Adamが好きな妹にQueen + Adam Lambert『Live Around The World』を貸したものの、まったく響かなかった…

Adamが好きな妹にQueen + Adam Lambert『Live Around The World』を貸したものの、まったく響かなかった…

私は悲しい。

己の無力さを痛感するばかりです。

2023年大晦日の紅白歌合戦にQueen + Adam Lambertが出演したことで、ソロデビュー当時からAdamが好きだった妹が興味を持ったようだったので、(これが一番手っ取り早いかな)と考えてライブCD + DVD『Live Around The World』を貸したんですよ。

先日手元に戻ってきたときに妹に「どうだった?」と感想を聞いてみたところ、返ってきた答えは以下の通り。

「いや、Queenの曲はよく知らないからあんまり…」

絶句。「あ、そう…」落胆の気持ちを絞り出すのがやっとでした。

なんでやねん。曲をよく知らないからこそ、Adamの圧倒的な歌声が壁をぶち破ってくるだろう!

てっきり「私もライブ観に行きたくなった!」と騒ぎ出すものだとばっかり思っていたのに。

これはおすすめアイテムの選択をミスったか。

まずは映画『ボヘミアン・ラプソディ』から入らせるべきであったか。

映画を通じてQueenの楽曲に親しみやすさを抱かせるべきだったのか。

好感触だったらサントラを聴かせて、そこからベスト『Jewels』シリーズを聴いてもらい、モントリオールやウェンブリーでのライブDVDを観せてと段階を踏んで、その上で『Live Around The World』に触れさせるべきであったか。

難しいですね。

人に、自分が好きなものをおすすめするのは難しい。何がその人の琴線に触れるかわからないので。

自分が好きなところにその人も惹かれるとは限らないから。

ひと口に同じ曲が好きだと言っても、人によって好きなポイントは様々ですし。

イントロが好きな人もいればサビメロが好きな人もいて、ギターソロが好きな人もいるかと思ったらアウトロが好きな人もいるし、サビに入る直前のドラムのキメが好きな人もいるし。

自分が一番好きなアルバムを聴かせてみてもピンと来なかった人に、嫌いってわけじゃないけど特別好きというわけでもないアルバム聴かせてみたら、ぶっ刺さるかもしれないし。

どのアルバムを聴かせてみても無反応だったけど、無理矢理ライブ会場に連れてってみたらついに覚醒するかもしれないし。

ライブを観た後にアルバムを聴かせてみたら、今までの印象が引っくり返るかもしれないし。

こればっかりは本当にわからないんですよね。何が引き金になるのか。どこにスイッチがあるのか。

最初に苦手意識を持たれちゃうと、それを払拭するのもまた大変ですからね。

妹と同じように、紅白でQueen + Adam Lambertを初めて見て(ライブを観に行ってみたいけどQueenのことはよく知らないからちょっと…)と二の足を踏んでいる人がいるならば、TOHOシネマズ日比谷でまだ上映している映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観てみることをおすすめしておきます。

東京まで映画を観に行くとか遠すぎるというならば、配信でもレンタルでもなんでもいいから(できればTOHOシネマズの極上音響で観てほしいけど…)とりあえず観て、それでハマりそうだったらサントラやベストやライブDVDなどからチェックして行ってみてください。

来月、2月4日からスタートする来日ドームツアー、今ならまだ間に合います。日程や残っている席種による問題もありますけども。

どうか寒波とバッティングしませんように。

Queen + Adam Lambert – Live Around The World

Queen + Adam Lambert | チケットぴあ

『ボヘミアン・ラプソディ』

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主演女優のふたりが超可愛いから、という男の欲望丸出しの不純な動機100%で、浜松市のミニシアターでフランス映画『私がやりました』を観てきた

主演女優のふたりが超可愛いから、という男の欲望丸出しの不純な動機100%で、浜松市のミニシアターでフランス映画『私がやりました』を観てきた

浜松市のミニシアターシネマイーラで、フランソワ・オゾン監督のフランス映画『私がやりました』を観てきました。

近隣の上映館はわずか三館。

ただ、近隣といってもそのうち二館は片道約80kmある愛知の伏見ミリオン座と片道約100kmある静岡市のシネ・ギャラリーで、とても気軽にふらっと映画を観に行ける距離ではないので、実質浜松市のシネマイーラ一択。

当初は静岡市のシネ・ギャラリーに『ザ・キラー』を観に行くついでに二本連続で観ようかと考えていたのですが、幕間わずか10分で連続上映だったため、トイレ休憩に間食にと慌ただしすぎるのが気がかり(ローカルルールで上映中の出入りや飲食が禁止のため)で、三館の中では最も自宅から近い浜松市のシネマイーラで観ることにしました。

唯一の懸念は急用で上映時間に都合がつかなくなることでしたが、幸いそんな心配も杞憂に終わり無事に観てくることができました。

物語の舞台は1935年のフランス、パリ。舞台の背景の関係か、クラシック作品リスペクトの映像や演出が多いのですが、ガーリーさやポップさを押し出した美術や衣装も盛りだくさんで、古風でありながら斬新で可愛らしくもある映像が最高でした。

物語の発端となった事件そのものを直接写していなかったので、本当のところはどうなのか想像を膨らませつつ逆転司法闘争からの最後に真相かな?と予想しながら観ていたら全然違いました。

そんな本格的なサスペンス・ミステリーではなく、それでいいのかな…と観ているこちらが心配になる程、力技でやや強引に進行していきます。

矛盾なく本格的にきっちりしすぎていると、本作の登場人物たちの愛すべきユーモラスな持ち味が損なわれてしまうに違いないので、細かいところの整合性は捨ててキャラクターの魅力を前面に押し出す方向に振ったのでしょう。

主演女優のふたりが超可愛いのはもちろん、それ以外にも魅力的な人物たくさんでとても楽しい映画でした。勘違い自己陶酔の激しいクズの中のクズだった主人公の彼氏だけは最初好きになれず、なんでこんな男に引っかかったんだと頭が痛くなりましたが。

新聞の見出しで登場人物たちのその後を示唆するユーモアセンス抜群のエンドクレジット最高ですね。ワンピースの新聞とか手配書の懸賞金更新みたいで。

たまにミニシアターに行くと、上映予定作品数本の予告の後にすぐ本編開始で気持ちいいですね。宣伝まみれの大手シネコンとは大違い。

ミニシアターにはミニシアターの、大手シネコンには大手シネコンの良さ、魅力がそれぞれあるのは重々承知の上ですが、それでも物には節度ってものがあると思うんですよね。

フランソワ・オゾン

有明アリーナでイタリアのロックバンドMåneskinのライブを観てきた

有明アリーナでイタリアのロックバンドMåneskinのライブを観てきた

12月2日土曜日、東京の有明アリーナで開催された、イタリアのロックバンドMåneskinのライブを観てきました。

2023年1月に発売された新アルバム『Rush!』に伴うワールドツアー日本公演の初日です。

サマソニ2022以来なので、約一年半ぶり、想像以上に早く彼らのライブを再び観る機会に恵まれました。

これも、Eurovision 2021優勝以来、休む暇もなくライブにフェスにと世界中を飛び回りながら新曲をレコーディングしてアルバム『Rush!』にまとめてくれたおかげです。ありがとうございます。

アルバム『Rush!』の発売から来日公演まで11ヶ月あったのですが、Måneskinはその間もツアーにフェスにと精力的に世界中を飛び回りながら新曲を数曲発表していて、(これ下手したら来日公演前にもう一枚アルバム出てもおかしくないのでは?)と思っていたら、『Rush!』に新曲5曲を追加した特別盤『Rush! (Are U Coming?)』が追加リリースされました。

今回の来日公演は、その『Rush! (Are U Coming?)』を中心にしたセットリストが組まれています。

『Rush!』が元々17曲収録の大ボリュームで、+5曲で全22曲の超ボリュームとなり、それを中心としたセットリストということで、結果としてそれ以前の楽曲の多くが演奏披露される機会を失いました。

それを残念と感じる人もいれば新作を大層気に入って歓迎する人もいて、それぞれで見解は異なるでしょうが、自分としてはアルバム丸ごと披露して欲しいと思っていたくらいなので嬉しい傾向です。

18時開演予定が少し押してのスタートとなり、本編20曲アンコール2曲の計22曲、約二時間のステージでした。

曲数の割に時間が短く感じたのは、そもそもの楽曲の出来がよくライブパフォーマンスも抜群のため最高で楽しい時間があっという間に過ぎ去ったように感じた上に、彼らの楽曲のほとんどがコンパクトで短いものだからでしょう。

中にはライブならではのジャムセッション的に間奏時間を伸ばした曲もありましたが、それをここぞという楽曲に絞ることで冗長さを感じさせずに一気に走り抜けていました。

ヴィクトリア嬢が途中二度ほどフロア前方の通路をベース弾きながら練り歩いていたんですが、あれに気がついた時ほど(ケチらずにSS席で申し込めばよかった)と後悔した時はありません。

まあでも、SS席で申し込んでたら抽選に外れてたかもしれませんからね。S席で当たってよかった、そう思うことにしておきます。

トーマスのギター・ソロが大好きなのですが、席運に恵まれなかったのか時折ギターの音色が重低音に埋もれがちだったのが残念でした。

それにしても、有明アリーナの限界に挑戦しているかのような凄まじい音量と逆光LEDフラッシュには参りました。

真紅の垂れ幕に明滅と共にシルエットが浮かび上がるオープニングは超絶かっこよかったのですが。

ステージから離れた左斜め後方の2Fスタンド席だったにも関わらず、照明に目がやられて眠る時に目を瞑ったら少し痛かったですからね。翌朝には引いていたのでひと安心。

目には厳しかったですが、彼らの楽しいリズム感と激しい楽曲に合った刺激的な照明でした。ただ、今後はもう少しお手柔らかにとお願いしたいところです。

9月からスタートしたMåneskinのRush! World Tourも日本での四公演を終え、残すところアイルランドとイギリスの二公演のみとなりました。

このツアーのあと、彼らがしばしの休息に入るのかそれともまだまだ止まらずに走り続けるのかはわかりませんが、なんとなく彼らに休息は似合わないような気がするので、このまま走り続けるのではないかと期待しています。

再会の時は思いのほか早いのかもしれませんね。

その時を楽しみに、今は『Rush! (Are U Coming?)』に付属のライブBlu-rayの素晴らしい音と映像で余韻に浸ります。

Måneskin

https://twitter.com/INTSonyMusicJP/status/1730927230581358639

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往復電車賃3000円以上払って静岡市のミニシアターに行って、Netflixで配信されている映画『ザ・キラー』を1900円で観てきた

往復電車賃3000円以上払って静岡市のミニシアターに行って、Netflixで配信されている映画『ザ・キラー』を1900円で観てきた

たぶん、母や妹に話したら「はぁ?」って顔をされると思うんですよね。

自宅から静岡市まで約100km。往復電車賃3000円以上、片道一時間半を費やして静岡市のミニシアター静岡シネ・ギャラリーまで行って、Netflixで配信されている映画『ザ・キラー』を観てきたなんて話したら。

理解不能どころか、正気を疑われるかもしれません。

映画を一本観るのに5000円以上かけているわけで、コスパやタイパでいったら赤字も赤字、大赤字ですからね。

母や妹の呆れ顔や声を見たり聞いたりするのは愉快ではあるのと同時に不愉快でもあるので、ずっと黙ってると思います。

近いうちにみんなで東京の次女宅に押しかける予定があるので、もしかしたらみんなでお酒でも飲みながら話してたら、うっかり口を滑らせてしまう可能性はありますが。

どうせ理解されませんからね。男のロマンなんて。

だって、あの『セブン』や『ファイト・クラブ』を手がけたデヴィッド・フィンチャー監督の新作ですよ。そら映画館で観たくなるでしょう。どっか近くで上映してないかな、と探すでしょう。

そしたら、片道約100kmあるものの同じ県内の静岡市のミニシアターでちょうど上映開始されたばっかりだったので、これ幸いと突撃してきました。

映画は、仕事の成功の確率を少しでも上げるための心得を淡々と自分に言い聞かせるように話す凄腕ヒットマンの独白で進むという内容で、派手なアクションはほとんどなかったですが、そのぶん内面に切り込んだ丁寧な作りに引き込まれました。

自分の行動を律するための暗示をかけるかのように彼独自のこだわりやルールを披露しているそばから、そのルールを破らざるを得なかったり自分が思い描いていたのとは違った結果になってしまったり、理想と現実のギャップとアクシデントを乗り越えるリカバリー能力の高さが見どころです。

自分も音楽が好きなので、心理状態を落ち着けるために音楽を聴いていたところも好きですね。カメラ視点の主観と客観が切り替わるたびに音楽の聞こえ方が変化していたところも芸が細かかったですが、切り替えが頻繁だったのでそこはちょっと気になったかな…。

心理状態を落ち着けるための音楽に彼が選んでいたのはThe Smithsの楽曲でしたけど、自分だったら仕事で常にベストをキープするための楽曲に誰を選ぶだろう。

これ難しくないですか?

激しすぎたら音楽に引っ張られて仕事が手につかなくなっちゃうし、逆に心地良すぎてもひと休みしたくなっちゃうし。しっくりくる曲を見つけるまでに仕事をミスりまくってクビになりそうです。

あ〜面白かった。

やっぱり映画館まで観に行ってよかった。配信で家で手軽に観れるのもいいですけど、良作を映画館で堪能するからこそ得られる満足感も間違いなくありますね。

配信で一度映画を観たことがあるんですけど、その時は映像と音がいつの間にかズレちゃってて、なんだよとガッカリしたので配信にはあまり好印象がないんですよね。

退会手続きが迂遠すぎて面倒くさいとか、観たい作品を探すのが大変とか、いつの間にかラインナップから消えてたりとか、観たい作品に限って別料金の支払いが発生するとか、利便性と表裏一体の負の側面も気になりますしね。

デヴィッド・フィンチャー

静岡市のライブハウスSOUND SHOWER arkで森恵さんの弾き語りライブを観てきた

静岡市のライブハウスSOUND SHOWER arkで森恵さんの弾き語りライブを観てきた

静岡市清水にあるライブハウス、SOUND SHOWER arkで森恵さんの弾き語りライブを観てきました。

森恵さんのことを知ったきっかけは、彼女がYouTubeにアップしていたJ-Popの名曲の弾き語りカバー動画を観たことです。

一番最初に聴いた曲は正直覚えていないのですが、”もう恋なんてしない”か”純愛ラプソディ”か”M”か”世界が終わるまでは…”か、確かこのあたりだったはず。

ギターは上手いし歌声も素晴らしいしで惚れ惚れと聴き入っていたんですけども、そんな彼女が弾き語りツアーをすると知りまして、これは絶対生で観たい!静岡にも来るし!(同じ県内とはいえ自宅のある西部地方からライブハウスのある静岡市清水までは110km以上あって隣県の名古屋市の方が近いのですが…)とひとり盛り上がり、チケットを入手しました。

一度YouTube生配信を見てみたところ、近況報告や活動予定告知、コメントの読み上げなど視聴者とのやり取りを挟みつつ、アコギ一本でオリジナル曲やカバー曲を弾き語りしていくスタイルだったので、(なるほど、これに近い感じの程よいリラックス感が漂う弾き語りライブをするのだろう)と予想していました。

全然違いました。

スツールに腰掛けてアコースティックギターを弾きながらしっとり歌うのだろうとばっかり思ってたら、そういうコーナーも途中用意されていましたけど、ステージ上にはギターのみならずキーボードやリズムマシンまで、ひとりで全部使うとは思えない機材の数々。

ルーパーを駆使した手際のいい即興的なリズム音作りから、ひとりの手で紡がれているとは思えない音の圧と数が押し寄せ、圧倒されました。マーティンのアコギも鬼鳴りで激ヤバ。そしてそれ以上に、彼女の歌声、声量が凄まじい。

今までライブで何人ものシンガーの生歌を聞いてきましたけど、(彼女ほど声が出ているシンガーがかつて他にいたか?)と自問しても、対抗馬が思い浮かぶどころか(いやひょっとしたら過去イチかもしれない…)と思わされるほど、圧倒的な歌声です。

ライブで何が一番がっかりするかっていったら、歌声があまりよく聞き取れない時じゃないですか。

シンガーの喉の調子がイマイチだったり、楽器隊の音がデカすぎだったり、その時の場所や座席が音響的に不利で声が埋もれがちだったりとか、理由や原因はその時々で様々ですけど、ライブで歌声がよく聞こえないことほどがっかりすることはないですよ。

その点で言ったら、彼女の歌声は極上です。小さめのライブハウスで、本来の弾き語りでアコギ一本だったら声が通って当たり前ですけど、キーボードやリズムマシンから重低音バンバン鳴らしてましたからね。

その上でこのインパクト。度肝を抜かれましたね。

昔、歌手のChristina Aguileraの名前だけ聞き知っていた時に、彼女の主演ミュージカル映画『バーレスク』でその途轍もないパワフルな歌声を初めて聴いてぶったまげましたけど、あの時に匹敵する衝撃でした。

7月からスタートしたこの弾き語りツアーも残すところ沖縄での三公演のみ。お近くで行こうか迷っている方がもしいたら、全力で彼女のステージを体感してみるべきだとおすすめしておきます。