクリーンの見やすさを考えながらここかなと思った席に座りました。

ミニシアターなので設備はどうなんだろうと少し不安に思っていたんですけど、シートは厚みもあってしっかりしていて音響も素晴らしく、まったくの杞憂でした。

スクリーンは大手シネコンと比べたらさすがにやや小ぶりのように感じましたけど、いざ上映が始まると気にならないくらいの大きさです。

ただ、たまに空調の稼働音が気になったので、静かな映画や音が演出上で重要な位置を占めている映画では、興を削がれてしまうこともあるかもしれません。

映画の内容は幼少期から最近までを本人たちのインタビューを軸に振り返る構成で、当時の写真や映像に交えて”Take On Me”のPV風のアニメーションが挿入されたりして、洒落た趣の映像演出に見入ってしまいました。

活動休止前まではけっこうみっちり振り返っていたのに、復活後から駆け足というかあっさりというか、多くを語らずだったのがやや肩透かしでしたが、上映時間の制約もあったのかもしれません。

“Take On Me”を途中でぶった切るのはやめてくれ〜と悲鳴を上げたくなってしまいましたが、様々なバージョンの名曲が(ちょっとずつでも)素晴らしい音響で聴けたのは福音でありました。

『a-ha THE MOVIE』を観たあとは、映画館から徒歩約10分の浜松駅近のジャズ喫茶トゥルネラパージュを訪問してきました。約2000万円のアヴァンギャルド社製の超弩級ホーンスピーカーの音が聴けるということで、前々から気になっていたお店です。

お店のドアに手をかけようとしたら店内のBGMが漏れ聞こえてきて、これが噂のアヴァンギャルドのサウンドかぁとテンション上がりながら入店しました。

閉店間際だったからか空いていたので、スピーカーの前のおひとり様用の席に座りました。

美味しそうなリスニングスポットには先客がいたので、あんまりリスニングには美味しくないけど仕方がないなと間隔をたっぷり取って周りに誰もいない右端の前方に座ります。

iPhoneに取り込んだ漫画を読みながらケーキセットを頂いたんですけど、ちょいちょい読書を中断させてくる轟音は凄まじかったですね。

大音量の低音で空気のみならず床や椅子がビリビリと震えてるんですけど、全然うるさくないんですよ。耳がバグりそうな極上サウンドが生演奏のように生々しく朗々と鳴っているので、しばしば手を止めてスピーカーを見てしまいます。何だこのスピーカー、すげぇな、と。

「スウィートスポットだと?そんなもん知らねぇよ」とでも言わんばかりの豪快なサウンドに酔いしれました。

音も凄いんですけど、チーズケーキもアイスコーヒーもむちゃくちゃ美味しくて、何もかもが高レベルです。インプレッサWRX STI 22Bを全開ドライブする藤原文太みたいなジャズ喫茶でした…。

ジャズばっかりじゃなくて、たまにサザンナイトとかイベントの日もあるみたいですね。サザンナイトの日はたまたま有給を取ろうかと考えていた日と同じだったので、この音での”涙のキッス”や”真夏の果実”聴きたさに、行っちゃうと思います。

家に帰ってきてから気がついたんですけど、ライブの後みたいに音を遠くに感じました。大音量なのにうるさくないので忘れてしまいそうになるんですけど、文庫本とか持ち込んであんまり長時間入り浸っていると、知らず知らず耳へのダメージが大変なことになっているかもしれません。

それにしても、知らなかっただけで素敵なジャズ喫茶たくさんあるんですね。

ジャズ喫茶巡りにハマっちゃいそうな予感が激しくします…。